ニューヨーク市の中では治安が悪いブルックリン区で警官2名がパトカーの中で射殺され、犯人が地下鉄駅構内で自殺するという事件が発生した。おりしも警官の黒人に対する過剰な警備が問題になっているさなかでのこの事件、波紋は大きい。ニューヨーク市警(NYPD)というとかつては腐敗しきった組織のように捉えられていたが、ジウリアーニ元市長時代に徹底した綱紀粛正が行われ、また、911では多数の犠牲者を出したことからも、市民の印象は相当に改善されていた。市消防局(FDNY)とのライバル関係はつとに有名で、NYPDやFDNYのロゴの入ったキャップをかぶっている子供もいる。もちろん、権威の象徴として警官に反感を持つ市民の多いことも事実である。
この街では5年過ごしたけれども、警官に何か不満や不信を感じたことはない。むしろ安心感を持ったほどだ。そういう警官が勤務中に不意を突かれて殺害されるとはどう考えても理不尽だ。犯人が死亡した以上、真相解明は困難だろう。暴力事件の多い最近だが、やりきれなさの残る事件。かなり古い写真だが、エンパイヤー・ステート・ビルの展望室から撮ったニューヨークの夜景。中央からやや右下のほうに見えるのが国連本部ビル。その先はクイーンズ区。かのブルックリン区はこの写真の右側の方角にある。