![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3b/fa/a8561df48925d6c55b8a1093d983046f.jpg)
北海道教育大学札幌校で日本画を学ぶ生徒たちが2006年まで毎年、時計台ギャラリーで「にかわ絵展」を開いていましたが、「にかわえ展」は、同校出身の若手が、新しい日本画をめざして一昨年から始めたグループ展です。
昨年は出品していなかった朝地信介さんらが復活し、なかなか見ごたえのある展覧会になっていると思います。
なんといっても目を引いたのが、先週さいとうギャラリーで個展を開いたばかりの吉川聡子さんによる二曲四双の屏風「Goth-Loli」です。
「ゴスロリ」とは「ゴシックロリータ」の略で、モノトーンを基調として、おそろしげな雰囲気と少女趣味を加味したような独特のファッションです。
屏風には、膨大なウサギのぬいぐるみが画面の下方を埋めつくし、その上には、左側にすわりこんだ女の子、右側にはぬいぐるみを手にして立ちつくしている女の子が描かれています。
描写力の高さは、さすが吉川さんですが、このリアルさは、やはり洋画とは違うんだよなー。明瞭(めいりょう)な輪郭線、明暗の乏しさ、白く飛んでいる背景-といった特徴は、伝統的な西洋画ではあり得ないのではないでしょうか。
でも画題は、屏風とは見事なまでのミスマッチで、これまでの吉川さんの作品系列からみても異例です。とてもユニークな作品だと思いました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/33/95/387c59ab0cce49edcbd53566949a4274.jpg)
ウサギといえば、駒澤千波さんは「dragonfly rabbits」は、トンボのような薄い羽の生えたウサギ27匹を、緑色の絵の具が流れ落ちる背景の前に配しています。このウサギは、駒澤さんの絵のトレードマークです。
内藤まゆさん「流れゆく」もおもしろい。
横長のパネル2枚からなり、もくもくとイラスト調の雲が描かれている間に、ススキや紅葉といった和風の意匠や、縦の太い直線が挟まります。「和ポップ」とでも評したい画面です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/50/b7/29eb60136d09d1bab5e389270f98d4a3.jpg)
M20の小品ですが、富樫はるかさん「フラッグツリー」も目を引きます。
遠くに水色の海を望む藍色の丘に、葉を落とした木が1本立って、枝という枝を右側になびかせています。それだけならシンプルな風景画なのですが、目をこらすと、背景の空が、三島の陶器のように細かい花模様がびっしりとおおわれています。日本画における意匠の大切さをあらためて考えさせる作品です。
このほか、あたらしい試みとして、「雪」というテーマで全員が小品を競作しました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/12/3d/103c8bd33b0317c2e1da451db1c95e3f.jpg)
出品作は次の通り。
朝地信介「或る表現型II」「或る表現型III」
池田さやか「淵」「うたたね」
今橋香奈子「ソラユメ」「ソライロ」「ユメウタ」
笠嶋咲好「Mの物語」
熊崎みどり「夕霧」
駒澤千波「dragonfly rabbits」
富樫はるか「夜の散歩」「フラッグツリー」
富山真佑「冬の日に」
内藤まゆ「流れゆく」
野口絹代「望春」
野口裕司「DROP」
百野道子「縁側に腰かけて」
桝本士乃「空」「秋I」「秋II」
丸野仁美「金色の神様」「白木蓮」
ミクニキョウコ「偶然の音楽」
宮町舞子「美味しい珈琲と。」「perfume garden 09」
村木愛「無題」
吉川聡子「Goth-Loli」
なお、隣室では、野口さんの個展「may be...」も開催中。
屏風のような形に折り曲げて床の上に、2枚の大きな透明の樹脂板を立てて、墨を激しくぶちまけています。
一般的な屏風はどの面もおなじ大きさですが、野口さんのインスタレーションは、面によって幅が異なります。
会場にあった説明文によると
「自と他の界面でのわかろうとするときの心のうごめきと、うねりをあらわしました。見えているようで、その相手の心の前で、そのmay be...とされるものが投影されてかたちをなすように空間を仕切りました」
とあります。
また、会場入り口ではCDケース型の作品を108点、ひとつ500円で販売しています。
「表から眺めてもその意味は理解しにくい」
というのがそのいわんとするところのようです。
野口さんの作品は、現代のコミュニケーションという問題を扱ったものといえそうです。
2009年1月12日(月)-17日(土)10:00-18:00(最終日-17:00)
札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3 地図A)
■にかわえ展(08年)
■第1回にかわえ展(07年)
■吉川聡子日本画展(09年1月)
□富樫さんのサイト「はるかはる」 http://harukaharu.fc2web.com/
□駒澤さんのサイト「KOMAKOMA」 http://chinakoma.web.fc2.com/
□吉川さんのblog「Blue Wings Blog」 http://pub.ne.jp/bluewings/
昨年は出品していなかった朝地信介さんらが復活し、なかなか見ごたえのある展覧会になっていると思います。
なんといっても目を引いたのが、先週さいとうギャラリーで個展を開いたばかりの吉川聡子さんによる二曲四双の屏風「Goth-Loli」です。
「ゴスロリ」とは「ゴシックロリータ」の略で、モノトーンを基調として、おそろしげな雰囲気と少女趣味を加味したような独特のファッションです。
屏風には、膨大なウサギのぬいぐるみが画面の下方を埋めつくし、その上には、左側にすわりこんだ女の子、右側にはぬいぐるみを手にして立ちつくしている女の子が描かれています。
描写力の高さは、さすが吉川さんですが、このリアルさは、やはり洋画とは違うんだよなー。明瞭(めいりょう)な輪郭線、明暗の乏しさ、白く飛んでいる背景-といった特徴は、伝統的な西洋画ではあり得ないのではないでしょうか。
でも画題は、屏風とは見事なまでのミスマッチで、これまでの吉川さんの作品系列からみても異例です。とてもユニークな作品だと思いました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/33/95/387c59ab0cce49edcbd53566949a4274.jpg)
ウサギといえば、駒澤千波さんは「dragonfly rabbits」は、トンボのような薄い羽の生えたウサギ27匹を、緑色の絵の具が流れ落ちる背景の前に配しています。このウサギは、駒澤さんの絵のトレードマークです。
内藤まゆさん「流れゆく」もおもしろい。
横長のパネル2枚からなり、もくもくとイラスト調の雲が描かれている間に、ススキや紅葉といった和風の意匠や、縦の太い直線が挟まります。「和ポップ」とでも評したい画面です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/50/b7/29eb60136d09d1bab5e389270f98d4a3.jpg)
M20の小品ですが、富樫はるかさん「フラッグツリー」も目を引きます。
遠くに水色の海を望む藍色の丘に、葉を落とした木が1本立って、枝という枝を右側になびかせています。それだけならシンプルな風景画なのですが、目をこらすと、背景の空が、三島の陶器のように細かい花模様がびっしりとおおわれています。日本画における意匠の大切さをあらためて考えさせる作品です。
このほか、あたらしい試みとして、「雪」というテーマで全員が小品を競作しました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/12/3d/103c8bd33b0317c2e1da451db1c95e3f.jpg)
出品作は次の通り。
朝地信介「或る表現型II」「或る表現型III」
池田さやか「淵」「うたたね」
今橋香奈子「ソラユメ」「ソライロ」「ユメウタ」
笠嶋咲好「Mの物語」
熊崎みどり「夕霧」
駒澤千波「dragonfly rabbits」
富樫はるか「夜の散歩」「フラッグツリー」
富山真佑「冬の日に」
内藤まゆ「流れゆく」
野口絹代「望春」
野口裕司「DROP」
百野道子「縁側に腰かけて」
桝本士乃「空」「秋I」「秋II」
丸野仁美「金色の神様」「白木蓮」
ミクニキョウコ「偶然の音楽」
宮町舞子「美味しい珈琲と。」「perfume garden 09」
村木愛「無題」
吉川聡子「Goth-Loli」
なお、隣室では、野口さんの個展「may be...」も開催中。
屏風のような形に折り曲げて床の上に、2枚の大きな透明の樹脂板を立てて、墨を激しくぶちまけています。
一般的な屏風はどの面もおなじ大きさですが、野口さんのインスタレーションは、面によって幅が異なります。
会場にあった説明文によると
「自と他の界面でのわかろうとするときの心のうごめきと、うねりをあらわしました。見えているようで、その相手の心の前で、そのmay be...とされるものが投影されてかたちをなすように空間を仕切りました」
とあります。
また、会場入り口ではCDケース型の作品を108点、ひとつ500円で販売しています。
「表から眺めてもその意味は理解しにくい」
というのがそのいわんとするところのようです。
野口さんの作品は、現代のコミュニケーションという問題を扱ったものといえそうです。
2009年1月12日(月)-17日(土)10:00-18:00(最終日-17:00)
札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3 地図A)
■にかわえ展(08年)
■第1回にかわえ展(07年)
■吉川聡子日本画展(09年1月)
□富樫さんのサイト「はるかはる」 http://harukaharu.fc2web.com/
□駒澤さんのサイト「KOMAKOMA」 http://chinakoma.web.fc2.com/
□吉川さんのblog「Blue Wings Blog」 http://pub.ne.jp/bluewings/