会場に入るとりっぱなカラーの目録を手渡された。
表紙をめくると、次のような文が書いてあった。
小樽というと、「小樽派」と称される道展の写実的な風景画家をまず思い浮かべる向きもあろうが、現代美術の土壌も厚い。
前衛的な版画家一原有徳さんを別格としても、この展覧会で代表を務める佐渡さんらが、Pacific Rim展などを組織してきた。
今回は、いわゆる現代美術以外にも、一般的な絵画や版画もある。さらに写真の出品もあり、かなり幅を広げた構成になっている。
出品者は次の通り。
秋山一郎(滋賀県)、浅賀正生、一原有徳、上嶋秀俊、小川豊、神田泰行、Kit_A(浦河)、齋藤周、佐藤正行、佐渡富士夫、高野理栄子、高橋一文、谷口明志(札幌)、ダム・ダン・ライ、千葉豪、ナカマルダイスケ(東京都)、松田研、坂東宏哉(札幌)、三宅悟、森万喜子、村山之都(東京都)
道展の「九室会」ともいえそうなグループ展「PLUS ONE」のメンバーが多いのはたぶん偶然だろう。ダム・ダン・ライさん以外はみな札幌在住である。
さらに秋山さんは昨年、「PLUS ONE」メンバーとグループ展を、札幌のトオンカフェで開いている。
村山之都さんは、昨年「サッポロ未来展」を卒業した人。今回の出品作「baby_youth」は、画面を20に等分し、それぞれに西洋人(多くは子ども)の肖像画を描いているので、なんだかボルタンスキーを一部カラーにしたみたいでもあるが、それぞれの肖像画のすき間には、村山さん得意?のセーラー服の少女の後ろ姿やヌードピンナップなど雑多な絵が挿入されている。
いちばん驚いたのは神田泰行さんの組写真だった。
モノクロの焼きが抜群なのはいつもなのだが、今回は、小樽築港のヤードが廃止され、巨大ショッピングセンターなどが建って再開発がなされるまでの「はざま」をテーマにしているようだ。
単なる廃墟系ではない。蒸気機関車用のさびたターンテーブルや、車庫?の機械などは、一部を切り取ることで、ありがちなアングルを回避している。
さらに、随所に、潮見台の丘から見た附近の前景写真や、はびこる雑草の写真を入れて、変化に富んだ組写真にしている。
くだんのショッピングセンターは負債に苦しみ、さらに中心商店街を大幅に圧迫し、いまとなっては小樽にはマイナスの結果をもたらしたとしか言いようがないと筆者には感じられるのだけど、評価はさておくとしてもこの場所の貴重な変化をじっくりと腰を据えて記録しえたのは、地元の写真家だからだと思う。
あんまし「現代美術」っぽくはないんだけど、個人的にはダントツに好きな作品。
2010年4月27日(火)~5月2日(日)10:00~6:00(最終日-5:00)
市立小樽美術館3階市民ギャラリー(小樽市色内1)
■PLUS 1 Groove (2009年8月)
■PLUS 1 +柴橋伴夫企画 空間の触知へ-連鎖の試み 千代明 秋山一郎 齋藤周 (2009年8月)
表紙をめくると、次のような文が書いてあった。
小樽発の現代美術展がようやく実現しました。
ジャンルは問わず、現代を切り口として
新しい表現を模索している人達に呼びかけました。
小樽つながりで、かつて小樽と関わりのあった人達にも参加してもらい、
次第にこの輪を広げてゆきたいと思っています。
色と線のカクテルのようなこの展覧会をどうぞお楽しみください。
この展覧会は2年に一度行う予定です。
代表 佐渡富士夫
小樽というと、「小樽派」と称される道展の写実的な風景画家をまず思い浮かべる向きもあろうが、現代美術の土壌も厚い。
前衛的な版画家一原有徳さんを別格としても、この展覧会で代表を務める佐渡さんらが、Pacific Rim展などを組織してきた。
今回は、いわゆる現代美術以外にも、一般的な絵画や版画もある。さらに写真の出品もあり、かなり幅を広げた構成になっている。
出品者は次の通り。
秋山一郎(滋賀県)、浅賀正生、一原有徳、上嶋秀俊、小川豊、神田泰行、Kit_A(浦河)、齋藤周、佐藤正行、佐渡富士夫、高野理栄子、高橋一文、谷口明志(札幌)、ダム・ダン・ライ、千葉豪、ナカマルダイスケ(東京都)、松田研、坂東宏哉(札幌)、三宅悟、森万喜子、村山之都(東京都)
道展の「九室会」ともいえそうなグループ展「PLUS ONE」のメンバーが多いのはたぶん偶然だろう。ダム・ダン・ライさん以外はみな札幌在住である。
さらに秋山さんは昨年、「PLUS ONE」メンバーとグループ展を、札幌のトオンカフェで開いている。
村山之都さんは、昨年「サッポロ未来展」を卒業した人。今回の出品作「baby_youth」は、画面を20に等分し、それぞれに西洋人(多くは子ども)の肖像画を描いているので、なんだかボルタンスキーを一部カラーにしたみたいでもあるが、それぞれの肖像画のすき間には、村山さん得意?のセーラー服の少女の後ろ姿やヌードピンナップなど雑多な絵が挿入されている。
いちばん驚いたのは神田泰行さんの組写真だった。
モノクロの焼きが抜群なのはいつもなのだが、今回は、小樽築港のヤードが廃止され、巨大ショッピングセンターなどが建って再開発がなされるまでの「はざま」をテーマにしているようだ。
単なる廃墟系ではない。蒸気機関車用のさびたターンテーブルや、車庫?の機械などは、一部を切り取ることで、ありがちなアングルを回避している。
さらに、随所に、潮見台の丘から見た附近の前景写真や、はびこる雑草の写真を入れて、変化に富んだ組写真にしている。
くだんのショッピングセンターは負債に苦しみ、さらに中心商店街を大幅に圧迫し、いまとなっては小樽にはマイナスの結果をもたらしたとしか言いようがないと筆者には感じられるのだけど、評価はさておくとしてもこの場所の貴重な変化をじっくりと腰を据えて記録しえたのは、地元の写真家だからだと思う。
あんまし「現代美術」っぽくはないんだけど、個人的にはダントツに好きな作品。
2010年4月27日(火)~5月2日(日)10:00~6:00(最終日-5:00)
市立小樽美術館3階市民ギャラリー(小樽市色内1)
■PLUS 1 Groove (2009年8月)
■PLUS 1 +柴橋伴夫企画 空間の触知へ-連鎖の試み 千代明 秋山一郎 齋藤周 (2009年8月)