北海道美術ネット別館

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第6回北の群展(5月14日まで)

2006年05月12日 05時51分14秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 北海道の抽象絵画のパイオニアで、この展覧会の中心的な存在だった菊地又男さんが、第1回展の直後に亡くなり、それ以降はメンバーを少しずつ入れ替えながらも、毎年ひらかれています。
 斉藤勝行さんは、夏は奥尻島で作業員として働きながら、毎回、原爆の惨禍をテーマにした大作を発表しています。今回の「ヒロシマ」は、パネル8枚をつなげた、1.8×3.6メートルの作品。以前はピカソの「ゲルニカ」を連想させる作風だったのですが
「子どもたちに見てもらうにはアニメ調のほうが良いかと思って」
と、全体的に丸っこい絵柄になり、登場するのも犬ばかりになりました。画材も木炭からアクリル絵の具に変わっています。しかし、焼け野原にそそり立つ木や、爆発の時間を示す時計など、原爆の悲劇性を強調するモティーフは、描きこまれています。


 斉藤勝行さんは「日本の詩」という、朱や緑を基調とした小品の抽象画も出品しています。色づかいもさることながら、陶芸の三島のようないかにも日本的な文様が画面の大半を覆っているのが目を引きます。これは、着物の染につかう型紙にアクリル絵の具を押し当てて表現したものだそうです。
 さらに、20年以上前に描いた「夕暮れの岩内港」は、雲と茜色の空が織りなすロマンティックな風景画。
 ご本人は
「もうこういう絵は描けなくなった」
と苦笑していました。
 勝行さんのお兄さんの斉藤邦彦さんも毎回、重厚な抽象画を出品しています。
 今回は「愛のブルース(A)」「愛のブルース(B)」。(A)は、茶の地に、横一線に黒の太い帯が引かれ、その上を即興的な白い線が躍っています。要所に配された青の矩形が絶妙の効果を上げています。
 スペインで絵画を学び現在は空知管内長沼町に住む三浦逸雄さんは「インテリオール」シリーズ5点を出しました。
 それぞれ「白い裸婦」「包まる男」「日暮れ」「白いドア」(同題2点)と、副題がついています。
 いずれも、がらんとした室内で、たたずんでいたり、横たわっていたりする人物を、省筆を生かして描いており、人間の存在とはなにかを考えさせる、ふしぎなたたずまいを持った絵画です。
 斉藤真子さんの「みずたまり」「そら」(同題2点)も、気になりました。「みずたまり」は、水色の水たまりと中空に浮かぶ黄色い月、右側を走る青い線など、ごく簡潔な構図の作品。熊谷元一が文人画ふうのあたたかみをもっているのに対し、こちらは孤独な雰囲気をただよわせます。
 岡田玲子さん「白日夢」も印象にのこりました。
 
 5月9-14日 10:00-18:00
 コンチネンタルギャラリー(中央区南1西11、コンチネンタルビル地下1階 地図C)

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
見ました (shino)
2006-05-13 22:58:01
仕事の合間に見ましたが、もっとじっくり見たかった展覧会でした。

私も三浦逸雄さんの作品が、印象に残りました。

ちょっとムンクを思い出しました。



また次回も楽しみです。
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三浦さん (ねむいヤナイ@北海道美術ネット)
2006-05-14 12:38:21
わたしはモランディを思い出すんですよ。

静物画の存在論を人物でやってるみたいな、そんな感じ。
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Unknown (SH)
2006-05-14 13:48:41
ヤナイさん、こんにちは。

私も、三浦さんの画が気になります。確かユリイカで個展をされていたんじゃなかったでしょうか。作品の数が多くなると、不思議感が増していきますね。
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Unknown (ねむいヤナイ@北海道美術ネット)
2006-05-14 20:59:15
たしかに、ギャラリーユリイカ(中央区南3西1、和田ビル2階)で個展をひらいていました。

ことしは、東京でも個展を開催しています。
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