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■カワシマトモエWORKS (2013年10月9~27日、札幌)

2013年10月26日 21時25分05秒 | 展覧会の紹介-現代美術
 
 札幌在住のカワシマトモエさんは、団体公募展には属さず、「クリスマステン」終了後はグループ展にも属さずに、個展を中心にマイペースで活動を続けている。
 近年は、ギャラリーミヤシタで個展を開くことが多い。筆者は昨年、見ていないのだが、住んでいた古いアパートの戸に絵を描いたという。
 今回は、ドイツ・チェコ滞在から10年たったので、当時飲んでいた紅茶のパッケージや、地図、時刻表などに、子どもたちの後ろ姿などを描いている。
 言われなければ、気づかないほど、ささやかな筆の入れ方だ。




 支持体をあまり気にしないカワシマさんらしい。
 これは、フランクフルトの地図や、路面電車の時刻表など。

 壁一面に並んだ作品の中には、ドイツ滞在当時の宿舎の窓から見えた景色や、留学先の学校が開いたバーベキューパーティの様子などを描いているものもある。ウクライナ人などと部屋をシェアしていたのだそうだ。




 2階にも作品が展示されている。



 奥には、2007年ごろから取り組んでいる、果実を正面から描いた作品が掛けられ、手前の空間には、ぶらんこが三つ四つ、天井からつり下げられている。
(ちなみに、上の画像の左にある黒い矩形は、窓です)




 ぶらんこは、乗って楽しむことはできない。というのは、尻を乗せる部分にも、絵が描かれているからだ。

 ちょっと高い位置からの視線が、なんとなく、ブリューゲルの代表作「雪中の狩人」を思い出させる。
 カワシマさんの自宅の裏が公園になっていて、子どもの遊び声がよく聞こえるのだそう。
 木は桜で、桜の花がきれいに咲いているさまを描いた、横長の絵もあった。

 今回の個展についてカワシマさんは 
「時間をテーマにしたかったんです」
と言う。
 10年という年月を考えたとき、いま遊んでいる子どもたちはまだこの世にいない。
 カワシマさんは当時の紅茶の箱を大事に持っていて、それに絵を描こうとしている。
 …たしかに、そう考えると、時間の流れというのは、ふしぎだと思う。

 なんだか、カワシマさんをいつまでも若手だと思っていた自分自身を恥じた。一見後ろ向きに見える姿勢は、言うなれば、成熟の表れなのだろう。
 そうやって、人生を紡ぐようにして、ひとつひとつ、作品ができていく。


2013年10月9日(水)~27日(日)正午~午後7時(最終日~午後5時)、月曜休み
ギャラリーミヤシタ(中央区南5西20)

□カワシマトモエ http://tkraindropamekaba.jimdo.com/

カワシマトモエ個展 イツデモソラ (2011)
果実のある部屋(2008年)=画像なし
カワシマトモエ展(2007年)=画像なし
カワシマトモエの絵「まるい実」(2007年)
Visual Poetry in Sapporo 2002 +
クリスマステン(2000年)=12月20日の項




・地下鉄東西線「西18丁目」駅から約690メートル、徒歩9分

・市電「西線6条」から約820メートル、徒歩11分

・ジェイアール北海道バス「53 啓明線」(JR札幌駅、大通西4-西11丁目駅-啓明ターミナル)で「南3条西20丁目」降車、約330メートル、徒歩5分
・ジェイアール北海道バス「54 北5条線」(JR札幌駅発)に乗り終点「長生園前」で降車、約710メートル、徒歩9分

・東西線「円山公園」からジェイアール北海道バス「円10」「円11」「桑11」「円13」に乗り継ぎ「南6条西25丁目」降車、約540メートル、徒歩7分
※ギャラリー門馬の帰路に使える手です


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