
高遠の町をぬけて国道152号線を北上し、板山で右に折れて町道高嶺線の入口についた。目印は小豆坂トンネルである。時刻は14時前で相変わらず夜まで夕立の予報がでていた。

林道にはいるとトンネルの上をこえるため急登してゆく。

7キロ地点で木材の伐採をしていると看板がある。そのためにジャリが入れてあり、よく整備されていた。

木材の作業場所を通過すると雷がなりだした。

作業場をすぎると路面は荒れてくる。

空の色は悪い。雨もパラパラと落ちてきて、まず右手で雷鳴がとどろき、すすむと左で雷がはげしい音をたてた。

林道で雨に降られるのは嫌だから、スピード・アップして逃げ切りをはかる。真上で雷がひかり、一瞬視界が真っ白になった。

路面は急坂の上りで悪くなる。深く掘れてしまっていて、右に左にとラインをえらんですすむが、こんなところではセローの扱いやすさがきわだった。ピークで3人のオフローダーが休んでいた。会釈をかわして先にゆく。

後方の空は悪いが、前方は晴れてきた。夕立から逃げ切ったようだ。

町道高嶺線は以前にも何回か走っている。そのときはヌタヌタや水たまりの多い泥の道だったが、今回は乾いたダートだった。

17キロの町道高嶺線を足早に走りぬけた。雷に急がされてしまって、ゆっくりと林道を味わえなかったことが残念である。

千代田湖の横をぬけて国道152号線にむかう。空の色はよくなってきたので、もう1本林道を走ることにした。

高遠の町を通りすぎて国道152号線をすすむと白山トンネルがある。トンネルをぬけたところを左に曲がると林道長谷高遠線の入口だ。高遠の町にははげしい雷雨のあとがあったが、ここも雨で路面がぬれていた。

林道は入口から2、4キロは舗装路で、その先からダートになる。

出だしは粒の大きなジャリが入っている。

4、5キロすすむとジャリは薄くなり、道に草がはえだした。

走りやすいジャリダートをゆく。ここでセロー250・2台とセロー225・1台とすれちがった。

ダートを11、6キロ走ると女沢林道にでた。

左折してゆくと舗装路のように走りやすいジャリダートだ。

しかしその先は荒れていて最後は沢沿いの道で舗装路にでた。すすむと国道152号線の美和湖のバックウォーターにでる。浅瀬で水遊びをしている家族連れがいるが、ここでキャンプができるかもしれない。
道の駅南アルプスむら長谷にたちよる。今夜はここで車中泊をしようかと考えていたのだ。泊まるのは問題ないが、日中車をとめておくのはきびしいかもしれない。ここは人気の施設で混雑するのである。しかし明日はこの付近の林道を走るので、大芝高原からは移動しなければならないと考えていた。

ポツポツと雨の降ってきた伊那の町を大芝高原にむかう。路面には雷雨のあとがある。今日はずっとこんな感じで、大雨の降った後を走ることになった。ガスを入れると燃費は45、5K/Lだ。17時頃に大芝高原にもどると管理人さんに話しかけられた。長時間駐車を注意されるのかと思ったら、その方も昔バイクに乗っていたとのこと。しばしその方と今日のコースなどについて話し合った。この管理人さんがこの旅で2番目に長く会話をした人だった。いちばんは岡谷の刑事さんである。

移動するつもりでセローを車につんだ。その前に大芝の湯につかってゆくことにする。料金は500円だ。

大芝の湯は、内湯に露天風呂、サウナもあるよい施設だが、地元の人がサウナでも露天でも大声で話し合っているのが気になる。話題はコロナともうすぐはじまるオリンピックだ。そのコロナのためにも会話はひかえてほしいものである。

風呂からあがると移動するのが億劫になってしまった。夕方たちよった道の駅南アルプスむら長谷は、日中車をとめておくのが不安でもあるから、大芝高原に連泊することにする。スーパーでごぼう鶏旨煮と、

遠山というメーカーのマトン・ジンギスカンを買ってきた。伊那と言えばジンギスカンだ。

この地域は羊だけでなく、鳥も豚もジンギスカン味にするとジンギスカンと呼ぶようだ。ジンギスカンのコーナーには鳥ジン(鳥ジンギスカン)、豚ジン(豚ジンギスカン)がおかれていた。ジンギスカンをフライパンで炒める。マトンの癖があってそれがいい。夜になると雨がポツポツと落ちてくるが、土砂降りにはならなかった。