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■もみじ窯 香西信行作陶展 (2018年10月16~21日、札幌)

2018年10月18日 12時37分40秒 | 展覧会の紹介-工芸、クラフト
 札幌の陶芸家でほぼ毎年、スカイホールで個展を開いている香西こうざい信行さん。
 自然の釉薬によるダイナミックな灰かぶりの作風で知られますが、制作の拠点である空知管内栗山町に「もみじ窯」が北海道胆振東部地震のため一部倒壊し、焼成前の作品も損害を受けたため、「生き残った作品」や、急きょ窯を修繕して焼いた作品を集めて個展にこぎ着けました。
 窯は、震度5強を記録した栗山町市街よりも震源地に近いこともあって、揺れはかなりのものだったようです。


 冒頭と次の画像は「自然灰釉窯変水瓶」。
 こんな水色の器は、めったに見ることができません。

 香西さんによると、通常よりもはるかに長く、5日や6日の間焼き続けて、同時に窯に入れていた他の器がダメになるのを覚悟で焼成しないと出てこない色合いなのだそうです。

 冒頭画像の、奥に写っているまるい器は、オレンジの土に、緑や褐色の自然の釉薬が流れ落ちている壺。
 こちらは、香西さんの代表的な作風といえると思います。これだけ複雑な色が響き合った独特の景色を窯変で出せる陶芸家は、それほど多くいるわけではないでしょう。
 陶芸は「炎の芸術」といわれますが、そのことが、じかにこちらに伝わってくるような存在感があります。


 こちらの壺も、香西さんとしてはめずらしいタイプ。
 自然の釉薬に光沢がなく、マットな表面なのです。
 流れ落ちる釉薬の色合いも、落ち着いて見えます。


 香西さんの話では、地震の影響は思ったよりも広範囲で、焼成の前に揺れてぶつかり合った器は、一見傷がついていないように見えても、焼いてみると初めてひびが見えてくるーといったことがあるそうです。
 窯も煙突が崩れるなどの被害がありました。
「地域の人たちが駆けつけて、手伝ってくれて…。個展、どうしようかと一時は思ったけれど、いろいろな人のおかげで開くことができた。ただ、本格的に窯を再建するのは、来年の春になってからだね」
 北海道はこれから雪が降って土が凍る季節です。

 栗山では、ほかの陶芸家やガラス作家も大きな被害を受けたとのことでした。



 こちらは、カップや皿など、日常使いの器。
 自然釉で、土の色味がわかるあたたかな風合いです。

 夜通しまきをくべ続けなくてはならない焼成は、たいへんな重労働。香西さんも冗談交じりに「あと、何回できるかわからない」といいます。
 香西さんは
「若い陶芸家に、ぜんぶ教えてあげれるのに。誰か、やる気のある人はいませんか」
と話していました。


2018年10月16日(火)~21日(日)午前10時~午後7時(最終日~5時)
スカイホール(札幌市中央区南1西3 大丸藤井セントラル7階)

※11月1日(木)~3日(土)午前10時~午後5時(最終日~4時)、栗山カルチャープラザ・Eki(空知管内栗山町)で移動展

□もみじ窯 https://momijigama.jimdo.com/

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