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■第11回蒼樹会北海道支部記念展 (5月17日で終了)

2009年05月17日 22時43分32秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 公式サイトによると、1976年に東京都美術館での第1回展を開いた歴史の新しい団体公募展。
 工芸部門もあるらしいが、北海道支部は全員が絵画で、春に支部展、秋に小作品展を開いている。
 いずれもオーソドックスな写実の油彩画で、風景が多い。

 筆者は例年、田村隆さん(空知管内新十津川町)の絵の前で立ち止まる。
 道展にも毎年入選を果たしており、もう80歳を過ぎているはずだ。
 モティーフは例年、廃屋。
 ことしは「廃坑」(F100)という題だったが、古い建物が朽ち果て、それに附属した給水塔のような物体が傾く様子が丹念に描かれている。
 とりたてて描法が個性的というほどでもないが、ほろびゆくものに寄せる作者の痛切な思いがつたわってくるのだ。

 日陽展でユニークな絵を出品している小林伸さん(札幌)が3点。
 「泉と風景」(F80)は、牧草地や畑が広がる丘陵地を、俯瞰的な視点から、ペンと淡い水彩で丹念に描いている。ちょっと、アンリ・ルソーを思わせる。
 ユートピアのようなおだやかな風景だが、洞爺湖あたりには実際こういうところがありそうだからなー。

 小柴弘さん(美唄)は、F30「北の湿原」が目を引く。沈んだ色調が、厳しい北海道の風土を表現していると思う。

 目録には記載されていないが、大澤誠睦さんの遺作「快晴・群別岳」が展示されていた。大澤さんは新道展でも2007年に受賞して会友となり、また昨年夏にはギャラリー大通美術館で個展をひらいている。
 ご冥福を祈ります。


 出品作は次の通り。記載ない場合はいずれも油彩。
安宅幸恵子(札幌)「浜の日和」(F100)「浜の姉妹」(F20)
小林伸(札幌) 「泉と風景」(F80)「夕暮れのコテージ」(M30)「羊飼いと羊たち」(F12)=3点とも水彩
小柴弘(美唄)「北の噴煙」(F100)「天城高原(初秋)」(F30)「北の湿原」
桜井寛(後志管内岩内町)「知床深秋」(F100)
齋藤義雄(江別)「通潤橋行秋」(F100)「湿原の秋」(F10)「初雪」(F6、水彩)
佐藤典彦(札幌)「北の日暮れ」(F80)「晩秋」(F10)
下山康麿(札幌)「爽緑の水辺」(F80)「雪の朝」(F20)「秋たけなわ」(F10)
土屋勝重(美唄)「防風林」(F100、日本画)「冬の道」(F10,日本画)
田村隆(新十津川) 「廃坑」「廃屋」(F50)「バラ」(F6)
出邑勝之(札幌)「道都立春」(F80)「晩秋八剣山」(F10)「待春」(F10)
船越とみ子(札幌)「旅の記憶インド」(F100)「無題」(F20)
美濃川弘子(札幌)「厚田海岸」(F60)
百島忠雄(札幌)「霧の湿原」(F80)「知床快晴」(P15)
森スズ子(札幌)「夕焼遠眺」(F100)
横内博子(札幌)「野菊咲く路」(F30)


2009年5月12日(火)-17日(日)10:00-17:00(初日13:00-、最終日-16:00)
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6)

□蒼樹会 http://soujyukai.com/
明彩館(齋藤義雄さんのサイト)

第6回(2004年)
北海道支部小作品展(2003年)
第5回(2003年5月17日の項)
北海道支部小作品展(2002年9月13日の項)
第4回(2002年)
北海道支部小作品展(2001年)
 =いずれも画像なし


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