◆行動主義(behaviorism)
生後10カ月の乳児が泣きわめいているとする。このとき、たとえば、「この泣き方は、空腹のときの泣き方だ。もう3時間もたっているから」と考え、ミルクを飲ませるとする。このように、ある行動を引き起こしている原因を、環境のなかにあって、しかも制御できる刺激状況(ミルクを与えなかった時間)に求めるべしとするのが、行動主義である。1913年に、J・ワトソンによって主張され、20世紀前半の心理学の主流となった。S(stimulus 刺激)‐R(response 反応)心理学とも呼ばれる。ベルの音を聞かせて餌を与えることを繰り返すとやがてベルの音だけで唾液が出るようになるI・パブロフの古典的条件づけと、何かをしたら強化(賞罰)を与えてその行動がもっと自発するようにするB・F・スキナーのオペラント(自発的)条件づけが、行動主義心理学の基盤となっている。意識、意図、欲求、認知といった心的活動を、科学的な研究対象ではないとして、徹底して排除した。