ややこしい名前がついているが、会場の
JRタワープラニスホール
は、いわゆるJRタワーにあるのではなく、以前「そごう」が入っていた札幌エスタの11階にある。オープンは1989年。
それ以降、さまざまな用途に貸し出されてきたが、このほど
「アート展の開催可能なホールとして、リニューアルを行いました」
とのこと。
ただ、これまで美術展が開かれていなかったわけではなく、昨年7月には、「藤田嗣治展-エコール・ド・パリの風」がひらかれている。
2009年5月14日の読売新聞北海道版などによると、美術評論家の吉田豪介さんや
、美術館の学芸員が話し合って、出品作家の顔ぶれを決めたらしい。
吉田豪介さんは、読売紙に寄せた文章の中で、かつて道立近代美術館がひらいていた「北海道現代作家展」のことを思い出していたが、たしかに、それにふさわしい豪華な顔ぶれだと思う。
札幌在住と案内はがきには書いてあるが、石狩と北広島の作家もいる。
豪華で重厚な分、意外性はとぼしく、40歳以下は波田浩司さんしかいない。
40代も北口さつきさん、平向功一さん、阿地信美智さん、下沢敏也さん、伊藤隆介さん、端聡さんの6人だけ。非常に平均年齢の高い展覧会といえる。
旧作が多いのは、作家選定から展覧会までの日数があまりなかったことを暗示していよう。
そのなかで、入り口附近にあった阿部典英さんの新作立体は圧巻。
昨年、札幌宮の森美術館でひらかれた「SCAN DO SCAN」展の作品の延長線上といえそうだが、とにかく重量感がある。
また、松隈康夫さんの作品は、ユーモアと存在感を兼ね備えていて目を引いた。
絵画では、八木伸子さんの新作「冬木立」が、これまでにも増して枯淡・閑寂の境地。
ここ最近は抽象的な傾向を強めていた木村富秋さんは、人物と馬をかっちりと描き、具象に回帰する傾向をみせている。
ところで、新しい展示スペースができたことは歓迎したいが、とりあえず「顔見世興行」が終わって、今後はどうするのだろう?
単なる貸しホールではない、独自の企画を見せてくれることを願う。
蛇足ながら、プラニスホールにはエスカレーターでは行けず、エレベーターで行くことになる。
エスタのエレベーターは、とくに休日は混雑するので、地下から行ったほうが賢明だ。
絵画)
伊藤光悦「TARGET」2005年 油彩・キャンバス 130.3×162.0
香取正人「坂の上の街」2004年 油彩・キャンバス 130.3×162.0
川井坦「アンコールの微笑」2008年 膠彩・紙 162.0×130.3
川畑盛邦「風景'07-4」2007年 ミクストメディア 112.1×162.1
木嶋良治「水温む」2009年 油彩・キャンバス 130.3×162.0
北口さつき「記憶の中で」2008年 膠彩・紙 162.0×130.3
木村富秋「明日へ」2009年 油彩・キャンバス 162.0×162.0
佐藤武「時」2008年 アクリリック・キャンバス 194.0×97.0
杉山留美子「無碍光'09」2009年 アクリリック・帆布 130.3×97.0
竹岡羊子「井戸端会議(うわさの行方)」2008年 油彩・キャンバス 162.1×162.1
栃内忠男「自画像」2009年 油彩・キャンバス 193.9×130.3
西田陽二「8月に翼を」2007年 油彩・キャンバス 160.2×130.3
波田浩司「羽の舞う日」2008年 油彩・キャンバス 162.1×162.1
平向功一「世界の果てまで」2009年 膠彩・布 116.7×116.7
「末裔たちの午後」2007年 膠彩・紙 60.0×90.0
伏木田光夫「A婦人の肖像」2009年 油彩・キャンバス 116.7×72.7
「煎餅焼器のある空間」2009年 油彩・キャンバス 72.8×72.8
堀内掬夫「作品SEED-01」2007年 油彩・キャンバス 162.0×130.3
森山誠「卓上07-5」2007年 油彩・キャンバス 112.1×145.5
八木伸子「冬木立」2009年 油彩・キャンバス 116.7×116.7
八木保次「雪1」2007年 ガッシュ・紙 107.0×76.0
「雪2」2007年 ガッシュ・紙 107.0×76.0
版画)
伊藤倭子「蔓薔薇」2006年 銅版・紙 40×36.5
「石榴と皿の果実」2003年 銅版・紙 36.5×30
大井戸百合子「ラマダンの町」2005年 銅版・紙 30×35
「生地屋街」2004年 銅版・紙 30×25
岡部昌生「ANTICA“FONTANA in PIAZZA GIDVA”」2007年 フロッタージュ 紙、鉛筆、テープ 260×300
玉村拓也「ヴェッキオ橋カルテット」2008年 木版・紙 52×37
「ハッピー街道を走る」2007年 木版・紙 73×52
手島圭三郎「冬の日」2007年 木版・紙 55×75
「冬の日」2008年 木版・紙 55×75
艾沢詳子「-120808-」2008年 コラグラフ・紙 70×100
「-050704-」2004年 コラグラフ・紙 100×70
渡会純价「Symphony Orchestra」1986年 銅版・紙 60×70
「マリオネットの公園」1981年 銅版・紙 75×56
彫刻・立体)
阿地信美智「スカイライン(使いものにならない領域 弐の弐)」2008年 木 H83.5×W145.0×D194.5
阿部典英「ねぇ ダンナさん あるいは告・克・刻」2009年 木、パルプ、油性樹脂、黒鉛、その他 H200×W185×D185
小野寺紀子「Sedere」2008年 ポリエステル樹脂・木台 H133×W250×D108
柿崎熙「林縁から」2008年 木・アクリリック (H20×W18×D10)×4
國松明日香「水面の風 #11」2006年 鉄・ステンレス鋼 H36×W295×D200
下沢敏也「RE-BIRTH」2008年 陶土 (H200×W40×D40)×2
端聡「過去は今によって変わり、未来は今によって」2007年 鉄、DVD、プロジェクター、乳剤液 H230×W90×D70
松隈康夫「種がまいてあります #7」2009年 木 H185×W57×D35
映像)
伊藤隆介「ポータブル・デュシャン」2008年 ミクストメディア 30×40
2009年5月9日(土)-28日(木)10:00-19:00 会期中無休
JRタワープラニスホール(中央区北5西2 札幌エスタ11階)
JRタワープラニスホール
は、いわゆるJRタワーにあるのではなく、以前「そごう」が入っていた札幌エスタの11階にある。オープンは1989年。
それ以降、さまざまな用途に貸し出されてきたが、このほど
「アート展の開催可能なホールとして、リニューアルを行いました」
とのこと。
ただ、これまで美術展が開かれていなかったわけではなく、昨年7月には、「藤田嗣治展-エコール・ド・パリの風」がひらかれている。
2009年5月14日の読売新聞北海道版などによると、美術評論家の吉田豪介さんや
、美術館の学芸員が話し合って、出品作家の顔ぶれを決めたらしい。
吉田豪介さんは、読売紙に寄せた文章の中で、かつて道立近代美術館がひらいていた「北海道現代作家展」のことを思い出していたが、たしかに、それにふさわしい豪華な顔ぶれだと思う。
札幌在住と案内はがきには書いてあるが、石狩と北広島の作家もいる。
豪華で重厚な分、意外性はとぼしく、40歳以下は波田浩司さんしかいない。
40代も北口さつきさん、平向功一さん、阿地信美智さん、下沢敏也さん、伊藤隆介さん、端聡さんの6人だけ。非常に平均年齢の高い展覧会といえる。
旧作が多いのは、作家選定から展覧会までの日数があまりなかったことを暗示していよう。
そのなかで、入り口附近にあった阿部典英さんの新作立体は圧巻。
昨年、札幌宮の森美術館でひらかれた「SCAN DO SCAN」展の作品の延長線上といえそうだが、とにかく重量感がある。
また、松隈康夫さんの作品は、ユーモアと存在感を兼ね備えていて目を引いた。
絵画では、八木伸子さんの新作「冬木立」が、これまでにも増して枯淡・閑寂の境地。
ここ最近は抽象的な傾向を強めていた木村富秋さんは、人物と馬をかっちりと描き、具象に回帰する傾向をみせている。
ところで、新しい展示スペースができたことは歓迎したいが、とりあえず「顔見世興行」が終わって、今後はどうするのだろう?
単なる貸しホールではない、独自の企画を見せてくれることを願う。
蛇足ながら、プラニスホールにはエスカレーターでは行けず、エレベーターで行くことになる。
エスタのエレベーターは、とくに休日は混雑するので、地下から行ったほうが賢明だ。
絵画)
伊藤光悦「TARGET」2005年 油彩・キャンバス 130.3×162.0
香取正人「坂の上の街」2004年 油彩・キャンバス 130.3×162.0
川井坦「アンコールの微笑」2008年 膠彩・紙 162.0×130.3
川畑盛邦「風景'07-4」2007年 ミクストメディア 112.1×162.1
木嶋良治「水温む」2009年 油彩・キャンバス 130.3×162.0
北口さつき「記憶の中で」2008年 膠彩・紙 162.0×130.3
木村富秋「明日へ」2009年 油彩・キャンバス 162.0×162.0
佐藤武「時」2008年 アクリリック・キャンバス 194.0×97.0
杉山留美子「無碍光'09」2009年 アクリリック・帆布 130.3×97.0
竹岡羊子「井戸端会議(うわさの行方)」2008年 油彩・キャンバス 162.1×162.1
栃内忠男「自画像」2009年 油彩・キャンバス 193.9×130.3
西田陽二「8月に翼を」2007年 油彩・キャンバス 160.2×130.3
波田浩司「羽の舞う日」2008年 油彩・キャンバス 162.1×162.1
平向功一「世界の果てまで」2009年 膠彩・布 116.7×116.7
「末裔たちの午後」2007年 膠彩・紙 60.0×90.0
伏木田光夫「A婦人の肖像」2009年 油彩・キャンバス 116.7×72.7
「煎餅焼器のある空間」2009年 油彩・キャンバス 72.8×72.8
堀内掬夫「作品SEED-01」2007年 油彩・キャンバス 162.0×130.3
森山誠「卓上07-5」2007年 油彩・キャンバス 112.1×145.5
八木伸子「冬木立」2009年 油彩・キャンバス 116.7×116.7
八木保次「雪1」2007年 ガッシュ・紙 107.0×76.0
「雪2」2007年 ガッシュ・紙 107.0×76.0
版画)
伊藤倭子「蔓薔薇」2006年 銅版・紙 40×36.5
「石榴と皿の果実」2003年 銅版・紙 36.5×30
大井戸百合子「ラマダンの町」2005年 銅版・紙 30×35
「生地屋街」2004年 銅版・紙 30×25
岡部昌生「ANTICA“FONTANA in PIAZZA GIDVA”」2007年 フロッタージュ 紙、鉛筆、テープ 260×300
玉村拓也「ヴェッキオ橋カルテット」2008年 木版・紙 52×37
「ハッピー街道を走る」2007年 木版・紙 73×52
手島圭三郎「冬の日」2007年 木版・紙 55×75
「冬の日」2008年 木版・紙 55×75
艾沢詳子「-120808-」2008年 コラグラフ・紙 70×100
「-050704-」2004年 コラグラフ・紙 100×70
渡会純价「Symphony Orchestra」1986年 銅版・紙 60×70
「マリオネットの公園」1981年 銅版・紙 75×56
彫刻・立体)
阿地信美智「スカイライン(使いものにならない領域 弐の弐)」2008年 木 H83.5×W145.0×D194.5
阿部典英「ねぇ ダンナさん あるいは告・克・刻」2009年 木、パルプ、油性樹脂、黒鉛、その他 H200×W185×D185
小野寺紀子「Sedere」2008年 ポリエステル樹脂・木台 H133×W250×D108
柿崎熙「林縁から」2008年 木・アクリリック (H20×W18×D10)×4
國松明日香「水面の風 #11」2006年 鉄・ステンレス鋼 H36×W295×D200
下沢敏也「RE-BIRTH」2008年 陶土 (H200×W40×D40)×2
端聡「過去は今によって変わり、未来は今によって」2007年 鉄、DVD、プロジェクター、乳剤液 H230×W90×D70
松隈康夫「種がまいてあります #7」2009年 木 H185×W57×D35
映像)
伊藤隆介「ポータブル・デュシャン」2008年 ミクストメディア 30×40
2009年5月9日(土)-28日(木)10:00-19:00 会期中無休
JRタワープラニスホール(中央区北5西2 札幌エスタ11階)