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木内克「母子像」 旭川の野外彫刻(21)

2021年01月26日 09時30分55秒 | 街角と道端のアート
(承前)

 さて、旭川市役所の北隣にあるのが、旭川市民文化会館です。
 このロビーにある作品を紹介していきます。
 これも、厳密に言えば「野外」ではないのですが…。

 まず「母子像」。
 画像からではわからないかもしれませんが、相当デカイ作品です。
 『あさひかわと彫刻』によると、なんと高さ2.9メートルもあるそうです。1967年の第21回新樹会出品作。



 作者の木内克きのうちよしは、有名な彫刻家であり、「婦人誕生」で第1回中原悌二郎賞の受賞者であることから旭川との縁も深い人です。

 ここも同書の115ページから引用します。
 漢数字は洋数字に直しました。

 木内克は明治25年(1892年)に水戸で生まれ、朝倉文夫が主催する朝倉塾で学んだ後、大正10年(1921年)ヨーロッパに渡り、一時ブールデルに師事している。15年間にわたるヨーロッパでの生活を終えて帰国、二科展などに作品を発表した。戦後は新樹会を中心に作品を発表(中略)、特に、テラコッタの作品に独特の世界を創り出し、多くのファンを持っていたが、昭和52年に85歳で他界している。


 死後、のこされていた作品の原型83点が、中原悌二郎賞の縁で旭川市に寄贈され、1990年から順次鋳造を行いました。94年までに67点がブロンズ化され、日の出橋の「裸婦立像」のほか、中原悌二郎記念旭川市彫刻美術館で所蔵しています。
 フランス滞在時代の「犬」や、代表作「女の顔」「見つけたポーズ」「手のあるトルソ」「エーゲ海に捧ぐ」などがあるそうです。

 92年には道立旭川美術館で「木内克のすべて」展が、95年には旭川市彫刻美術館で木内克展が開かれています。

 上述の「エーゲ海に捧ぐ」は、腕のないトルソの裸婦像で、そのかわり長い髪が胴体の両サイドで波打つ、曲線が豊かな作品です。頭部は極端に小さく、腰や脚のカーブが強調されています。
 なお、1971年の作なので、版画家池田満寿夫が書いた同名の芥川賞受賞作のほうが後ということになりますね。

 この母子像は、目や手などが実際より強調されています。
 木内克の人物のデフォルメの仕方は、独特のものがあるなあとあらためて思います。






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