10年10月05日更新
職場の人間関係の悩み
相談者:営業/26歳/男性
自分よりも有能な後輩に追い抜かされそうで
毎日怯えています。
昨年会社に入ったばかりの、2つ下の後輩が居ます。
この後輩、自分なんかよりも随分頭が良く、気がきき、いつも笑顔で愛想も良いので、他の社員や取引先からも人気があり、最近では重要なプロジェクトに抜擢されるなど、めまぐるしい成長を遂げています。
その重要なプロジェクトには、本当は私が入るはずだったのです。
私もそれなりに仕事はできるのですが、この後輩の成長には目を見張るものがあり、近いうちに、社内の評価的に追い抜かされそうで、自分が必要でなくなるような気がしてとても怖く、毎朝吐き気や頭痛がして、出社するのが辛いです。
ただ、後輩の足を引っ張るなどはしたくありません。
どうしたらこの不安な気持ちを取り除くことができるのでしょうか。
この相談には海保博之カウンセラーがズバリ答えます!
●これは困った相談です
最近、若者に増えているらしい自己愛過剰な人にとって実にありふれた悩みの一つです。自分もそこそこ美人なのに後輩のほうがもてるのを横目でながめていらいら、と同じたぐいの悩みではないかと思います。
自己愛とは、自分はしかるべき力、特性があるから周りからしかるべく処遇、評価されて当然、との考えを持つことです。 ほどほどなら問題ないのですが、これが高ずると、自分は特別という意識が強くなり、周りへの共感性が欠如し、仲間への強い嫉妬心を持つ自己愛過剰者、自己愛パーソナリティ障害者ということになります。
あなたの不安の源泉は、その後輩にあるのではなく、あなたの自己愛過剰にあるように思えます。
●自己愛過剰を克服する
自己愛は誰にでもそれなりにありますが、それが過剰になってしまうと、自分も回りも不幸になります。パーソナリティ(性格)ですので、簡単には克服するのは難しいのですが、あなたの考え方と振る舞いを変えることで、少しは気持ちが変わるかもしれません。
①考え方(信念)を変える
あなたの考え方のなかに、潜在的に、自分についての次のような3つの「不適切な考え方」があります。なお、ここで「不適切な考え方」とは、あなたを不安にさせてしまう原因となっている考え方という意味です。
・先輩である自分のほうが仕事ができて当然
・重要なプロジェクトには自分が入って当然
・後輩に追い抜かれそうな自分に我慢ならない
この3つの不適切な考え方がどうして不適切なのかを反駁してみてください。たとえば、「先輩である自分のほうが仕事ができて当然」という考え方に対しては
・人には得意なところと不得意なところがある
・学校とちがって、会社では仕事のできるできないは、年齢に無関係
というような具合に自分で自分の考え方に、あれこれと反駁してみるのです。
こうした反駁を通して、だんだん、後輩に対する不適切な感情が緩和されてくるはずです。
②振る舞いを変える
ややその後輩に「とらわれて」いませんか。一挙手一投足が気になってしかたがないような状態になっていませんか。にもかかわらず、その後輩と親しく話したり飲んだりはしていない、つまり、片思いの恋人のような状態ではありませんか。
こういう場合のベストな解決は、その人の姿形の見えないところにあなたが逃げてしまうことですが、それはあなたの努力だけでは無理でしょうから、逆に、思い切って、その後輩と親しくなってしまうのはどうでしょうか。
別にケンカしているわけでないのですから、あなたのほうから積極的に近づくのです。親しくしてみると、後輩は後輩なりの悩みもあり、自分と変わらないところもあることを知るはずです。さらに、後輩にはなくて自分にはあるものにも気がつくはずです。
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