経塚真代さんが、昨秋のカフェエスキスに続き、個展を開いている。
いわゆる「人形」とも「彫刻」ともちょっと異なる作品の魅力については、昨秋の個展のときにも書いた。
今回の個展についていえば、あえて分類わけすれば、インスタレーション、ということになるのだろう。
古い民家の2階の和室いっぱいに、人形や立体が、置かれたり、吊るされたりしている。
エスキスでの個展のときにはあまり見かけなくて、今回たくさんあるのが、雨粒を模した青い立体だろう。筆者が数えた限りでは、49個吊り下げられていた。
あとは、エスキスでも、人形を配置するのに、効果的に用いられていた、壁からはみ出す雲形の台。
平均台のような台もある。
そのような台のほか、旧押入れ空間(?)では天井から吊り下げたり、窓の桟に並べたり、柱の陰に置いたり…と、さまざまな展示手法を凝らしているので、とても変化に富んだ楽しい空間になっているのだ。
個々の人形についていえば、頭の上に何かを載せた人が多いことに気づく。
ある人は、地球儀のようなかたちを、また別の人は、水道管とビルディングを組み合わせたものが、頭とくっついている。
しかし、それらは、ちょっと風変わりなデザインの帽子のように、あまり違和感もなく、人物とマッチしているように見える。
彼ら、彼女らの、どこか遠くを見ているような表情。
そこに見え隠れするものは、遠い日の記憶だったり、ちょっとした悔恨だったりする。だけど、それが何であるかは、見る人に委ねられているのだろうと思う。
経塚さんの作品は、造形理論的にすごい提案だったり、社会や時代を語ったりするものというよりは、もっと日常のささやかな感情に寄り添っているもののように感じられる。だからこそ、日々の小さな気持ちの動きが、そこにあるような気がして、心をつかまされるのだろう。
2014年4月2日(水)~14日(月)午後1時~10時半、火曜休み
ギャラリー犬養(札幌市豊平区豊平3の1)2階
□ http://masayokeizuka.com/index.html
■経塚真代 造形作品展 「ちいさくて見えない星」 (2013)
・地下鉄東西線「菊水」から約600メートル、徒歩9分
・中央バス「豊平橋」から約140メートル、徒歩2分(ただし、途中に低い柵あり。いったん豊平2条通側まで遠回りしたほうがいいかも)
・地下鉄東豊線「学園前」1番出口から約1キロ、徒歩13分