◆注意集中(concentration of attention)〔心理学〕
前出の(「短期記憶/長期記憶」)図に示す注意系と短期記憶の関係は、ガソリンタンクとエンジンの関係に例えられる。ガソリンをエンジンに送り込んで車を走らせるように、注意を注ぐことによって短期記憶の処理効率を高める。いつどれくらいアクセルを踏むか(注意配分)を決めるのはメタ認知である。このようなことから、注意を処理資源とよぶこともある。一般には、注意を多く注げば、認知機能の効率は高まる。しかし、緊急時などにみられるように、それが過度になると、限定された処理範囲での処理は最大になるが、複眼的な処理ができなくなる。これがあがるとか認知パニックとよばれるものである。注意には、能動的な側面と受動的な側面がある。メタ認知でコントロールできるのは前者である。「めだつもの」「興味のあるもの」「意味のあるもの」には、自然に注意が引き付けられるが、これが注意の受動的な側面である。注意の集中には、この受動的な側面にも目を向ける必要がある(→「短期記憶」→「メタ認知」→「不安」)。