▼心理学では、研究法がとくに大事
「相談」
心理学では、研究法がとくに大事と聞いたのですが、どういうことかよくわかりません。
「回答」(応用心理学部長 海保博之)
なぜ、心理学ではことさら研究法が問題になるのか ということですね。
まず、心理学が科学であるということをしっかりと知ってほしいところです。
ちまたに氾濫している「心理学」――これをポップ心理学と言いますーーを覗かれたと思いますが、そこには、科学の色合いが余りありませんので、こういう疑問を持たれるのも当然です。
しかし、心理学は科学なのです。
そうなると、どの科学にも、一定のしきたりに従った研究法はあります。それを学ぶ機会もありますが、心理学ほどの手間、暇をかけることはありません。それは、研究法も研究技法もほぼ確立していて、それほどあれこれと考える必要がないからです。研究する上で、考えることややることが手順化されているのです。
ところが、心理学では、そうはいかないのです。研究の入り口である研究法のところで、入り口がたくさんあるのです。どの入り口を選ぶかを知るためには、あらかじめ、その入り口が何につながっているかを知らなければなりませんね。ですから、心理学研究法を、時には、心理学を学ぶ前に学ばなければならないのです。
そのために、心理学部、心理学科には、かならず、心理学研究法や心理学基礎実験のような授業が用意されています。
内緒ですが、実は、この授業、ぜんぜん、面白くないのです。
実は、海保も担当してます。
海保が担当しているから面白くないのではなく、研究法だから面白くないのです。
でもでも、心の諸問題を科学的に考える習慣を付けるには、必須なのです。
「面白くない授業にこそ学問の真髄が隠されている」のです(笑い)。