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■馬場怜 米澤邦子二人展 響きあう書と絵 (2014年10月14~19日、札幌)

2014年10月22日 21時53分57秒 | 展覧会の紹介-複数ジャンル
 
 馬場怜さんは後志管内余市町在住の書家。来年90歳を迎える大ベテランである。北海道書道展の会員でもある。
 米澤邦子さんは札幌の画家。全道展会員。
 同管内の小学校で馬場さんの教え子であり、卒業の後も交流を続けてきたという。

 馬場さんは、書の中でも「墨象」の分野で全国的な作家といって差し支えないだろう。墨象は、前衛書とは異なり、あくまで「文字」にこだわり、文字を書くことに踏みとどまる表現である。



 たとえば、上の画像で、左の作品は「所」。
 余白の取り方などに、絶妙のバランス感覚がうかがえる。

 ほかに「佛」「舞」など計11点。




 米澤さんはさまざまな技法を用い、ひそやかな抽象世界をつくっている。

 右は「流路」。
 絵の具を塗ったキャンバスの上から和紙を貼り、ローラーや、障子貼り用の刷毛で伸ばす。そのときに生じた表面のしわが、画面に独特の表情を与えている。

 左は「冬景」。
 こちらも表面に不規則に現れる凹凸がおもしろい効果をあげている。




 「夜の庭」。
 米澤さんは絵の具だけでなく、化粧品やペンなどさまざまな画材?を用いている。
 また、筆でなく、スポンジで絵の具を、強弱をつけて着彩することもあるという。厚塗りのこともあれば、キャンバスの目が画面の表情になるような薄塗りのこともある。
 さらに、支持体に段ボールを使うこともあるなど、探究心は旺盛だ。

 米澤さんの絵の世界に近い画家を、強いて挙げればパウル・クレーだろうか。
 しかし、クレーの絵が、小さな世界で内側へ内側へと求心力を見せるのに対し、米澤さんの世界は、細かいのにもかかわらず、広い。

 夜の風に当たりながら暗い風景を見ているときにわき起こるような、言葉にしにくい、わずかな感情のさざなみ。
 そんなものが、彼女の絵には、静かに広がっているように思える。



 馬場さんの「為」。
 造形でもあり文字でもある。その境界線にある表現のすごみを、一見なんでもないようなかたちで提示している。


2014年10月14日(火)~19日(日)午前10時~午後7時(最終日~5時)
GALLERY ESSE (札幌市北区北9西3)

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