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■第39回一線美術会北海道支部展(2022年5月11~15日、札幌)

2022年05月20日 08時51分06秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 絵画の全国的な団体公募展である「一線美術会」の北海道支部展を3年ぶりに見ました。
 3、4年前は見ていて、出品者の減少に切ない感じを抱きましたが、いくらか復活しているようで、ほっとしました。
 ただし、新顔の方は、東京・上野で毎年開かれる展覧会では見かけないような小品を出しています。

 目を引くのはやはり西村司さん。
 子どもの頃、色セロファンごしに景色を眺めておもしろがった記憶のある人は多いと思いますが、西村さんの絵の色彩も、それに似て、不思議な色調をたたえています。
 題に反してライオンは登場せず、広い緑地のようなところに寝そべって眠る女が主要なモティーフ。奥には、ひざをかかえてうずくまる人物が2人点在し、右手には白い花の茂みがあります。いちばん奥には、木造の家を覆い隠すように林があり、カニのようなシルエットが垣間見えます。その右奥には踏切の警報器が見えます。
 文章で書いてもさっぱり伝わらなさそうですが、不思議な光景です。

 田仲さんの「硝子の森」は、壊れやすい地球環境の暗喩でしょう。
 キツネのまわりを、鋭く割れてこなごなになったガラス片が取り囲んでいます。
 キツネの「もふもふ」した柔らかさと、ガラスの直線・硬さとがじつに対照的です。

 「永平寺」は、大ベテラン河瀬陽子さんとしては珍しい風景画です。
 オーソドックスな筆遣いのなかにも、緑のトーンの豊かさを感じます。

 遠藤雅美さん「五稜郭公園」も、太い筆でのびのびと、咲き誇る桜花を描いています。

 佐藤和実さん「南瓜」は、背景をびっしりと覆う線の細かさに驚かされました。


 出品作は次のとおり。すべて油彩です。
遠藤雅美(函館)  垣ノ島(F100) ヒマラヤピンク(F15) ★五稜郭公園(100号ぐらい)
笠島ひとみ(札幌) 散歩道(F10) 秋模様(F6) 10月のあじさい(F6)
河瀬陽子(芦別)  永平寺(F50) マリオネット(F50) 風(F4)
佐藤和実(芦別)  南瓜 ~underground space~(S30) 祈り(F3)
竹森登美子(江別) 爆流(P50) 紅葉山(F30)
舘下里香(芦別)  赤い帽子(F10) 求めて(F20)

田仲茂基(札幌)  硝子の森(F120) 悠久の翼(F10) 春の日の記憶(F8) ★初夏のイタンキ(15号ぐらい)
永田このえ(芦別) またね(S20) クロアチアのギター弾き(F15) 想(F15)
名取拓也(芦別)  冬景色(F6) 野花南川(F6)
西村司(北広島)  Lion の森(F120)
畠山栄子(江別)  滝の上公園にて(P50) 昭和の森(P8)
古瀨勉(旭川)   青い池(P10)
森長睦子(江別)  秋のスクリーン(P30) 初夏の水源地(P20) ライラックの咲く頃(F20)
渡部泰子(札幌)  美の競演(F100) ばら(F20)

 ★印をつけたのは、会場配布の図録に記載がないものです。
 また「初夏の水源地」は見たところ30号ではないかとも思いましたが、図録の記述にあわせておきます。


2022年5月11日(水)~15日(日)午前10時~午後5時(最終日~4時)
札幌市民ギャラリー(札幌市中央区南2東6)


□一線美術サイト http://www.issen.org/

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一線美術会第32回北海道支部展 (2014、画像なし)
第28回 一線美術会北海道支部展 (2010)※画像なし
第27回一線美術会北海道支部展(2009年)
※以下、画像なし
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