写真を撮る人で
「小樽」
とか
「壁」
をテーマにしている人はけっこう多い。
そして、それらはノスタルジーを呼び起こす、わりと「よくある」作品になりがちだ。
まあ、小樽の街並みにレンズを向ければ、なつかしい写真になるのはあたりまえで、そのことにあまり異を唱えるつもりはないし、わたし自身はその手の写真を見るのはけっこう好きだったりする。
濱田さんの写真は、小樽の古い家の壁などを題材にしていながら、既存の写真とは異なっている。
ややアンダーぎみの画像から、さびかけたトタンの壁がぼーっと浮かび上がってくる。
ローライフレックスという二眼レフの中判カメラ(6×6)を用い、カラーの現像・プリントも、暗室を借りて自ら行っているという。
深い微妙な色調は、フィルムの中判カメラならではだと思う。
濱田さんは恵庭在住。
幼いころは壁がトタンの古い家に住んでいて、それがすごくいやだったという。
筆者も小学4年生までおんぼろな家に住んでいたので、その気持ちはよくわかる。
その後、自宅は建て替えられたが、長じて町をあるいていると、ふしぎなことに、あれほどいやだったはずのトタンの壁に、ついレンズを向けシャッターをおしてしまう。
あるいは、踏みつけられる草に…。
濱田さんは数年前、渡部さとるさんの「恋するカメラ」を読んだのをきっかけに、渡部さんのワークショップを受講するようになり、カメラ・写真にのめり込んだとのこと。
受講生仲間とグループ展を開くなどしていたので、発表場所はこれまでほとんどが東京だった。
現在は、別の写真家のワークショップ受講のため月1度上京しているというから、熱意のほどがうかがえる。
じつは、ふつうの小樽をとらえた写真も写しており、年内にもう一度発表の機会を持ちたいという。
さらに、ピンホール芸術写真学会にも加わっており、6月6-11日に京都・エイエムエスギャラリーで開かれるピンホール・フォトフェスティバル「INTERFACE」にも出品する。
最近、札幌では、すぐれた心象写真の撮影者が出てきているが、またひとり有力な作家が登場したと思う。今後の活躍に期待しています。
2009年5月25日(月)-30日(土)11:00-19:00
ギャラリーたぴお(中央区北2西2 道特会館 地図A)
□ブログ http://tomomifoto.exblog.jp/
「小樽」
とか
「壁」
をテーマにしている人はけっこう多い。
そして、それらはノスタルジーを呼び起こす、わりと「よくある」作品になりがちだ。
まあ、小樽の街並みにレンズを向ければ、なつかしい写真になるのはあたりまえで、そのことにあまり異を唱えるつもりはないし、わたし自身はその手の写真を見るのはけっこう好きだったりする。
濱田さんの写真は、小樽の古い家の壁などを題材にしていながら、既存の写真とは異なっている。
ややアンダーぎみの画像から、さびかけたトタンの壁がぼーっと浮かび上がってくる。
ローライフレックスという二眼レフの中判カメラ(6×6)を用い、カラーの現像・プリントも、暗室を借りて自ら行っているという。
深い微妙な色調は、フィルムの中判カメラならではだと思う。
濱田さんは恵庭在住。
幼いころは壁がトタンの古い家に住んでいて、それがすごくいやだったという。
筆者も小学4年生までおんぼろな家に住んでいたので、その気持ちはよくわかる。
その後、自宅は建て替えられたが、長じて町をあるいていると、ふしぎなことに、あれほどいやだったはずのトタンの壁に、ついレンズを向けシャッターをおしてしまう。
あるいは、踏みつけられる草に…。
濱田さんは数年前、渡部さとるさんの「恋するカメラ」を読んだのをきっかけに、渡部さんのワークショップを受講するようになり、カメラ・写真にのめり込んだとのこと。
受講生仲間とグループ展を開くなどしていたので、発表場所はこれまでほとんどが東京だった。
現在は、別の写真家のワークショップ受講のため月1度上京しているというから、熱意のほどがうかがえる。
じつは、ふつうの小樽をとらえた写真も写しており、年内にもう一度発表の機会を持ちたいという。
さらに、ピンホール芸術写真学会にも加わっており、6月6-11日に京都・エイエムエスギャラリーで開かれるピンホール・フォトフェスティバル「INTERFACE」にも出品する。
最近、札幌では、すぐれた心象写真の撮影者が出てきているが、またひとり有力な作家が登場したと思う。今後の活躍に期待しています。
2009年5月25日(月)-30日(土)11:00-19:00
ギャラリーたぴお(中央区北2西2 道特会館 地図A)
□ブログ http://tomomifoto.exblog.jp/
さて、この方の作品は初めてです。ダイナミックレンジの広い高感度ネガカラーフィルムを用い、現時点でも名レンズのほまれ高いプラナー2.8付のローライフレックスで撮影し、さらに自家現像というあたり、表現に対しタダものでないこだわりを感じます。トタンや板の持つ質感がリアルに再現され、それを凝視することで記憶が喚起されてきます。小樽という観光都市コードはここでは大した意味を持たないようです。一部作品のアンダー目の画面構成は師事されている白岡さんの影響と思われますが、ご本人なりの展開はこれからというところでしょうか。楽しみです。
専門的なコメントはためになります。
>ダイナミックレンジの広い高感度ネガカラーフィルム
そういえばそうです!
ポジフィルムならこの諧調は出せなかったでしょうね。
>名レンズのほまれ高いプラナー2.8
このへんは、筆者にはわからないところで、ナルホドと思いました。
35ミリ換算で50ミリ相当ということで、そういう標準レンズ単玉を使うあたりは、濱田さんの心意気(ちょっとことばがちがうかな?)を感じましたねー。
本当にありがとうございます。
ご丁寧な文章をお書きいただき、恐縮しております。
今回、初めて札幌で個展を開催して得るものが沢山ありました。
北海道の人の優しさ大らかさを実感する時間でもありました。
また、写真以外のアーティストの方々のご感想に新たな視座を得ることが出来ました。
これからも写真を撮り続ける力をもらった写真展となりました。
濱田トモミ
個展、お疲れさまでした。
また拝見させてくださいー!