![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/08/a4/fc1231ce22319c22e052ec51712c5f66.jpg)
2019年の9月。何年も前からいってみたいと思っていた、旭川の有名居酒屋の独酌・三四郎をたずねた。店に入るとほぼ満席だったが、カウンターにひとつ席があいていてそこに腰をおろす。まず生ビールたのむとお通しは酢豆だ。しぶいね。箸袋には毛筆の手書きで『風』とかかれている。私の前には女将さんがいて、知らなかったが特等席らしかった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3a/37/86c2d5d24344e8e02cde20c0b7afca4b.jpg)
メニューを見てホッキ貝の刺身とタコの串焼きをたのむ。するとホッキは品切れだ。せっかく決まったのにねぇ、と女将さんが言う。刺身はツブ貝にかえた。女将さんは70くらいの人だが、背が高くて、知的で、押しが強い。ちょっといないタイプの女性だ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0e/10/248de87daed2f85d810a1ff2d96caf00.jpg)
ツブ貝はすぐにでてきた。鮮度が抜群の上物だ。包丁の仕事も見事だった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/72/c3/85c8e7d2f0ba9ece8263f75351d6e548.jpg)
ビールを飲み終えて、名物だと言う焼酎のとうきび茶割りにした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/29/d7/8f983f6c77581606a6b0dc7489b60089.jpg)
でも酒がうすい。薄い酒は嫌いなんだよね。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0f/14/58f34816a89853138f4cd20ee70ca1a4.jpg)
タコの串焼きがやってきた。2本で650円だ。これも上質で、うすいしょう油味をつけて焼いてあり、噛むとほんのりとタコの甘味がのこる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/34/34/4ecca6be73bddd528c9f48e56f8fb318.jpg)
焼酎のとうきび茶割りが気に入らないので日本酒のリストをみる。カウンターにいるのは私のような、ひとり客の観光客が多かった。次は何にしようかな、と隣りの男性が女将さんに話しかけると、あれがいいんじゃないの、と答えている。若い女性は、他にもう一軒バーにゆくつもりだったけど、今夜はここで最後まで飲む、と女将さんに言っていた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/69/1f/a55c9929b59c8de813bc15c7fd37220b.jpg)
地元、旭川の国士無双の烈の燗酒をおねがいする。するとこの酒では名物の炭で焼く燗にならないとのこと。これをこの店では焼き燗と称している。北海道以外の酒は飲みたくないので烈にした。焼き燗はほとんどの客がたのむようだ。それと若どりの半身焼きの新子焼きも。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3f/0b/fd2f821c5b1e5eab100ae6733787c24f.jpg)
店内は年季の入った雰囲気のあるしつらえで、酒器や食器、コースターなども趣味がよく、凝っていた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6b/54/0eaab500076c8fdbe194e635008b6ffb.jpg)
もう少し何かたべたくて、カウンターにおいてある万願寺とうがらしを焼いてもらうことにする。若い女性のスタッフに辛いのかたずねると、そうでもないとのこと。しかし辛いのは苦手なので、なるべくそうでないものをお願いすると、炭焼き担当の方がとうがらしを入念にえらんで焼いてくれた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7e/3f/3f605156725a9bf09da05fed24a59050.jpg)
万願寺とうがらしは焼いた後で、一口大にカットし、かつおぶしを大量にかけて供された。シンプルでおいしい。もちろん辛くなかった。これは帰ってから自宅でも真似をしてつくってみたが、簡単で乙なつまみである。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/49/b3/9c42f913c94ba614fb448c703b6b1562.jpg)
烈はツンとくる酒だった。冷酒で〆ることにする。店のおすすめの、風のささやき、550円にした。酒の名がいささか鼻につくが、サッパリとした飲みやすい日本酒だった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/63/ff/a5c4dd87206b17af637db9d1d59957ab.jpg)
これでお会計は5400円だ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/14/ac/cbbfefa72a62af20f17b10c51a036cae.jpg)
ここの料理は刺身か炭火焼きだ。手はこんでいないが、素材がよくて、誠実な仕事をするからとてもおいしい。でも刺身にしたり、炭で焼くなら自分でもできそうである。そして有名店であるが故に、客が店を祭り上げてしまっている。客が店におもねっているところがあり、客が店に気をつかっている。
まちがいなくおいしい。文化的でセンスもいい。でも私はもういかないな。☆5点満点平均3点で4点。