1月9日・10日とスキーにゆく予定をたてていたら、首都圏の一都三県に緊急事態宣言がでてしまった。飲み屋だけでなく、食堂の営業時間も20時までとなり、出社もなるべくしないようにしてくれとのこと。20時以降の外出も自粛してほしいと政府は言っている。これではスキーにゆけないのだろうか。
去年の緊急事態宣言の発令後は、自粛してスキーに行くのは断念した。しかし今回の対策の重点は、飲食の場におかれている。酒をのみながらの会食が感染を拡大しているのだ。ひいてはそれが家族内感染の原因にもなっている。ならば広い場所で、ひとりで滑るスキーは、関係ないのではなかろうか。感染をしない、させない行動をして、ウインター・スポーツをすることは、許されるのではないかと、私は考えるにいたった。
行くとすると、新幹線でゆけばどこから来たのかわからない。しかし都内からアクセスのよい新幹線駅やスキー場では、テレビ局などのメディアの連中が待ちかまえていて、番組のネタ作りのタネにされてしまう可能性がある。こんな奴に正義漢面されて、いろいろと言われるのはごめんだ。
一方で車を利用するなら、沼田ICから40キロ近く山にのぼるホームコースの尾瀬岩鞍にゆくから、こんなところまでメディアの連中はこないだろうと思われた。ただ車にはナンバーがついているから、去年のように自粛警察がいるとわずらわしい。さて、どうしたものか。
いろいろと考えて、車でホームコースのホワイトワールド尾瀬岩鞍にゆくことにした。ひとりで車に乗り、車中泊をして、誰ともなるべく話さないようにし、食事も車のなかでひとりでとれば、誰にも迷惑はかからないだろうと判断したのだ。心配なのは自粛警察と、当日の低温である。去年の首都圏の緊急事態宣言後に、スキー場に来ている東京圏ナンバーの車の画像を、ツィッターにさらしている地元民がいたのを見た。そうされるのは嫌である。またこの週末は冷え込む予想で、片品が-10℃。沼田が-8℃となっている。数年前に丸沼高原で-10℃のなか車中泊をして、トラウマになるほど寒かったから、こんなところでは泊まりたくない。そこで沼田の手前の渋川にある道の駅こもちで前泊をすることにした。そして現地でまわりの状況を見て、スキーをするのか最終判断をすることにした。
自宅を金曜日に出ると道は空いていた。やはり皆さん外出を自粛されているようだ。いささかの後ろめたさを感じつつ車をすすめる。埼玉県もスムーズに車がながれている。しかし群馬県に入ると自動車の数は激増し、ここは緊急事態宣言のでていない、日常がつづいているのだと思い知らされた。これがどれほどすばらしいことか。そしてまわりの車のナンバーをつい見てしまい、群馬ナンバーばかりのなかに、たまに東京圏の車がいると、ほっとしたりした。こんな思いをしてまでもスキーにゆきたかったのである。
途中で温泉によったが、受付の人に余所者だなと思われたと感じたのは、気にしすぎだろうか。視線と反応でそう感じてしまったのだ。大浴場では地元の方々が話しまくっていたが、私はもちろん口をつぐんでいた。
道の駅こもちにつくと東京圏ナンバーの車が何台かとまっていた。この人たちも車中泊組で、明日はスキーにゆくのだろう。それを知ると構えていたこころの硬さがゆるんでいった。これならば私だけが自粛警察に追いまわされることはなかろうと感じたからだ。夜は半額で手に入れてきたサンドイッチといなりで一杯である。防寒対策は万全で、とくに冷えると辛い足はダウン・ソックスをはいて寝た。これはとても暖かいのである。
翌日。道の駅こもちの朝。5時に起床した。寒い。気温は-5℃くらいだろうか。朝食をとりゴミを捨てさせてもらって出発する。ここはゴミ箱があるのである。
白沢で-8℃、その先は-10℃、-11℃とあり、道の駅尾瀬かたしなは-10℃だった。この道の駅にいたのは東京圏ナンバーの車ばかりなので、私の不安はほぼ消えた。私だけが来ているわけではないのである。
岩鞍のHPでは、道路状況が毎朝5時台に更新されている。それによると4WDスタッドレス◎、FFスタッドレス○、FRスタッドレス△、となっていた。
岩鞍の入口について、スキー場につづく急坂を見てみると、ハイエースではスタックしそうな状況なのでチェーンを巻いた。
スキー場への最後の坂は激坂なのだ。しかしチェーンを装着しているのは毎度私だけなのがさみしい。
スキー場の第2駐車場に到着した。空いている。皆さん自粛しているのだろうか。それとも今日は悪天候だからなのか。駐車場には東京圏の車が7割ほどいて、私の心配は完全にきえた。
気温は-12℃。天候は雪で午後から曇る予報だ。日本海側で大雪がふり、福井でトラックなどの立ち往生が発生した日である。
昨日は1日だけでも滑れればよいなと考えていたが、シニア2日券の8000円+デポジット料500円を買った。2日いても問題ないと判断したのだ。ゴンドラのオープンをまつ。
8時29分にゴンドラ山頂駅についた。
圧雪の上にうっすらと新雪がのった絶好のコンディションである。ゲレンデは空いていて思うように飛ばせた。
気温が低いので木々が樹氷のように凍りつき、ちらつく雪がダイヤモンド・ダストとなり、キラキラとかがやいている。きれいだが足のつま先が痛いほどつめたかった。
やがて晴れてきた。武尊山がみえる。ぶなの木コース。
昼食は車にもどろうと思っていたが、ゲレンデもレストランもガラガラに空いているので、ベルクにはいった。
ハヤシライス1000円をたのむ。
チャンピオン・コースが再整備されて13時にオープンされるのをまつ。
チャンピオンの後はコブのぶなの木にゆく。コブが深くなりむずかしくなっていた。
コブ斜面に疲れると国体女子西山コースにうつる。
最後はチャンピオン・コースにもどった。
この日はナイターがあった。2日券はナイターも滑れるのである。エキスパート・コース下部が圧雪されるのをまつ。
きれいに整備されたシマシマを5本すべって切り上げた。スキー・スノボ・アプリのスノーウェイによると、リフト乗車36回、滑走36本、滑走距離54、5キロ、最高速74、3キロ(チャンピオン・コース)、と記録されている。
車にもどるとつま先が寒さでしびれてしまっていた。チェーンをはずして山をくだり、鎌田のスーパーいのうえで買物をして、ほっこり湯につかる。ほっこり湯は片品村内のリフト券をしめすと、550円の入浴料が100円引きになる。ほっこり湯は貸し切りだった。
その後宿泊場所をもとめて山をおりてゆく。道の駅尾瀬かたしなは-8℃、道の駅白沢も-8℃だ。朝方に-10℃になるのは確実だから、こんなところには泊まりたくない。
そこで昨夜も泊まった道の駅こもちまでゆくと-4℃なので、ここで車中泊をすることにした。シメサバと焼肉で一杯である。
2日目。道の駅こもちの朝は-7℃くらいで、低温のためにイワタニのガス・ストーブが着火できないほどだった。
岩鞍のHPによると、今日もFRスタッドレスは△なので、チェーンをまいた。今シーズンは5日ここに来ているが、5回ともチェーンを装着している。上り坂でスタックして皆さんに迷惑はかけられないから、手間はかかるが、これは必要なことなのである。
昨日よりも人がおおい。そしてやはり7割は東京圏のナンバーだった。
天候は晴れ。気温は-12℃だが、慣れてしまったのか、それほど寒くかんじない。ゲレンデはきれいに圧雪されていた。
今日もゴンドラのオープンをまつ。
昨日はミルキーウェイでスタートしたが、今日は国体女子コースから滑りはじめる。このシマシマがたまらない。
国体女子西山コースで大回りをしてスピードをたのしんだ。
チャンピオン・コースにいった後でコブ斜面のぶなの木にゆく。
モーグル系のピッチの細かいコブは歯がたたない。基礎系の左右に距離をとった浅いコブのラインをすべった。
この日はゴンドラの行列ができ、乗るのに5分ほどかかっていた。
ゲレンデもたくさんの人でにぎわっていたが、キッズがきているのがいい。スキー場が明るくなる。
ゲレンデとおなじくレストランも混んでいるので、車にもどって食事をとることにする。上の画像は閉鎖されてしまったチャレンジ・コースだ。ここが好きだったが、もうリフトも撤去されていた。
第2駐車場は満車となっていた。
下りでは必要ないのでチェーンをはずしておく。
昼食はカップめんといなりすしである。
車にもどると腰が重くなってしまい、13時のチャンピオン・コースの再オープンには間に合わなかった。
上空は青空が見えるが雪がふってきて、ときに吹雪く。リフトにのっていると手と足がつめたい。
やがて晴れてきた。
今日もナイターがあり、シマシマのエキスパート・コースをすべりたいが、もう体力はのこっていない。切り上げることにする。
ナイターのはじまる前の時間だが、車はほとんどいなくなっていた。スキー・スノボ・アプリのスノーウェイによると、リフト乗車28回、滑走26本、滑走距離40、0キロ、最高速72、3キロ(国体女子西山コース)、と記録されている。