![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/42/12/baac1a11cdca8d82e428c17911c066d1.jpg)
※文中、第2段落に訂正があります。
道展と全道展、道美展には工芸部門がありますが、工芸部門だけの団体公募展は、この北海道美術工芸協会が主催する「美工展」だけです。
会場に、物故作家の大作2点がありました。
右は高木晶子さん(札幌)の皮革「再生の予感 II」。
高木さんは創立会員で、1985~90年と97~2007年の2度にわたって事務局長を務め、文字どおり美工展を引っ張ってきたひとりです。
作家としても、シャープな造形で迫力たっぷりの平面作品を毎年出品してきました。
左は玉川佑子さん(札幌)の刺繍「赤い木のある風景」。
パウル・クレーを思わせるシンプルにして明快な造形です。先日の「はしどい展 OG展」にも遺作が特別陳列されていました。
会場で事務局長の山谷智子さん(札幌)にいろいろお話を聞くことができました。
今年の特徴は、応募数は減っているものの個性的な新人がいつになく多かったことだそうです。
この画像は、協会賞を受けた本田操さん(根室)の陶芸「原生花園の主」。
本田さんはなんと初出品です。
陶芸作品とは思えぬほどさまざまな色を用いています。象嵌と彩色をたくみに使い分けています。
これだけ多くの色があるのに、破綻していません。
形状は、花瓶の一種のようにも見えますが、じつは上部はふさがれており、壺や花器としての役には立ちません。
ではオブジェかと問われると、なんともいえないところです。
ただし、そういう当たり前の分類を乗り越え、いかにも原生花園の主らしく堂々と立っている姿が魅力的です。
冒頭で、亡くなった2人の皮革作家について触れましたが、入れ替わるように、皮革の立体を作る新人が登場しました。
谷次喜惠子さん(恵庭)の「古都」。新人賞です。
山谷さんの評は
「繊細に寄せた皺の質感と中央に流れるように配された皮の断面により、歴史を積み重ねた、しっとりと落ち着いた街を思わせます」
とのこと。
たしかに一見すると、焼き締めの古い陶器のようでもあります。
一方、柱の左側に見えるのは林治栄さん(同)「華燭」。
あかりの要素を取り入れた大作です。
この2人が2点ずつ入選しており、美工展の皮革は、平面中心から立体が主流に、一気に様変わりをした感もあります。
もうひとりの新人賞は、木工で、武藤海地さん(小樽)の「サイドテーブル」が受賞しました。
武藤さんは「Deer Chair」も入選しています(画像中央)。
いずれも清新でスマートな家具です。スタイリッシュで、若いなあと思います。
なお、画像手前はガラスの吉田房子さん(札幌)の作品です。
「Deer Chair」の奥は、木工会員の羽賀隆さん(江別)のいす「ease V」。
洗練された中にも重厚感が漂うのはベテランの味です。
ほかにもユニークな新人(初出品者)がいます。
こちら、ペーパークラフトの佐藤隆之さん(札幌)の「「心に流れる時間」ザリガニとカエル」「「心に流れる時間」オニヤンマ」です。
佐藤さんはどちらかというと、500m美術館など現代アート系のフィールドで活躍してきたというイメージが強いので、美工展の会場で作品を見ることになるとは意外でした。
もちろん、誰が見ても楽しい、「アート兼工作」みたいな作品ですから、どこで見ても違和感はありません。いたずらに精緻さにはしるのではなく、ツボをおさえた単純化と造形には、あらためて感心させられます。
これもペーパークラフトで、前田明美さん(旭川)「コタンの雪解け」です。
こちらはとても細かく木の枝ぶりやフクロウの羽を表現しています。
フクロウは魚を脚につかんでいるのですが、ついさっき魚をとらえた水面に波紋が浮かんでいるなど、芸が細かいです。
色数を抑えているのも好ましく、これまた本来の年なら新人賞を得たかもしれません。
長くなってきたので、別項に続きます。
2017年4月19日(水)~23日(日)午前10時~午後6時(最終日~4時)
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6)
□美工展 http://www.geocities.jp/hokkaidou_bikouten/
■第43回 美工展(2016、画像なし)
■第42回(画像なし)
【告知】第42回美工展
■第37回 美工展 ■続き (2010)
■第36回
■第35回
■第34回(画像なし)
■第33回
■第31回(画像なし)
■第30回(画像なし)
■第29回
■第28回(画像なし)
■第8回美工展会員展(2003年)
・地下鉄東西線「バスセンター前」9番出口から約300メートル、徒歩4分
・ジェイアール北海道バス、中央バス「サッポロファクトリー前」から約510メートル、徒歩7分=札幌駅前、時計台前から現金のみ100円で乗れます
・東西線「菊水駅」1番出口から約650メートル、徒歩9分
・中央バス「豊平橋」から約850メートル、徒歩11分
(市民ギャラリーに駐車場はありませんが、周辺にコインパーキングはいくつかあります)
道展と全道展、道美展には工芸部門がありますが、工芸部門だけの団体公募展は、この北海道美術工芸協会が主催する「美工展」だけです。
会場に、物故作家の大作2点がありました。
右は高木晶子さん(札幌)の皮革「再生の予感 II」。
高木さんは創立会員で、1985~90年と97~2007年の2度にわたって事務局長を務め、文字どおり美工展を引っ張ってきたひとりです。
作家としても、シャープな造形で迫力たっぷりの平面作品を毎年出品してきました。
左は玉川佑子さん(札幌)の刺繍「赤い木のある風景」。
パウル・クレーを思わせるシンプルにして明快な造形です。先日の「はしどい展 OG展」にも遺作が特別陳列されていました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/69/bb/67e8f5e134cab5d9d552f1e8fbd5c9ea.jpg)
今年の特徴は、応募数は減っているものの個性的な新人がいつになく多かったことだそうです。
この画像は、協会賞を受けた本田操さん(根室)の陶芸「原生花園の主」。
本田さんはなんと初出品です。
陶芸作品とは思えぬほどさまざまな色を用いています。象嵌と彩色をたくみに使い分けています。
これだけ多くの色があるのに、破綻していません。
形状は、花瓶の一種のようにも見えますが、じつは上部はふさがれており、壺や花器としての役には立ちません。
ではオブジェかと問われると、なんともいえないところです。
ただし、そういう当たり前の分類を乗り越え、いかにも原生花園の主らしく堂々と立っている姿が魅力的です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/19/50/2fae6d5b93f429baf540fb4c66aed0cf.jpg)
谷次喜惠子さん(恵庭)の「古都」。新人賞です。
山谷さんの評は
「繊細に寄せた皺の質感と中央に流れるように配された皮の断面により、歴史を積み重ねた、しっとりと落ち着いた街を思わせます」
とのこと。
たしかに一見すると、焼き締めの古い陶器のようでもあります。
一方、柱の左側に見えるのは林治栄さん(同)「華燭」。
あかりの要素を取り入れた大作です。
この2人が2点ずつ入選しており、美工展の皮革は、平面中心から立体が主流に、一気に様変わりをした感もあります。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/68/51/3d355966afda9ef202c6fb83606b76a2.jpg)
武藤さんは「Deer Chair」も入選しています(画像中央)。
いずれも清新でスマートな家具です。スタイリッシュで、若いなあと思います。
なお、画像手前はガラスの吉田房子さん(札幌)の作品です。
「Deer Chair」の奥は、木工会員の羽賀隆さん(江別)のいす「ease V」。
洗練された中にも重厚感が漂うのはベテランの味です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6c/cf/ac56d0d21af6d3eab4232526319b2720.jpg)
こちら、ペーパークラフトの佐藤隆之さん(札幌)の「「心に流れる時間」ザリガニとカエル」「「心に流れる時間」オニヤンマ」です。
佐藤さんはどちらかというと、500m美術館など現代アート系のフィールドで活躍してきたというイメージが強いので、美工展の会場で作品を見ることになるとは意外でした。
もちろん、誰が見ても楽しい、「アート兼工作」みたいな作品ですから、どこで見ても違和感はありません。いたずらに精緻さにはしるのではなく、ツボをおさえた単純化と造形には、あらためて感心させられます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/43/a8/379d3b5b304cffb03e96e671f503255c.jpg)
こちらはとても細かく木の枝ぶりやフクロウの羽を表現しています。
フクロウは魚を脚につかんでいるのですが、ついさっき魚をとらえた水面に波紋が浮かんでいるなど、芸が細かいです。
色数を抑えているのも好ましく、これまた本来の年なら新人賞を得たかもしれません。
長くなってきたので、別項に続きます。
2017年4月19日(水)~23日(日)午前10時~午後6時(最終日~4時)
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6)
□美工展 http://www.geocities.jp/hokkaidou_bikouten/
■第43回 美工展(2016、画像なし)
■第42回(画像なし)
【告知】第42回美工展
■第37回 美工展 ■続き (2010)
■第36回
■第35回
■第34回(画像なし)
■第33回
■第31回(画像なし)
■第30回(画像なし)
■第29回
■第28回(画像なし)
■第8回美工展会員展(2003年)
・地下鉄東西線「バスセンター前」9番出口から約300メートル、徒歩4分
・ジェイアール北海道バス、中央バス「サッポロファクトリー前」から約510メートル、徒歩7分=札幌駅前、時計台前から現金のみ100円で乗れます
・東西線「菊水駅」1番出口から約650メートル、徒歩9分
・中央バス「豊平橋」から約850メートル、徒歩11分
(市民ギャラリーに駐車場はありませんが、周辺にコインパーキングはいくつかあります)
美工展へのご来場、また、早速のご講評ありがとうございます。
多くの作品の写真と梁井さんの丁寧なコメントは、それぞれの作家への大いなる励ましです。
改めてお礼申しあげます。
この1年ほどの間に、高木さん、玉川さんを失ったほかに、数名の長年の会員の退会があったりと、少し寂しいことが続きましたが、
この第44回展で協会賞の陶芸の本田操さんをはじめ、織やペーパークラフトなどに今までになかった新しい作家を迎えることができました。
公募展というものは、良いときもよくないときもあり、山あり谷あり、時代とともに育っていく(もしくは滅びてゆく!?)ものだなぁと感じています。
なお、物故作家の高木さんは皮革工芸ですが、玉川さんは刺繍ですので、どうぞよろしくお願いいたします。
山谷さんのおかげでいろいろご教示をいただき、たいへん助かりました。
美工展は大き過ぎないところも魅力なので、これからもちょうどよい規模で続いていけばよいなぁと思います。
今後ともよろしくお願いいたします。
玉川さんの件はすみません。すぐ直します。
さらに、沢山のコメント、写真の掲載 本当にありがとうございます。
昨夜 授賞式で、受賞者や入選者の方々ともお話でき、それぞれの制作への思いを聞き、作品の発表の場の提供、公募展の必要性を感じました。
来年は第45回記念展です❗頑張ります💪
今後もよろしくお願いします。