朝になれば夕立はあがっていると思ったのだが、そうではなかった。
5時に起床すると雨はふりつづけている。
くもり時々雨、の予報なのに、ずっと雨降りだ。
テントの中でインスタント・ラーメンの朝食をとってようすをみるが、やみそうにないので撤収を開始した。
管理事務所の軒先をかりて荷物をまとめる。
屋根があるのはありがたい。
バイクも軒先に引き込んで荷物をつみ、7時に出発した。
雨の中をひた走る。
今日は福島市にゆくつもりだが、雨降りだからこのまま帰ってしまおうかと考える。
しかしせっかくここまで来ているのだから、予定をこなすことにした。
会津若松をすぎて猪苗代湖の北岸を西進する。
野口英世記念館の前をとおるが人はいなかった。
雨具のおかげでどこも濡れはしないのだが、気持ちはもりあがらない。
雨もまたよし、と雨降りのときの決まり言葉を言ってみるが、そういう気分にはなれなかった。
国道115号線にはいって福島市にむかう。
ルートは山越えの山岳路で、雨に加えて霧まででてきた。
土湯トンネルをこえると福島市となった。
こんなところまで福島市とはずいぶん広いのだなと思う。
福島市では県立美術館に行きたいと思っていた。
アンドリュー・ワイエスというアメリカの画家の絵を前から見たいと思っていて、それがここにあると知ったのでたずねてきたのだ。
ワイエスは写真のような細密画を描く人で、アメリカの農場や農具、家や倉庫などを題材としてきた。
それが突然隣家の人妻のヌードをかくようになったのである。
彼らはふたりだけで会い、モデルは服をぬぎ、画家は彼女の絵をかいた。
それはしばらく誰にも知られなかったそうだ。
彼女の夫にも、ワイエスの妻にも。
とてもミステリアスな話である。
それが15年にもおよんだのだ。
その絵がここにあるのである。
福島県立美術館は県立図書館とならんでたっていた。
できたばかりのようで新しくて立派だ。
さっそく入館すると、私が一番乗りで料金は格安の270円。
こんなに安いところはないのではなかろうか。
コレクションは福島県出身の画家がおおい。
その中に下村観山や岸田劉生、ルノワール、ピサロなどの作品もふくまれていた。
ルノアール。県立美術館のHPより
ピサロ 県立美術館のHPより
福島市の②につづく