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3月20日、小樽へ(その2) 水天宮から

2017年03月30日 11時11分11秒 | つれづれ写真録
(承前

 「ミツウマ」の広告アーチがある花園の大通をまっすぐ上っていくと、小樽の名所、水天宮にたどり着く。

 
そう言いながら、私たちは花園町第一大通りの角をつっきって、鉄道線路の上にかけられた陸橋をわたり、家並のあいだの坂道をしだいにのぼり、石の鳥居をくぐり、やがて胸を突くような高い石段をよじ登っていった。石段の頂上には、郷社水天宮があり、百坪ほどの平地になっていて、そこからは灯がついたばかりの灯台、それにつづく長さ一里の防波堤が見え、その手前に十隻ほどの汽船の投錨している小樽港が一望に見渡された。
(伊藤整「街と村」) 


 小樽ゆかりの文学者伊藤整が詩から小説に転じた後の、初期の代表作「街と村」は、「幽鬼の街」「幽鬼の村」の2部作として発表された。
 自伝的要素に、幻想的描写やドタバタ、伝奇性まで盛り込んだ怪作である。


 小樽港を一望する小山の頂上にあり、眺めはすこぶる良い。

 花園の反対側、運河に近い堺通りの観光ゾーンのほうへと続く急な階段があるのだが、雪で通れなかった。

 この階段の左右には1990年代になっても古い木造家屋がたっていたが、いまは残っていない。

 小樽出身の洋画家、中村善策の風景画には、一見、高低をずいぶん強調した絵があるように思われる作があるが、実際に水天宮の敷地に立つと、あながち大げさでもないことに気づく。

 境内には、石川啄木(1886~1912年)の歌碑がある。
 啄木は1907年、小樽で新聞記者をしていた。同期に、童謡「七つの子」で知られる詩人の野口雨情がいた。


 坂を下り、於古発 お こ ばち川沿いの道(通商すし屋通り)に出る。
 そこから文学館・美術館は近い。












 というわけで、今回も駆け足でした。


(この項、了) 


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