
2021年のGWに『茨城・福島にトランポ林道ツーリング』にでかけ、花園神社周辺の林道をはしっていると昼時となった。山のなかで食事処は釣り堀の増渕魚園しかない。釣り堀はどうかとおもったが、ほかに選択肢がないのでここを利用することにした。

園内にはいって釣り堀の横をすすむと山小屋風の建物がある。ここが釣り堀の受付兼食堂だ。

店内にはいると山女かニジマスをえらんでくれといわれる。メニューは川魚定食だけで、焼き魚をえらぶだけなのだ。渓流釣師だった私はまよわず山女をえらぶ。ニジマスのほうが大きいので、山間では人気があるのだが、山女のほうが断然うまいのである。刺身もいりますか、ともきかれた。山女でもニジマスでも刺身にできるそうだ。刺身にするなら脂ののっているニジマスのほうがいいから、ニジマスをおねがいした。

ほかに食堂がないからここにきたのだが、なんだかおもしろい店である。なにしろ料金がどこにも書かれていないのだ。平日の13時だが客は4組もいて、おいしい、たべきれないわ、などど話をしている。料理はどれも山盛りだ。

川魚を焼くのは時間がかかるものだが料理は15分ほどでやってきた。品数がおおいのにおどろく。

山女は焼きすぎのように見えるがちょうどよい焼き加減だった。山女は独特の風味があって大好きなのだ。まずはこれにかぶりつく。

ニジマスの刺身はサーモンを淡白にして、コリコリにようなもの。ほんのりと脂がのっていて香りはサーモンと同じだ。以前北海道の十勝でもたべたことがあったが、ニジマスの刺身はいける。切り身からするとニジマスはかなり大きい。2キロくらいのサイズだろうか。刺身は一人前でもたっぷりと量があった。

天ぷらの盛り合わせもたくさんだ。

刺身こんにゃくに生姜をちらした一品。深山らしくていい。

そして小皿たち。30年前だったら、こういう手料理はいくらでもあったが、今となってはめったに出会えるものではなくなっている。これはたいしたご馳走だ。

どれも素朴な味つけだが、こういう田舎料理、家庭の味がたべたいのである。料金は川魚定食が1650円。刺身が660円で合計2310円だ。また通いたい店をみつけたのだった。

2022年のGW。川魚の塩焼きと刺身、田舎料理がわすれられなくて増渕魚園を再訪した。すると入口から車が行列している。

バイクなので車をよけて店内にはいるが、釣り堀も食堂も大混雑していた。前回は平日にきたので、こんなに人気があって混むとはおもいもしなかった。これではどれほど待つことになるのかわからないので、あきらめることにした。

2022年10月。北茨城・いわきにキャンプツーリングにでかけた。その際に増渕魚園をまたたずねた。

前回たべた川魚定食と小鉢料理がわすれられなくて、またやってきたのである。

料理は川魚定食しかない。焼き魚を山女かニジマスのどちらかをえらぶだけで、今回も山女をおねがいした。塩焼きなら山女の一択である。

塩焼きは表面はこげているが中はジューシーだ。

山女かニジマスの刺身もあるので、今回もニジマスの刺身を注文した。刺身は山女もためしてみたいとおもっている。

天ぷらの盛り合わせ。前回の5月は山菜中心だったが、今回はキノコだ。

そしてキノコや山菜、かぼちゃの煮つけの小鉢たち。

大根と人参、シイタケの味噌汁。おばあちゃんがつくってくれそうな田舎料理がとても口にあう。なつかしくて、こころがあたたかくなる料理だ。
焼き魚も刺身もまよわず注文したせいか、お会計のときに、前もいらっしゃいましたか、ときかれた。そう、前回とてもおいしかったのでまたきたのです、とこたえたのだった。