1月から毎月個展をひらき、2、3月は会場でライブドローイングも実施。そして4月はライブドローイングのみと、精力的な活動をつづける藤谷康晴さん(石狩在住)。
考えてみれば筆者は、ライブドローイングの最中におじゃましたのは初めて。2月はちょうど藤谷さんが描き終わったタイミングだったし、3月は初日のライブが終わった後の、翌日の朝だったし。
筆者が会場のアートマンギャラリーをおとずれたのは、全2日間のうちの、初日の夕方。
会場は、黒く塗られた天井にあわせ、壁一面に黒い紙が貼られていた(案内状のはがきが、黒地に白い色で印刷されていたわけがわかった)。
始まってから6時間半がたって、すでにほとんどの部分が、白の線でうめつくされていた。
しばらく見ていたのだが、藤谷さんはチョークを持つ手をまったく止めることがない。
ふつうなら、或る部分を仕上げると、手を休めて一歩下がり
「ふーむ、構図はどうかなあ」
なんて感じで、全体を見渡す-なんてことをするんじゃないかと思う(筆者は実作者ではないのでよくわからないけど)。
しかし、藤谷さんはぜんぜん止まらない。
上から下へと垂れ下がる線の集積を書いていたかと思うと、そのままの姿勢で、花火のような模様をいくつも書き始める。その2つの動作のあいだに、すこしのタイムラグもないのだ。
それにしてもおどろくべき集中力だ。
数人いる観客も息をのんで藤谷さんの動作を見つめている。
大声で会話するのが、はばかられる雰囲気である。
ましてや、藤谷さんに話しかけるなんてことは、とてもじゃないけどできそうにない。(したがって、今回も画像の掲載許可を得ていない)
ドローイング開始時からずっと記録写真を撮っているTさんが
「きょうはほとんどここにいるのに、藤谷さんが正面を向いた顔をまだ1度も見ていないんですよ」
と言う。
それぐらい、休みなく黒い紙に向かって線をひきつづけているということだ。
3月に札幌市資料館で制作途中の作品を見たときには、「終了時にはどんなふうになっているだろう」と思ったが、今回はそのことは、ほとんど気にならなかった。
これは、あのマンホールや札幌市中心部のビルを描いた作品などとちがって、完成形にはそれほど意味のあるものではないのだろう。
ここにあるのは、結果を予想しない、純粋な運動なのだと思う。藤谷さんは具象物をほとんどかかない。線は、なにものをも表象しない。といって、一般的な抽象画のように、美を構築しているのとも違うようだ。
きっと藤谷さんは、制作中にはほとんど考えることをせずに、無心に手を動かしているのだろう。ひたすらひかれつづけることに意義のある線なのだ、たぶん。
だとしたら、藤谷さんのやっていることは、美術というよりもむしろ演劇にちかいのかもしれない。
まあ、ジャンル分けはたいした問題ではないかもしれないけど。
ところで、ご本人にはまだ確認がとれていないのだが、このblogに寄せられたトラックバックによると、次の月のライブドローイングの予定はすでにきまっているようだ。
4月28日(土)・29日(日)11:00-19:00、ART-MAN Gallery(中央区南4東4 地図G)
■3月のライブドローイング「呼吸する部屋」
■2月のライブドローイング「CONCRETE FICTION」
■1-2月の個展「路上でお茶を」
考えてみれば筆者は、ライブドローイングの最中におじゃましたのは初めて。2月はちょうど藤谷さんが描き終わったタイミングだったし、3月は初日のライブが終わった後の、翌日の朝だったし。
筆者が会場のアートマンギャラリーをおとずれたのは、全2日間のうちの、初日の夕方。
会場は、黒く塗られた天井にあわせ、壁一面に黒い紙が貼られていた(案内状のはがきが、黒地に白い色で印刷されていたわけがわかった)。
始まってから6時間半がたって、すでにほとんどの部分が、白の線でうめつくされていた。
しばらく見ていたのだが、藤谷さんはチョークを持つ手をまったく止めることがない。
ふつうなら、或る部分を仕上げると、手を休めて一歩下がり
「ふーむ、構図はどうかなあ」
なんて感じで、全体を見渡す-なんてことをするんじゃないかと思う(筆者は実作者ではないのでよくわからないけど)。
しかし、藤谷さんはぜんぜん止まらない。
上から下へと垂れ下がる線の集積を書いていたかと思うと、そのままの姿勢で、花火のような模様をいくつも書き始める。その2つの動作のあいだに、すこしのタイムラグもないのだ。
それにしてもおどろくべき集中力だ。
数人いる観客も息をのんで藤谷さんの動作を見つめている。
大声で会話するのが、はばかられる雰囲気である。
ましてや、藤谷さんに話しかけるなんてことは、とてもじゃないけどできそうにない。(したがって、今回も画像の掲載許可を得ていない)
ドローイング開始時からずっと記録写真を撮っているTさんが
「きょうはほとんどここにいるのに、藤谷さんが正面を向いた顔をまだ1度も見ていないんですよ」
と言う。
それぐらい、休みなく黒い紙に向かって線をひきつづけているということだ。
3月に札幌市資料館で制作途中の作品を見たときには、「終了時にはどんなふうになっているだろう」と思ったが、今回はそのことは、ほとんど気にならなかった。
これは、あのマンホールや札幌市中心部のビルを描いた作品などとちがって、完成形にはそれほど意味のあるものではないのだろう。
ここにあるのは、結果を予想しない、純粋な運動なのだと思う。藤谷さんは具象物をほとんどかかない。線は、なにものをも表象しない。といって、一般的な抽象画のように、美を構築しているのとも違うようだ。
きっと藤谷さんは、制作中にはほとんど考えることをせずに、無心に手を動かしているのだろう。ひたすらひかれつづけることに意義のある線なのだ、たぶん。
だとしたら、藤谷さんのやっていることは、美術というよりもむしろ演劇にちかいのかもしれない。
まあ、ジャンル分けはたいした問題ではないかもしれないけど。
ところで、ご本人にはまだ確認がとれていないのだが、このblogに寄せられたトラックバックによると、次の月のライブドローイングの予定はすでにきまっているようだ。
藤谷康晴ライブドローイング
― 半透明肉体関係 ―
日時 : 5月27日(日) 開場9:30 10:00~18:00
会場 : 北海航測マカシブ(中央区北3条西17丁目 北海航測ビル1階)
4月28日(土)・29日(日)11:00-19:00、ART-MAN Gallery(中央区南4東4 地図G)
■3月のライブドローイング「呼吸する部屋」
■2月のライブドローイング「CONCRETE FICTION」
■1-2月の個展「路上でお茶を」
この絵に横線を入れている最中です。
、、、、なんかやりたくなったなあ。
でも、あの緊張感をやぶる勇気はちょっとないですね。