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松田与一「萌」 東川町の野外彫刻(7)

2019年09月05日 18時49分15秒 | 街角と道端のアート
(承前)

 上川管内東川町の「開拓百年記念公園」に置かれている野外彫刻の4体目。

 これまで3体裸婦が続いてきましたが、これは着衣の少女像です。


 作者の松田与一(與一)さんは、東川で「農民彫刻家」を名乗って活動しており、2012年に亡くなりました。
 筆者はお目にかかったことはありません。

 札幌の北農会館にある作品や、創成川沿いの大友亀太郎像などが代表作でしょう。
 東川の氷彫刻グループでも活躍しました。

 以前「アカデミック」と評したことがありますが、いま見ると、いわゆる日展系のアカデミスムの作品に比べると、ちょっと生硬な感じがします。しかしこれは、欠点ではなく、むしろこの作品の場合、高度な理想化よりも、身近な人を一生懸命に、きまじめに描写したという感じが、親しみやすさとなって結晶しているように思うのです。

 気品ある裸婦、崇高な人物像もいいですが、このバレーボールを手にしてまっすぐに前を向いている少女を見た町民は
「これ、誰それさんの娘さんみたいだね」
と、あたたかな気持ちになるのではないでしょうか。
 この作品が、裸婦像に交じってこの公園にあることの意味は、意外と大きいのです。



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