こころの文庫(つねじいさんのエッ!日記)

家族を愛してやまぬ平凡な「おじいちゃん」が味わう日々の幸せライフを綴ってみました。

詩・ちいさな波紋

2015年04月25日 17時48分21秒 | 文芸
ちいさな波紋

ポイッと投げる
ポチャン!
ちいさな波紋が……
そして
しずかに消える

なんの
跡形もなく
水麺(みずも)は鎮まる

その繰り返し

おおきな波紋は……
一度も
産まれなかった
決められたように

それが
わたしの人生
わたしの幸福
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小野ハートフルウォーキング報告

2015年04月25日 15時32分21秒 | ウォーキング
今日は小野ハートフルウォーキングに参加。『やなせ苑八重桜ウォーク』と銘打たれている。八重桜が並木となっている川堤が舞台だ。四月初めの『桜堤ウォーク』と対照的に、やや重厚な八重桜のトンネル(?)を抜けるウォーキングは格別な粋を感じる。
 神戸電鉄小野駅前に集まった参加者は二百数十名。神戸方面からの参加者が多い。ピンクのジャンパー姿は地元のスタッフ。歩人会グループが賑やかしく世話を焼いてくれる。
 スタートは十時。快晴で少し暑い。さてスタミナは続くかな。半年近くのブランクがあるので不安が先に立つ。予定距離は、白雲谷温泉ゆゆぴかを経由して二時間三十分。
 黙々と歩いた。途中立ち止まって写真を撮る。その繰り返しで、ようやく『ゆぴか』に到着。ちょっと息切れ気味なので、奮発してアイスクリームを買った。やはり美味かった。疲れを忘れさせてくれた。
 ゴールの小野駅前に着いた。ホッと力が抜ける。』形態のデーターを見ると、15000歩、12.4キロ。消費カロリーb865キロカロリーで脂肪の年商は61g.時間は 1時間、50分、予定時間を30分短縮だ。うん!上出来上出来。
 近くのイオンによって、またソフトクリームを買う。いい年をして甘いものばかり。健康要注意ですね。
 それにしても、いい気分。明日への活力につながりそう。今日ばかりは年齢を忘れた。といっても周りは高齢者の姿が大半。いやはや…でした!    
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コラム・お山の『ご神水』

2015年04月25日 03時27分41秒 | 文芸
お山の『ご神水』

生まれ育った田舎は、四季を通じた野の幸・山の幸に恵まれたところ。春にはワラビやぜんまい、秋の松茸など、裏山へ入るとすぐにカゴいっぱいになった。
 山奥へ至る参道の途中に、湧水の泉があった。山の行き帰りに誰もが喉を潤してしまう、実に美味い水がいつもコンコンと湧いていた。かなり近在で有名な名所『揺るぎ岩』につながる岩山全体から染み出る水は、ひんやりと冷たく透明だった。
 その清水が病気を治してくれると噂が広まり、『ご神水』に奉られ、立派な祠までもうけられ、かなり遠くからも人気を聞きつけて人が集まった。
 村を離れてからは『ご神水』のことはすっかり忘れていた。昨年、久しぶりに帰郷して奥山を目指した。踏み入った山道は、昨今の台風や豪雨のせいで、荒れに荒れていた。
『ご神水』の祠も災害のとばっちりを受けていた。松の大木が倒れ、祠の屋根は崩れていた。泉は石ころに埋まって、跡形もなかった。自然の猛威になすすべはなかったのだろう。村人たちもわが家の周囲が優先で泉の修復まで手が回らないと聞く。
 何とも侘しく、フッとため息をついた。辺りを懐かしく眺めまわす。足元に目を移すと、ちょろちょろと水の流れがあった。ソーッと両手ですくって口に含んだ。美味い!あの記憶に残る味が口中に蘇った。
 自然は自ら復活を始めていた。豊かな緑に囲まれた山中で、何とも言えぬ幸せな気分がじわじわとこみ上げてきた。
(2012年10月8日)


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絵手紙

2015年04月25日 02時06分18秒 | 絵手紙
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先生の元気を

2015年04月25日 00時40分36秒 | 文芸
「ボクはサラダだけでいいよ。最近は食べないんだ。太り過ぎって医者の忠告があってね」

 先生はあっけらかんとした顔だった。どんなものでも実に美味い!といった顔で食べる先生が記憶にある。八十五歳。年齢にさすがの先生も勝てないようだ。ただ、相変わらず人を惹き込む笑顔は健在だ。

 三十数年ぶりの出会いだった。血色のいい顔と饒舌ぶりは全く変わらない。六十五歳、高齢者の仲間入りを余儀なくされた私の方がしょぼくれた老人である。

 恩師だった。小学校の教壇に立たれていたが、そこで教えられた児童だったのではない。アマチュア劇団の活動を通じて人生の何たるかを気付かせてくれた先生なのだ。

 加古川で始まり、姫路、加西と、四十年以上アマチュア演劇に携われたのは、芝居に取り組む先生の一風変わった姿勢が、薫陶を与えてくれたからだった。

 先ごろ急に思い立って、自分が生き抜いた六十五年間の足跡を展示した。舞台写真に、アマ劇団活動と並行した文筆の成果である。新聞や雑誌、書籍に掲載された作品を並べた。その過程で先生を懐かしく思い出した。

さっそく招待状を送った。(もう年だから、来て貰えないかな?)と思ったが、自分の歩んだ道をぜひ見て貰いたかった。先生からすぐ連絡があった。

「ぜひ行かせて貰うよ。君の足跡を見逃せないだろう」記憶にある先生の声だった。案ずる必要はなかった。元気な姿が電話を通して見えた。最寄りの駅に降り立った先生は、しゃきっとした姿を保っていた。あの頃とまるっきり変わっていなかった。

「う~ん!このサラダ美味いなあ」

 レタスを頬張る先生の幸せをひとり占めした顔。なのに私も幸せを感じる。初めて顔を合わせた日がいま目の前に再現していた。

 先生と初めて顔を合わせたのは五十六年前の秋口だ。劇研『くさび』の稽古場は、加古川青年会館にあった。おずおずしながら会館に入った。生まれつきひどい内弁慶で、初対面がいつも一番の難関だった。ところが、先生は逡巡躊躇の間を与えなかった。

「君が齋藤くんか?よう来てくれたね。これから一緒にお芝居を作っていこう!」

 迎えた先生はにこにこと、恵比寿大黒顔負けの笑い顔だった。稽古場は閑散としていた。聞けば、公演のスケジュールが決まらないとメンバーは顔を見せないらしい。その間は先生一人が稽古場に通っている。

「どや、これ美味いぞ。ひとつ食べてごらん」

 先生はボタ餅を食っていた。餅を頬張る底抜けの笑顔に引き込まれた。一個頂戴して口に運んだ。「美味い!」「そうやろ。わし、甘いもんに目がないんや」笑顔は笑顔を呼ぶ。

「好きなもんはとことん好きなんがええ。芝居もボタ餅も仲間も、うん、わし好きなんや。

好きだから一人でも楽しめる。楽しむから仲間が集ってくる。そしたら、なんでも出来よるで」先生は目を糸にして餅をまた頬張った。

 結局、その日は先生以外に誰も現れなかった。冬並みの寒波が列島を襲っている影響もあったのかも知れない。誰だって寒い中を出歩きたくなくなる。

「ボーッとしててもしょうがないな。うん。ちょっとお芝居の基本をやってみようか」 

 先生は手元にあったガリ刷りのホッチキス止めを手渡した。基本練習の教材である。

「アイウエオ、アオ」に始まり。「せっしゃ、親方の……」の外郎売りの口上で終わった。

「きょうはこれぐらいにしとこうか。お疲れさん」

「ありがとうございました」

「初めてにしては上手いなあ、君は。次も僕はこの時間に必ずいるから」

 先生は終始にこやかな表情に終始した。

                                (つづく)
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