(All photographs are permitted by the artist and Sapporo Park Hotel
すべての写真は作家とホテルの許可を得て撮影しています。日本語は英語の後にあります)
Toshihiko Shibuya “Snow Pallet 13”
at Sapporo Park Hotel, inner garden (Chuo-ku, Sapporo-city, Hokkaido, JAPAN)
until 2021 March
Toshihiko Shibuya is an artist based on Sapporo.
His installation works "Snow Pallet" series are set upon snow field.
He paints vivid colors on lower side of his many objets, its colors reflect on snow surface.
Only in the snow season, we can look at this works.
澁谷俊彦さんの「スノーパレット 13」を、1月4日に見てきました。
今冬の会場は、札幌屈指の伝統を誇り、数々のVIPが利用してきた、札幌パークホテルの中庭です。
同ホテルのサイト( http://www.park1964.com/topics/snowpalett13/ )には、この作品の概要や見どころ、作者の略歴などがコンパクトにまとめられていて参考になります。ぜひお読みください。
「スノーパレット」シリーズは3度続けて同じ会場で展開したことはなく、スタートの2011年は札幌・モエレ沼公園でした。
少しずつオブジェの形状などに工夫を重ねて、今回はオブジェが70個と、過去最大の規模になっています。
スノーパレットは中庭に展示されています。
1階の右手奥の方に、ガラス越しで庭の全景を見渡せる場所があり、この画像のように、手前に看板が出ています。
(一般の方は、ここから外に出ることはできません。このブログの写真は、作者とホテルの特別の諒解を得て、屋外で撮影したものがあります)
また、1階の「テラスレストラン ピアレ」からも作品の一部を見ることができます。
上空からも鑑賞できるのは、過去12回のスノーパレットではなかったことだと思います。
4階の中華レストラン、四川料理「桃源郷」前ロビーから下の方に見えるほか、5~10階の客室からも見下ろすことができます。
昨年まではこの庭は色とりどりのライトアップがなされていました。
今年もライトアップは行われていますが、作品を引き立てるもののようです。
先のサイトには、この庭は次のように説明されています。
冬期間ですので、奥の壁(滝)に水は流れていません。
このブログの読者にはおなじみでしょうが「スノーパレット」シリーズは、オブジェの裏面に塗った蛍光塗料が雪面に淡く反射するという仕組みです。
雪が多く積もると、裏面からの距離が短くなるので色味が強くなりますが、積もりすぎると今度はオブジェ全体が雪に埋もれてしまいます。
作者は、高さの異なるオブジェを設置してどんな積雪条件でも鑑賞ができるようにするとともに、オブジェの形状にも改良を加えています。
もちろん、根雪にならなければ作品が成立しません。
光の具合によっても、作品はさまざまな表情を見せます。
上から3枚目の画像では、雲の間から西日が差し込み、塗料の反射のほかに、オブジェ自体の影が雪面の上にくっきりと灰色のかたちを投げかけているのがわかります。
また、オブジェ自体の上に降り積もる雪の形状も、この作品を見る楽しみの一つでしょう。
この形状が日に日に変わっていくことは、いうまでもありません。
以上述べてきたように、スノーパレットは、作者の意図が隅々まで貫徹されるインスタレーションではなく、「自然には勝てない」ことを体現したアートです。言い換えれば、「自然と共生したアート」なのです。
これはすぐれて現代的というか、新しい時代のアートのあり方を示していると思われます。
スノーパレットが、欧米やアジアなどのメディアでたびたび取り上げられているのも、そのことと無関係ではないでしょう。
札幌パークホテルは1964年の開業。
青いタイルが、雪の中島公園に美しく映えます。
もうすぐここに国際会議場(MICE)が建つ計画があり、この情景も、あと数年で見納めとなるかもしれません。
次は、3階からの眺めです。
最後は10階からの景観です。
手前に中庭、その向こうに凍結して雪に覆われた中島公園の菖蒲池。その奥に札幌コンサートホール Kitara が偉容を見せ、さらに遠くには藻岩山―という、見事な眺めです。
まさに、大都市と自然とが調和した札幌らしい風景ともいえるでしょう。
かつて三岸節子が、泊まっていたパークホテルから札幌の街を見て、夫・三岸好太郎の遺作をここに寄贈しようと決心したという挿話を思い出します。こちらとは反対側の部屋だったかもしれませんが。
「スノーパレット13」のテーマになっている「アントロポセン(人新世)」については、また稿を改めて書くことにします。
□www.toshihikoshibuya2.com
過去の関連記事へのリンク
【告知】澁谷俊彦「スノーパレット13」―Toshihiko Shibuya SNOW PALLET 13
■澁谷俊彦展ー起源・発生 / 共生・共存 (2020年9~11月、帯広) ■続き
【告知】イコロの森ミーツ・アート2020 web展覧会 ※画像なし
【告知】澁谷俊彦展 ー起源・発生 /共生・共存 (2020)※動画あり。画像なし
■澁谷俊彦 個展 -起源・発生- (2019)
ニュース映像の紹介 : オブジェ 雪面に色の表情 札幌でスノーパレット展 (澁谷俊彦さんの屋外インスタレーション) (2020)
■澁谷俊彦個展 White Collection Best Selection (2020年1~2月)
■澁谷俊彦 版画の世界展 -記憶- (2019年11月~20年1月)
■イコロの森 ミーツ・アート2019 ー森の野外美術展ー
■Toshihiko Shibuya 澁谷俊彦 Snow Pallet 11
「河口」展、澁谷俊彦作品をたどる (2018)
■澁谷俊彦「Snow Pallet 10」
北海道文化賞の授賞式に出席してきました (2017)
■北海道文化奨励賞受賞記念/澁谷俊彦個展「White Collection Black Series」(2017)
■Toshihiko Shibuya “Snow Pallet 9” 澁谷俊彦 (2016~17)
ヒト科ヒト属ヒト 帯広コンテンポラリーアート2016 (執筆中。告知はこちら)
■澁谷俊彦展 White Garden (2016年6~7月)
■澁谷俊彦 新作ホワイトコレクション (2015)
■澁谷俊彦 ANNIVERSARY COLLECTION
■ICE HILLS HOTEL - アイスヒルズホテル in 当別 (2014)
■防風林アートプロジェクト (2014)
■澁谷俊彦 THE WHITE COLLECTION / GENERATION(2013)
【告知】SNOW PALLET III and 4 : Toshihiko Shibuya installation(~2013年2月17日・千歳/~3月雪解け・札幌)
CREATIVE HOKKAIDO METTS HONG KONG / 香港で北海道の食、観光、アートをPR
【告知】奔別アートプロジェクト (2012年)
■JRタワー・アートプラネッツ2012 楽しい現代美術入門 アルタイルの庭(2012年)
■澁谷俊彦「風の森II」Forest of wind 2012-II
【告知】澁谷俊彦「風の森 II」 Forest of wind 2012-II
■澁谷俊彦 SNOW PALLET 2、札幌芸術の森美術館で2012年4月14日から撤収(13日に一部撤収)
Toshihiko Shibuya's works are on the overseas website (2012)
■「ハルカヤマシロシメジ繁殖計画」 ハルカヤマ藝術要塞
■澁谷俊彦 茶室DEアート (2011)
【予告】澁谷俊彦展 -トノサマガエルの雨宿り (2011年5月)
■Snow Scape Moere 6 澁谷俊彦「SNOW PALLET」(2011年2月)
■PLUS ONE THIS PLACE(2010年9月)
■PLUS 1 +柴橋伴夫企画 空間の触知へ-連鎖の試み 藤本和彦 澁谷俊彦(2009年8月)
■澁谷俊彦展-森の雫09- 茶室DEアート (2009年7月)
■澁谷俊彦個展-青い雫09-
■澁谷俊彦展 森の雫(2008年3月)■つづき
2000~07年は、上のリンクからたどってください
・地下鉄南北線「中島公園駅」3番出口からすぐ
・市電「山鼻9条」から約550メートル、徒歩7分
・中央バス「中島公園入口」から百数十メートル、徒歩2~3分
すべての写真は作家とホテルの許可を得て撮影しています。日本語は英語の後にあります)
Toshihiko Shibuya “Snow Pallet 13”
at Sapporo Park Hotel, inner garden (Chuo-ku, Sapporo-city, Hokkaido, JAPAN)
until 2021 March
Toshihiko Shibuya is an artist based on Sapporo.
His installation works "Snow Pallet" series are set upon snow field.
He paints vivid colors on lower side of his many objets, its colors reflect on snow surface.
Only in the snow season, we can look at this works.
澁谷俊彦さんの「スノーパレット 13」を、1月4日に見てきました。
今冬の会場は、札幌屈指の伝統を誇り、数々のVIPが利用してきた、札幌パークホテルの中庭です。
同ホテルのサイト( http://www.park1964.com/topics/snowpalett13/ )には、この作品の概要や見どころ、作者の略歴などがコンパクトにまとめられていて参考になります。ぜひお読みください。
「スノーパレット」シリーズは3度続けて同じ会場で展開したことはなく、スタートの2011年は札幌・モエレ沼公園でした。
少しずつオブジェの形状などに工夫を重ねて、今回はオブジェが70個と、過去最大の規模になっています。
スノーパレットは中庭に展示されています。
1階の右手奥の方に、ガラス越しで庭の全景を見渡せる場所があり、この画像のように、手前に看板が出ています。
(一般の方は、ここから外に出ることはできません。このブログの写真は、作者とホテルの特別の諒解を得て、屋外で撮影したものがあります)
また、1階の「テラスレストラン ピアレ」からも作品の一部を見ることができます。
上空からも鑑賞できるのは、過去12回のスノーパレットではなかったことだと思います。
4階の中華レストラン、四川料理「桃源郷」前ロビーから下の方に見えるほか、5~10階の客室からも見下ろすことができます。
昨年まではこの庭は色とりどりのライトアップがなされていました。
今年もライトアップは行われていますが、作品を引き立てるもののようです。
先のサイトには、この庭は次のように説明されています。
札幌パークホテルには、中島公園の美しい風景を生かした約1,700平方メートルの庭園があります。
およそ40メートルの幅を持つ滝は「あたかも藻岩山より源を発した流れが、中島公園の池に広がり、
更にその水が滝石組を経て、瀑布となり、この庭にそそぎ込んでいるような感覚を与えている」ように設計されています。
北海道大学で花卉・造園学を担当し、ユリの研究で知られる農学博士の明道博教授が設計しました。
藻岩山から中島公園への連なりを借景として巧みに取り入れた庭園は札幌市内の都市型ホテルの中では最大規模です。
冬期間ですので、奥の壁(滝)に水は流れていません。
このブログの読者にはおなじみでしょうが「スノーパレット」シリーズは、オブジェの裏面に塗った蛍光塗料が雪面に淡く反射するという仕組みです。
雪が多く積もると、裏面からの距離が短くなるので色味が強くなりますが、積もりすぎると今度はオブジェ全体が雪に埋もれてしまいます。
作者は、高さの異なるオブジェを設置してどんな積雪条件でも鑑賞ができるようにするとともに、オブジェの形状にも改良を加えています。
もちろん、根雪にならなければ作品が成立しません。
光の具合によっても、作品はさまざまな表情を見せます。
上から3枚目の画像では、雲の間から西日が差し込み、塗料の反射のほかに、オブジェ自体の影が雪面の上にくっきりと灰色のかたちを投げかけているのがわかります。
また、オブジェ自体の上に降り積もる雪の形状も、この作品を見る楽しみの一つでしょう。
この形状が日に日に変わっていくことは、いうまでもありません。
以上述べてきたように、スノーパレットは、作者の意図が隅々まで貫徹されるインスタレーションではなく、「自然には勝てない」ことを体現したアートです。言い換えれば、「自然と共生したアート」なのです。
これはすぐれて現代的というか、新しい時代のアートのあり方を示していると思われます。
スノーパレットが、欧米やアジアなどのメディアでたびたび取り上げられているのも、そのことと無関係ではないでしょう。
札幌パークホテルは1964年の開業。
青いタイルが、雪の中島公園に美しく映えます。
もうすぐここに国際会議場(MICE)が建つ計画があり、この情景も、あと数年で見納めとなるかもしれません。
次は、3階からの眺めです。
最後は10階からの景観です。
手前に中庭、その向こうに凍結して雪に覆われた中島公園の菖蒲池。その奥に札幌コンサートホール Kitara が偉容を見せ、さらに遠くには藻岩山―という、見事な眺めです。
まさに、大都市と自然とが調和した札幌らしい風景ともいえるでしょう。
かつて三岸節子が、泊まっていたパークホテルから札幌の街を見て、夫・三岸好太郎の遺作をここに寄贈しようと決心したという挿話を思い出します。こちらとは反対側の部屋だったかもしれませんが。
「スノーパレット13」のテーマになっている「アントロポセン(人新世)」については、また稿を改めて書くことにします。
□www.toshihikoshibuya2.com
過去の関連記事へのリンク
【告知】澁谷俊彦「スノーパレット13」―Toshihiko Shibuya SNOW PALLET 13
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■澁谷俊彦 個展 -起源・発生- (2019)
ニュース映像の紹介 : オブジェ 雪面に色の表情 札幌でスノーパレット展 (澁谷俊彦さんの屋外インスタレーション) (2020)
■澁谷俊彦個展 White Collection Best Selection (2020年1~2月)
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■JRタワー・アートプラネッツ2012 楽しい現代美術入門 アルタイルの庭(2012年)
■澁谷俊彦「風の森II」Forest of wind 2012-II
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■澁谷俊彦 SNOW PALLET 2、札幌芸術の森美術館で2012年4月14日から撤収(13日に一部撤収)
Toshihiko Shibuya's works are on the overseas website (2012)
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■澁谷俊彦 茶室DEアート (2011)
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■PLUS 1 +柴橋伴夫企画 空間の触知へ-連鎖の試み 藤本和彦 澁谷俊彦(2009年8月)
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■澁谷俊彦個展-青い雫09-
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2000~07年は、上のリンクからたどってください
・地下鉄南北線「中島公園駅」3番出口からすぐ
・市電「山鼻9条」から約550メートル、徒歩7分
・中央バス「中島公園入口」から百数十メートル、徒歩2~3分