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■札幌学院大学総合芸術研究会写真部卒業制作展(3月11日で終了)

2007年03月14日 07時21分27秒 | 展覧会の紹介-写真
 4人展。4人ともそれぞれ作風がばらばらなので、たのしめました。

 山田紘史さんは「NAMELESS BOOGIE」と題し、いろんなライブの写真を撮りました。すべてモノクロで、約30点。
 まあ、よくある写真ではありますが、黒が黒らしくしっかり焼けているのは、好感度大。
 それと、演奏の写真にまじって、ときおり、機材や配線をアップでとらえた写真が挿入されます。これが、全体をうまくクールダウンさせていると思います。

 比嘉隆治さんは、沖縄の写真ばかりカラー40枚余りとモノクロ7枚。
 どうしたものか、札幌の大学生で、沖縄旅行の写真を展示する人は少なくないのですが、あまりおもしろいものは見当たりません。比嘉さんは、たくさん展示していることもあり、見ごたえがあります。
 子どもたちが遊んでいるところを逆光でとらえた写真や、夜の街で水たまりに街燈が反射しているさまを写したものなどは、なにか甘い郷愁と旅愁を漂わせます。
 後半のカラーは、平和通りや海岸などがモティーフ。プリントの調子も良いです。

 それに対して、「水 魅」と題した若月啓さんのカラーデジタル写真は、緑が平板、輪郭がぼける、全体的に奥行き感にとぼしい…など、デジタルの欠点ばかりが目に付くプリントなのですが、見ているうちに、これはこれでいいやと思えてきました。
 凍った滝や、明かりに照らされる氷の像などは、むしろ人工的なデジタルの調子のほうが、おもしろみを感じられるのだと思います。

 Kennji Takedaさんは、「Tapestry」「Blink of green」「Accent cloud」「Anti」の4組を出品。
 布といっしょに組み合わせて壁に貼るなど、工夫を凝らしています。
 「Anti」は、顔が巧妙に隠されている女性モデルと布の絡み合いのような場面を写したモノクロ3枚組みですが、撮影でじっさいにつかったレースの布を一緒に貼り付けています。
 しかし、筆者がいちばん好きだったのは、展示ではなく、アルバムとして会場に置かれていた「Inner feeling」でした。なにか、作者の内面をのぞいたような気にさせられる、内省的な作品群でした。


3月6日(火)-11日(日)10:00-19:00(初日13:00-、最終日-17:00)
札幌市写真ライブラリー(中央区北2東4、サッポロファクトリー・レンガ館3階、地図G

札幌学院大学写真部のサイト
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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (asano)
2007-03-14 22:19:26
お疲れさまです

比嘉君は沖縄出身の方です。
旅行者としての視点ではなく、沖縄で育った彼の気持ちが梁井さんの仰る「なにか甘い郷愁」を感じさせるのかもしれません。

浅野的には彼の捉えた基地周辺の廃れた街並み、何か枯れたような空気感が好きです。


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アジア的原風景なのか (T.nakamura)
2007-03-14 22:54:23
浅野さん、やないさん、久しぶりです。

比嘉さんのA4サイズでデジタルプリントした写真たちにつよくこころが動かされました。

E社のプリンタ2台(5000を使ったそうです。紙質も最高のものを選んだそうですし、
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Unknown (ねむいヤナイ@北海道美術ネット)
2007-03-15 23:54:12
>asanoさん
苗字からしてひょっとすると、とは思ってましたが、よくこんな遠い大学に入りましたねえ。

森山大道の横須賀ほどではないですが、なんだかうらぶれた風景がいい味出してましたね。


>T.nakamuraさん、おひさしぶりです。
プリントには、たしかに感心させられました。
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