北海道を代表する中堅作家4人による連続個展「北の創造者たち展-虚実皮膜・・その後」のしんがりは、伊藤隆介さんです。
今回は、「Realistic Viturality」シリーズのひとつと思われる「Film Studies(オデッサの階段)」を出品しています。
以下、ネタバレ注意というか、見に行く予定の人は読まないでほしいのですが、というかみなさんに見に行ってほしいので、そうするとこのエントリの意味はなんなんだということになるのですが、まあ、カンのいい人は、題名だけ見て、だいたいどんな作品か、わかったんじゃないかと思います。
作品自体は、同シリーズの他作品とおなじく、回転する物体を小型CCDカメラでエンドレスに撮影し、リアルタイムで正面の壁に投影するというもの。今回のネタは、円盤状のガタガタ道を行く乳母車。映像では、あたかも乳母車が坂道を永遠に下りているように見えます。
もちろん、エッシャーの絵ではないので、永遠に下ることはできず、小型CCDカメラを斜めに取り付けることによってそういう効果を出しているのです。
元ネタの「戦艦ポチョムキン」の、乳母車が階段をひとりでに下りてゆくシーンは、映画史でも最も有名なシーンのひとつと言っていいでしょう(「未来世紀ブラジル」などで「引用」されています)。
おもしろいのは、会場に19脚のいすがならんでいることで、映画館らしい雰囲気をただよわせています。
また、映像では見えない、乳母車の内部も精巧に作っているあたりは、この作者ならではのこだわりがうかがえます。
「Realistic Viturality」のシリーズは、現実と虚構の境目について、あるいは、現実とはそもそも何かということについて、見る人に考えさせる作品であると言えると思うのですが、今回は、なぞられている対象が、古典的ともいえる虚構の映像なわけで、虚構を虚構がなぞるというか、ややこしくなっているともいえるわけです。
もうすこし考察を深めなくてはと思いますが、とりあえず…。
3月7-26日(日)
札幌芸術の森美術館(札幌市南区芸術の森2)
□本人のサイト
■2004年の個展
■虚実皮膜展について
今回は、「Realistic Viturality」シリーズのひとつと思われる「Film Studies(オデッサの階段)」を出品しています。
以下、ネタバレ注意というか、見に行く予定の人は読まないでほしいのですが、というかみなさんに見に行ってほしいので、そうするとこのエントリの意味はなんなんだということになるのですが、まあ、カンのいい人は、題名だけ見て、だいたいどんな作品か、わかったんじゃないかと思います。
作品自体は、同シリーズの他作品とおなじく、回転する物体を小型CCDカメラでエンドレスに撮影し、リアルタイムで正面の壁に投影するというもの。今回のネタは、円盤状のガタガタ道を行く乳母車。映像では、あたかも乳母車が坂道を永遠に下りているように見えます。
もちろん、エッシャーの絵ではないので、永遠に下ることはできず、小型CCDカメラを斜めに取り付けることによってそういう効果を出しているのです。
元ネタの「戦艦ポチョムキン」の、乳母車が階段をひとりでに下りてゆくシーンは、映画史でも最も有名なシーンのひとつと言っていいでしょう(「未来世紀ブラジル」などで「引用」されています)。
おもしろいのは、会場に19脚のいすがならんでいることで、映画館らしい雰囲気をただよわせています。
また、映像では見えない、乳母車の内部も精巧に作っているあたりは、この作者ならではのこだわりがうかがえます。
「Realistic Viturality」のシリーズは、現実と虚構の境目について、あるいは、現実とはそもそも何かということについて、見る人に考えさせる作品であると言えると思うのですが、今回は、なぞられている対象が、古典的ともいえる虚構の映像なわけで、虚構を虚構がなぞるというか、ややこしくなっているともいえるわけです。
もうすこし考察を深めなくてはと思いますが、とりあえず…。
3月7-26日(日)
札幌芸術の森美術館(札幌市南区芸術の森2)
□本人のサイト
■2004年の個展
■虚実皮膜展について
何かの拍子で倒れちゃうこともあるんでしょう。
>あたかも乳母車が坂道を永遠に下りているように
私が行ったときは、乳母車が横倒しになって下っていました。本来は普通に降りているんですよね?
「横倒しの方が深い意味がありそう」なんて思って見たりもしましたが。