砂川に「浮浪工房」を開設している内海眞治さん(展覧会案内状には「内海真治」となっていた)と、札幌・真駒内に「吉兆窯」をひらいている坂田真理子さんの2人展。
あえて分類すればお二人とも「陶芸家」ということになるのでしょうが、いわゆる伝統的な陶芸の枠にはまったくおさまらないユニークな人形やオブジェがならび、遊園地のような楽しい会場になっています。
冒頭の画像のいちばん上、鳥かごに入ったアホウドリがいます。
この鳥、うしろにまわると、大きな卵を2個もうんでいます。
同様の鳥と鳥かごは、会場の奥のほうにも置いてありました。
この鳥の名前が「コロンブス」という名前だということではないそうです。
会場に入って、まず目を引くのが、左の塔のような作品(ちなみに、この会場には、ひとつも作品名を示す札などはありません)。
農家からいらなくなった脱穀機をもらってきた内海さんがそれを再利用して、鏡や色ガラスなどを貼り付け、高さ1.5メートルを超す大作に仕上げました。
近づいてみると、脱穀機の刃のすき間から、中に仕込んだクリスマスツリーのあかりが点滅しているのがわかります。
これを見たとき、とっさに思い出したのが、宮島達男氏が水戸芸術館での個展「Art in You」で発表した「HOTO」。
でも、個人的には、内海さんの塔のほうが、なんだか親しみがもてるなあ。
背後の壁にかかった、女性の乳房をならべたようなオブジェは坂田さんの作。
乳頭にあたる部分には、大小2種のどんぐりを重ねています。
鮮烈な色彩の対比で、生命の大切さをうたいあげているかのようです。
手前のオブジェは内海さん作。
傘立てなどにも見えますが、用途は特定していません。てっぺんに載せたまるい陶の上部には穴があいているので「花をいけてもいいんですよ」。
金属の脚には、不用になったスピーカーを組み合わせているものもあり、内海さんの発想の自由さにはニヤリとさせられます。
左下に見えるのは、内海さん作の、もうひとつの塔。
壁に広がっているのは、坂田さんのオブジェ。包装材を黒く塗り、陶でこしらえた卵をランダムに挟み込ませています。卵は、イースターのように、さまざまな色で塗られています。
接近してみると…
手ぶれしてしまいました。すいません。
手前の女性の、胴体部分は、洋裁の店にある布張りのトルソ。それに鏡などを貼り付けました。
頭部はもちろん内海さん製なので、ぐるっと動きます。
奥の女性像の胴体部は札幌軟石(札幌市南区石山などで採れる石材。札幌市資料館などがこれで造られている)。まったく加工していないのですが、上に首をのせただけで、なんだか胴体のように見えてくるからふしぎです。
内海さんによる、色ガラスの競演。見ていると、うっとりしてきます。
今回は、廃品を再利用した作品が目立ちます。
坂田さんによると、今回の2人展のテーマは「エコ」だそうで、ただ伝統を墨守するのではなく現代という時代を考えて創作にとりくむ彼女らしい姿勢だと感じました。
2009年12月16日(水)-21日(月)10:00-6:00(最終日-4:00)
茶廊法邑(東区本町1の1)
・地下鉄東豊線「環状通東」駅から、AOKIインタナーショナルの角を右折、最初の角(寺の門の前)を左折し、ボタン式信号を経て直進。徒歩8分。
・駐車場あり
リンク
□浮浪工房だより http://froukoubou.exblog.jp/
関係するエントリやファイル
■岩見沢の「iwamizawa90°」がギャラリーカフェになりました(2009年4月)
■SATSUKI それぞれのメッセージ(2003年)
=2人とも出品
■内海眞治展 (2009年1月)
■陶・鉄・ガラス 内海眞治個展(08年9月)
■04年の個展「メビウスの塔」
■個展「陶月の宴」(03年)
■3人展(03年、写真なし)
■坂田眞理子 陶・うつわ展(2002年、写真なし)