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■工藤悦子展 (2023年11月16~21日、札幌)

2023年11月21日 08時15分37秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 江別在住の工藤悦子さんは主体美術と新道展の会員。
 大がかりな個展はそろそろ最後では―という声を聞いて会場に駆けつけましたが、誰ですかそんなことを言った人は。
 たいへんお元気なので、安心しました。 
 
 以前、隔年か3年おきに札幌時計台ギャラリーで個展を開いていた頃と、ほとんど変わっておられないと感じました。
 
 
 工藤さんの絵の特質は、美しい曲線のフォルムもさることながら、その精妙なマチエール(画肌)にあります。
 絵の具を何度も重ねては削るを繰り返し、背景には朱や青などさまざまな色が共存して渾然一体となっています。

 さらに、薄い羽とも花びらとも解釈できる部分は、ちょうど石けんをつけた手を体の他の部分に押しつけた際にできるような模様ができています。
 これはデカルコマニーの一種で、工藤さんが紙やビニールなどを表面に押しつけているためです。偶然による部分も大きいのですが、工藤さんは、気に入った模様ができるまで、多いときには30回もやり直すのだそうです。

「根気だね。しつこくやらないと、ダメね。二度と同じものはできないし。それでも、パッと(思うような模様が)できるようになるとうれしい。絵の具の濃度などによっても異なるけれど、少しは計算できるようになってきていると思う」
 
 
 今回は油彩24点を並べています。
 新道展や主体展に出すような200~240号クラスの大作は2点だけで、他は小品です。
「まだ大作は家にあるんだけど、今回は小品を見てもらいたくて」
と工藤さん。

 1990年代から20世紀初めの青を基調とした作品、それ以後のオーカーや赤がメインの作品を経て、簡単には割り切れない独特の色調へと進化してきた工藤さんの油絵。
 まるで芽を出したばかりの植物のように、あるいはさなぎからかえったチョウのような、みずみずしい生命の感覚をたたえた画面がそこにはひろがっています。
 80代とは思えない若々しさに、心打たれる筆者でした。


2023年11月16日(木)~21日(火)午前10時~午後6時(最終日~5時)
道新ぎゃらりー(札幌市中央区大通西3 北海道新聞社本社大通館7階)

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