9日目。
5時半に起床した。
路上で寝ている若者たちはまだ眠っている。若いと眠りが深いからね。
ウトナイ湖を見にゆくと、曇っているせいか湖の色は灰色だった。
苫小牧漁港にあるマルトマ食堂にむかう。6時20分についたが満席だった。
ほどなく席につけて注文をしようとすると、ホッキカレーね、とお姉さんに言い当てられてしまう。カレーを食べそうに見えたのかな。
ちょっと時間がかかってホッキカレーはやってきた。わかっていたけどすごいボリュームだ。食べるとホッキがコリコリで美味しい。辛くないカレーもよい感じだ。これで1000円はお値打ちだね。ただご飯が多すぎて食べきれなかった。☆5点満点平均3点で3、2点。カレー自体は平凡。ホッキとボリュームでプラス。
店をでると入店待ちになっていた。まだ朝の7時すぎだ。
食後は苫小牧の市場を見てまわる。
海産物に野菜、果物を売っていて食堂がある。
魚介類が安い。
ホッキにツブ貝、花咲カニなどをここで買ってバーベキューをすれば大満足できると思う。
支笏湖にやってきた。モラップキャンプ場にたちよる。
支笏湖の深い青がとても綺麗だ。支笏湖、ブルー、とツィートする。
モラップキャンプ場は立ち入るだけで300円かかると書いてある。ずいぶんうるさくなったものだ。こんなところにはいたくないのでライダー・ハウスの樽前荘の前の駐車場に移動する。ここにはライダーがたくさんいた。
湖畔の写真をとりながらすすむ。
湖では支笏湖がいちばん好きだ。
ポロピナイにいってみるとキャンプ場はなくなっていた。
札幌、小樽を通過して余市のニッカ工場にやってきた。
ここは1983年以来だ。
工場の前は何度も通過しているが中に入ることがなかった。
少し前に日経新聞の朝刊でサントリーの創業者の鳥井信治郎の小説が連載されていた。
サントリーがウイスキーに進出したときに、技術協力したのがニッカの創始者の竹鶴政孝なのを知ったのだ。ニッカ創業の前である。
それで工場を見学したくなった。
工場を見学してニッカのファンになった。
ウィスキーの試飲はできないのでウーロン茶をもらって工場をでた。
昼食はここと決めていた柿崎商店にゆく。
ニッカの工場からすぐである。
しかし行列ができていた。2階のお店までつづいている。これは1時間待ちくらいだろうか。土曜日に来たのが悪かったのだ。ここは諦めることにした。
ニッカ工場の近くを車で走っていてよい感じの店をみつけた。食事処たけや、という店舗だ。ここに入ることにした。
席につくと後から客が10人ほどやってきたのですぐに注文する。朝のホッキカレーでまだ空腹ではない。それで軽めのランチ寿司をえらんだ。
味噌汁に茶碗蒸しがついて1188円はお値打ちだ。
セルフのコーヒーもついていた。星5点満点平均3点で3、4点。
フェリー・ターミナルにやってきた。北海道ともお別れだ。
船は定刻の17時に出港した。
帰りの船も新造船でジムまでついていた。
フェリーは北海道沖をすすむ。
強風のため前と横のデッキにはでられない。後部デッキからだと夕日は船の陰になって見られなかった。
船上コンサートはSTAYという若い男性3人組の歌だった。
コンサートの後は寝台に引き上げた。
10日目。
新造船にはドッグランもついていた。
定刻の9時前に船をおりた。気温は24℃と暑い。埼玉の熊谷は32℃になるとのことだった。
下道をゆく。道の駅、ちぢみの里おぢや、で休憩する。日差しが強くなりうだるようだ。
道の駅、南魚沼でも休憩した。ここで地の野菜を買った。湯沢ICから月夜野ICまで関越道を利用してまた国道にもどった。
群馬の大人気焼肉チェーン、あおぞら、に入る。
17時まで限定のお得なランチがあったので、これのライス大盛りをオーダーした。
まずつけあわせとおぼろ豆腐がきた。
サラダ。
上州牛カルビと上州豚のロース。
ご飯大盛りにワカメスープ。これで1800円。食べてみると美味しいし、品数が豊富で満足度のたかいメニューだ。焼肉などをおかずにしてご飯をガツガツとたべる。帆立づくし定食よりも数段おいしいし、じんぎすかん白樺よりも満足度が高かった。庶民派の私としては旅の締めくくりにふさわしいランチとなった。☆5点満点平均3点で3、8点。
あおぞらの店内はファミリー客でいっぱいだ。子供がかけまわっていて、群馬はおおらかだ。今年の北海道ツーリングは終わった。
8日目。
6時に起床した。夜中に雨がポツポツと降っていたのでバイクは無理だなと思っていた。しかし朝になってみると曇りで路面もかわいている。これなら雨のくる前に屈斜路湖畔林道が走れるのではないかと思った。
セイコマ・ブランドのカップ麺で朝食をとる。
TW氏はバイクにカバーをかけている。
急いで出発した。
7時25分に屈斜路湖畔林道の入口に到着した。
またこの林道を走れて嬉しい。
深い森の中をぬけてゆく。
やがて湖沿いにでた。
曇っていても目をうばわれる風景だ。
鹿一頭に会い、21、5キロの林道を走りぬけた。これなら釧路の林道にもゆけるのではないかと考えて南下することにする。
弟子屈を通過して根室湿原にむかうが標茶で雨が降りだしてしまった。弱い降りなのでセイコマで雨宿りをする。
セイコマの天気予報の画面では、釧路の降水確率が70パーセントとなっていた。
雨はやんでくれない。
バイクでの走行は断念して車に切り替えることにする。屈斜路湖畔林道を走れただけでもよかったのだ。カッパとブーツカバーをつけて道の駅にもどることにした。
道の駅・摩周温泉にもどってきた。弟子屈は雨は降っていない。路面も乾いているが、降りだすのは時間の問題だろう。TW氏は動かなかったようだ。
車に乗り換える作業をしていると、大型キャンピングカーのアドリアに乗った方から声をかけられた。75くらいの方だ。DRは朝の始動のときに白煙がでていたが、2サイクルではないよね、と。古いバイクなのでオイル上がりをおこしているのを説明する。ピストンとシリンダーのクリアランスが大きくて、エンジン・オイルが燃焼室まで上がり、ガスといっしょに燃えているのだ。それで白煙が出る。
アドリア氏は14年連続で北海道に来ているそうだ。アドリアはフィアット・ベースのキャンピングカーで、大きいからフェリーは普通車の3倍の料金になるそうだ。それでフェリーも大間ー函館間のいちばん短いところしか利用しないとのこと。
アドリア氏は釧路のさんま祭りやチューリップ祭りなどをまわるのが目的なのだそうだ。格安で海産物が手に入るから、それを楽しんでいるとのこと。年をとったら、北海道各地の祭りをまわるのもいいよね。アドリア氏は高価な車に乗っていたが、奥様ともどもとても気さくな方だった。
TW氏は釧路に車のオイル交換にゆくそうだ。バイクを車に積み込んでいる。車内を見せていただくと自作のコンパネ(ベニア板)が敷いてある。フロアの形にベニアを切るのはたいへんだったと思う。バイクはバランスを考えて中央に積載していた。固定は摩擦式のタイダウン・ベルトの八点止めである。上下左右だけでなく、壁や天井にもベルトをかけていた。
TWの前はトライアンフのスピード・トリプルに乗られていたそうだ。走るのがお好きなのだ。トラも車に積んだそうだが、狭い山道にはむかないから最近乗り換えたとのこと。TWはピカピカだが、10年もたっているそうだ。そして朝の始動のときにDRは白煙をだしていたが、とTW氏にも聞かれて、オイル上がりの話をした。皆さんよく見てるよね。
バセットハウンドをつれて旅をされている80くらいの方とも話をした。軽トラの荷台に居住スペースをのせてすごされている。
車にはご自身とワンちゃんのイラストが描かれていて、人生を楽しまれていた。
昨夜ハイエースのとなりにぴったりと停めていたワンボックスカーの老人は釣師だった。すぐ横の釧路川で釣りをしているのだ。竿をもって帰ってこられたので話しかけた。狙いは虹鱒で、かかれば30センチくらいがアベレージとのこと。昨年はここで44センチのアメマスをかけたそうだ。雨はバイクの天敵だが、釣りでは絶好の条件なのだ。年をとったら釣りをしにくるのもいいよね。
バイク乗りには連帯感があると思う。同じオートバイに乗るもの同志ですぐに打ち解けられる。それは車中泊の人にも言える。昔はキャンプ場にもそれがあった。しかし今のキャンプ場は道具重視のファッション第一で、連帯感は失われてしまった。やっている人種が変わったよね。
ТW氏は釧路にむかった。道の駅で土産を買って私も出発する。近くにある弟子屈ラーメンに昼食にいった。
店内はほぼ満席だ。なんとか席についておすすめを聞くと魚介しぼり醤油ラーメン800円とのことでそれをお願いした。
行者にんにく餃子280円も注文する。
ラーメンがきてみると麺がすくない印象なので、チャーマヨのりまきというご飯メニュー230円も追加したが、麺はたっぷりとあったから、チャーマヨはいらなかった。
ラーメンはスープが焦がし醤油の魚介風味でおいしい。メンマやチャーシューもよいのだが麺がよくなかった。餃子は行者にんにくの風味はなく、一口餃子なので一気に食べてしまった。チャーマヨはチャーシューとかまぼこをマヨネーズであえて三角おにぎりにしたものだ。マヨネーズが勝ったチープなテイストが好みだった。ラーメンは高いな。☆5点満点平均3点で3、4点。
弟子屈ラーメンをでると雨がはげしく降ってきた。TW氏に教えてもらった地元の温泉、亀の湯にゆく。
昭和レトロな温泉だ。料金は300円。でも誰もいない。番台にもだ。
ぬるめの温泉がひとり占めだった。代金は番台においておいた。
弟子屈をでて苫小牧にむかう。網走は昨日いったし、旭川では昨年呑んでいる。苫小牧のマルトマ食堂は何年も行っていないから、明日の朝食はホッキカレーにしたい。そして昼食は余市の柿崎食堂に決めた。
阿寒湖にむかうと双岳台がある。雨の上に霧もでてきたので何も見えないだろうと思って通過する。しかし霧で何も見えない景色をカメラにおさめるのも面白いと思って双湖台によってみた。
すると見えないと思っていた湖を目にすることができた。湖はペンケトウである。パンケトウは見えなかった。
足寄のイエローグローブに立ち寄る。荷物を入れるためのコンテナボックスを買った。
道の駅・ピア21しほろで休憩する。ここはできたばかかりの施設だった。十勝清水から道東道に入る。無料で通行するために占冠で一度高速をでるつもりだったが、占冠の先は事故で通行止めだ。その後は一般道で苫小牧にむかった。
20時半に苫小牧に近い道の駅・ウトナイ湖についた。車中泊の車がたくさん集まっていて、バイクの若者たちも野宿している。今宵もサンドイッチとサッポロクラシックだ。それにセイコマ焼酎の長五郎である。
バイクの走行距離122、7キロ 車の走行距離341キロ ダート21、5キロ
能取岬には数年前にいっているので立ち寄らなかった。通過したが岬の入口にはクマの糞がある。アスファルト上にあるのははじめて見た。能取岬のみえるパーキングで休憩をする。
メモをつけて写真をとっていると、軽キャンピング・カーに乗った方がシャッターを押してあげようとおっしゃるので、お願いした。リタイヤした方だ。軽キャンカー氏はスケッチをしながら旅をしているそうだ。それはいいですね、と答えたが、リタイヤしたらスケッチ旅行も素敵だ。
能取湖にそって走る。快晴のため湖がとてもきれいだ。清楚なうつくしさを感じた。
北勝水産でカニがたべたいと思っていたのだが昼をすぎてしまった。常呂にホタテ料理で有名な『レストハウスところ』がある。ホタテはあまり好きではないのだが、他に店がないのでここに入ることにした。
ラーメンやカツ丼もあり、それらにしたいが、観光客の私がここで食べるならやはりホタテでしょう。思い入れはないのだが、流れで帆立づくし定食をたのんだ。税別1800円。
料理を待っていると地元の人が相席してよいかと聞く。席がないのかと思ったらあるのにだ。ここがお気に入りの場所らしい。その人はラーメンとライスを注文した。
帆立づくし定食はすばやく提供された。
刺身。
フライ。
塩茹で。味はふつうだ。☆5点満点で3、1点かな。たべていると相席者の60すぎの男性が、ホタテは美味しい? と聞く。ふつうじゃないですか、まあまあかな、と答えたが、ホタテの仕事をしてきた帰りなのだそうだ。自分が作業をしてきたホタテを観光客がたべているのが気になったようだが、ホタテの仕事でこき使われて帰るところだ、と言う。こき使われてまいったよ、と。ホタテの作業をする人には会ったことがないから話をしてみようかと思ったが、ネガティブな人なのでやめておいた。
食事をするとコーヒーが一杯サービスだ。ただしセルフ。相席者は会釈もせずに出ていった。帆立づくし定食は品数を考えればお値打ちだ。
キムアネップ岬のサンゴ草群生地を見にゆく。時期がまだ早いのかあまり赤くなかった。
北勝水産に到着したがここではカニをたべられなかった。以前はたべられた記憶があったのだ。フードコーナーにあるのはホタテバーガーとホタテカレー、それにおにぎりだ。こうなると帆立づくしをたべておいてよかったと思う。
ここの名物はホタテバーガーだ。今日はホタテづくしの日だから、これも食べてみることにした。ホタテ・フライのバーガーで、フライ2個が360円、3個が450円だ。2個のバーガーをお願いした。
ホタテバーガーはとてもおいしい。バンズが香ばしくてパリパリだ。トマトにレタスにオニオンにホタテフライ、それにたっぷりのタルタルソースという構成なのだが、B級グルメのような、ジャンクフードのようなテイストがとても好みだ。☆5点満点で3、8点。
今日の目的地と考えていた、サロマ湖を見下ろせる幌岩山展望台にむかう。
幌岩山林道でゆくのだが、その入口は北勝水産のすぐ横だ。
幌岩山林道は展望台まで5、4キロだが、1、4キロは舗装路で、4キロがダートになっている。画像はアスファルトからジャリ道になるところである。
林道は走りやすいジャリ道だが狭いから車の離合は困難だ。バイクは問題なく走行できる。
車2台と物欲しそうにいているキツネ1匹と会い駐車場に到着した。ここから階段が山頂にのびている。この上に展望台はあるのだ。
展望台からはサロマ湖とオホーツク海が見下ろせた。湧別方向。
湖口と呼ばれる岸が切れて海とつながった部分。正面。
キムアネップ岬方向。ここは1983年に来たことがあり、いつかまた訪ねたいと思っていた。10年ほど前に家内と車で来たときはクマ出没で通行止めになっていたのだ。ずいぶんと時間がたって再訪できた。今日の朝、網走方向にツーリングしようと決めたときに、ここを目的地と決めたのだ。
展望台から下ってゆく。
左の道で上ってきたので、下りは右の道でサロマ湖にゆくことにする。
林道の出口についた。1983年は5キロも山を上らなかった。もっと低いところにも展望所はあるようだ。
道の駅・摩周温泉にもどってゆく。美幌で屈斜路湖方向に行くはずが、まちがえて網走方向にいってしまった。気がついて地図で確認したが、とまった場所に『びほろ後楽園』の看板が出ていた。温泉で立ち寄り湯ができるとあるし、TMには、低料金で宿泊可、とある。これも縁なのでミス・コースのついでにここで風呂に入ってゆくことにした。
行ってみるとすごいところだった。看板が施設を代弁している。
いろいろな建物があってとらえどころがない。ここが温泉の入口だ。
それにボロイ。知らないと入りづらいところだ。ただ車はたくさんとまっているので風呂にゆくことにした。入浴料は380円と格安だ。古いが大きな内風呂がありヌルヌルとしたよい泉質の温泉だ。露天風呂もあるがぬるい。サウナもあるが砂時計はこわれていた。
石けんやシャンプーはない。ドライヤーは100円だ。設備は古いが味はある。なにより内容を考えれば安かった。
休憩室でコーヒー牛乳を飲みながら涼む。後楽園は9月11日から補修のために休業するそうだから、タイミングもよかった。やはり縁があったのだろう。
帰るころには大盛況になっていた。後楽園は10月30日から営業を再開し、名前も『ライフ・イン・ビホロ』に変わるのだそうだ。入浴料も400円にアップする。
美幌から美幌峠まで24キロ、弟子屈までは55キロもあった。夜道を激走して道の駅にむかう。美幌峠をこえて下ってゆくと、闇の中にうっすらと屈斜路湖がみえた。弟子屈につくとガスを入れて夕食とビールを買い、道の駅にもどった。
道の駅の駐車場にもどると、バイク用に空けておいたいちばん奥のスペースに、何台かはなれて止まっていた車が入ってしまっていた。ガラガラなのにハイエースの横にぴったりととめている。しかもその車は同ナンバーなのだ。これでは友達みたいなのでハイエースを移動させた。
TW氏がやってきた。ずいぶん走ってきたね、と言う。サロマ湖までいってきました、と話すと、TW氏も美幌峠や石北峠を走ってきたそうだ。明日は朝から雨とのこと。雨降りならば車にするしかないと話し合った。
車の中にはいり刺身の盛り合わせとイカの酢味噌和えで一杯やりだす。明日は雨ならば網走か旭川で飲むか、もしくは苫小牧のマルトマ食堂にむかうかだ。もちろん降らなければバイクで走りたい。すべては天候しだいである。
バイクの走行距離347、6キロ ダート12、5キロ
7日目。
6時に起床した。弱い雨が降っていて空の雲は厚い。
根室、釧路地方の降水確率は50パーセント。網走方面は20パーセントだ。釧路・根室の林道にゆくつもりだったが雨では楽しめない。予定を変更して網走方向にツーリングにゆくことにした。
カップめんと昨夜たべられなかった、ホッキの酢味噌和えで朝食とする。
TW氏は雨で完全に見送りモードになっている。今日は温泉と水汲みですごすそうだ。
バイクの水滴をふきとる。ついでにスクリーンに付着した虫の掃除もした。雨はあがり北の空が明るくなってきた。
今日は林道に入らないだろうからショート・ブーツにする。
キック2回でDRは始動した。調子はよい。北にむけて出発する。道の駅から走りだすとすぐに道は乾き、川湯方向にすすむと晴れてきた。
国道391号線から道道102号線に入って藻琴山展望台PAに立ち寄った。
景色は見えないかもしれないと思ったのだが、屈斜路湖を見下ろすことができた。ここにいた東北ナンバーのZ1000氏と湖が見えてよかったと話し合う。Z氏は川湯に泊まったそうだが雨は降らなかったそうだ。
つづいてハイランド小清水の展望台にゆく。こちらの方がさらに高所にあるのでダイナミックな風景が見える。ここでもZ1000氏といっしょになり、網走方向は晴れているので、今日はこっちですね、と話し合った。
空は晴れあがった。やはりバイクは晴れていないと楽しめない。天候のよいこちらに来てよかった。TMを見ると近くに藻琴林道がある。銀領水までダート5キロとあるので、ここを走ってゆくことにした。
しかしここはジャリの浮いた走りづらいダートだった。少し行くと鹿避けゲートがあり、熊注意の看板がある。文字は恐怖を触発するのだ。熊の字を見てしまったし、ゲートを開け閉めするのも億劫なので、ここで引き返すことにした。
道道を北上するとオホーツク海にでた。ここに味のある建物があるので見にゆくと藻琴駅だ。藻琴駅は高倉健主演の映画『網走番外地』で網走駅として登場したそうだ。今は喫茶店としても営業している。
藻琴湖を見にゆく。沼のような大きさの湖だ。
つづいて濤沸湖にもたちよる。ここは2014年版のTMの表紙を撮影した場所だそうだ。とてもよいところだが、それをカメラで切り取れないのが不満だった。
TMを見ると、農道を網走方向にすすんだところに『感動の径』がある。名前が安易すぎるが寄ってゆくことにすると、農道に入ったところでもう感動した。
感動の径はまだ先である。広大でゆるやかにうねる農地がひろがっていた。
十勝のような平地の風景ではない。起伏のある土地の味わいだった。
たまねぎ畑。
感動の径についた。
いちばん高いところだ。ここからオホーツク海にむけ感動の径はつづいてゆく。
鱒浦農免農道ともTMに名前がかかれている。
知床連山が見えた。
網走にむかい道の駅・流氷街道にたちよる。ここはみやげ物が充実していた。
道の駅には祭りのポスターが貼ってあって興味深かった。根室のさんま祭りはさんま不足だが開催されたのだろうか。
きりたっぷ岬祭りはキャラがルパン三世だ。
この道の駅で車中泊をして網走で飲みたいと思っているので、駅までの距離をはかってみた。すると1、6キロで歩くことは可能だ。しかし駅前に繁華街はないからもう少し歩かなければならないようだ。昼が近づいてきたが網走で行ってみたい店はない。できればサロマ湖の北勝水産でカニをたべたいと思っていた。
能取岬にむかうと途中にバイラギ林道がある。TMに、走りやすいダート11、8キロとあるのでいってみた。
しかし入口がわかりづらい。道道76号線からダートの道が見えたので入ってゆくと、個人の方の家についた。廃品回収をしている人の家だ。この家の方に道をきくと、すぐ先とのこと。しかし通行止めだと教えてくれた。それでも行けるところまでまでいってみることにした。
ここがバイラギ林道の入口だ。左のカニの倉庫のような建物が目印で、バイラギ橋の手前だ。
分岐を入ってゆくとすぐにダートになる。
ジャリの浮いた走りづらい林道だ。
バイラギ林道の看板がたつ。
地元の方の言ったとおり1、3キロの二股で通行止めとなった。右がバイラギ林道である。
林道決壊のためとある。
左は能取林道8、9キロとでている。この道はTMに出ていないし、どこに向かうのかわからないので、入らずに引き返すことにした。
清里町から道道857号線を南下して江鳶奥林道(えとんびおくりんどう)にむかう。山に登ってゆく道だが、振り返るとオホーツク海まで一直線の道路だった。
江鳶奥林道の入口、鹿避けゲートに到着した。ここも林道ツーリングガイドブックで知った林道で初走行だ。はじめてのダートを走るのは緊張感をともなう。どんな路面や風景が待っているのだろうか。
ゲートには、路肩の崩壊により通り抜けができない、とある。
バイクなら通過できるだろうと判断してゲートを通った。この後できちんとゲートを閉めて走りだしたのは言うまでもないことである。江鳶奥林道は斜里川林道に接続している。2本の林道のすべてを走ると33、6キロのダート走行である。
林道には粒の大きなジャリが入れてある。深ジャリ、大きな石の散らばる路面はハンドルをとられて走りづらい。林の中の道を峠にのぼってゆくと、ホンダCRF250のライダーがやってきた。思わず互いにとまって話をする。CRF氏によると、この先通り抜けに問題はないそうだ。ただ橋の部分だけ荒れているとか。CRF氏は江鳶奥林道に接続している斜里川林道の終点まで行ってきたとのこと。平日の林道で同好の士に会えるとは思っていなかったので、とても嬉しかった。CRF氏は50くらいの方だった。
入口から5キロほどで峠についた。TMには、峠からオホーツク海をのぞむ、とあるが当日は霞んでいて展望がきかない。
風がつよく、ザァッ、と音をたてて熊笹がゆれるので、写真をとって早々に走りだした。CRF氏に会えて初走行の林道の緊張がやわらいでいた。江鳶奥林道は丁字状に斜里川林道に合流する。その分岐から斜里川林道終点の男鹿の滝入口までは片道8、5キロのピストンなので、パスしようと考えていた。しかしCRF氏が行ってきたと語っていたので私も行こうかと考えだした。
すすんでゆくと道が裂けたように痛んでいる個所がいくつもあった。ジャリを入れて補修してあるが、ひどいところは車の通過は困難だ。
林道ツーリングガイドブック2017~2018では倒木が道をふさいでいたが、それはかたづけられていた。
粒の大きい石はなるべく避けてゆく。だからペースは上がらない。江鳶奥林道はジャリで走りづらく荒れた印象だった。
12、5キロの江鳶奥林道を走りぬけて斜里川林道に合流した。左奥からやってきた。右奥が男鹿の滝である。
江鳶奥林道を見る。江鳶奥林道、江鳶山の看板がたつ。
男鹿の滝方向。男鹿の滝入口が斜里川林道の終点で、ここからピストン走行になる。はじめはパスするつもりだったが、今行かねば後で後悔すると思うので、ゆくことにした。
斜里川林道は走りやすいダートだ。粒の大きなジャリは入っていないし、ストレート主体で明るく開けている。脇の草が刈っていないところがあったが、江鳶奥林道よりも断然走りやすかった。
やがて林道は上りとなりかなりの急坂もあらわれる。濃い樹木の中をゆく暗い道となった。
横を斜里川がながれている。これは帰りの画像だ。
8、5キロ走って林道の終点に到着した。男鹿の滝まで徒歩400メートルとある。
男鹿の滝への遊歩道を見る。もちろん歩いてなんかいかない。
バイクに乗っていればヒグマは寄ってこないと高をくくっているが、熊きけん、と文字を目にすると、急に気になってくる。字は恐怖を触発するのだ。早々に今きた道をもどることにした。
江鳶奥林道への分岐を通過して、斜里川林道の出口についた。14時過ぎだった。
斜里川林道とアタクチャ林道の案内がある。江鳶奥林道と斜里川林道33、6キロの走行は終わった。
次は虹別林道にゆくことにする。山を下ってゆくと道道1105号線にでる。神の子池があるが寄らない。清里峠にむかうと裏摩周展望台があるがここにも興味はない。むかうのはこの先の虹別林道だ。
清里峠から道道150号線を南下すると、左右に虹別林道がはしっている。虹別林道は道道150号線をまたいでつづいているのだ。
21が虹別林道の番号である。林道番号は最近できたようだが、すぐに場所が特定できるからとても有効だとおもう。
ここは虹別林道の中間点だ。
西別岳方向を見る。こちらには行かないが、ここから西別岳登山口をとおり虹別にむけて13、5キロの林道がのびている。
これから向かう、からまつの湯の方向。11、5キロのダート走行のはじまりだ。
ストレート主体の頭上のひらけた走りやすいダートをゆく。6、7キロゆくと樹木の伐採をしていてトラックが出入りしているから、この先は路面が痛み、波打っていた。
虹別林道の出口についた。
走ってきた方向をみる。
近くにある、からまつの湯にゆく。私がついたときには誰もいなかった。
からまつの湯は私の貸切だ。こんな贅沢はないだろう。湯は熱い。しかしつかっていると慣れてじんわりときく温泉だ。
調子にのって自撮りまでしてしまった。見苦しくて失礼。
かつまつの湯につかっているとグループの人たちがきた。その中のひとりが、テレビドラマの孤独のグルメの原作者の久住さんだった。昔からいっしょに漫画をかいている、泉さんという方と取材でいらっしゃったそうだ。久住さんたちは私と入れ替わりにからまつの湯にはいられた。久住さんはとても気さくな方だった。もちろん孤独のグルメは毎度見てますと伝えた。
風呂上りの久住さんと写真をとってもらった。自分だけ顔をかくしてすいません。問題があればご指摘ください。ツィッターもフォローしてます。
旅のよい記念となった。
からまつの湯から開陽台にやってきた。
夕暮れの開陽台だ。
今年の開陽台からの景色は霞んでいた。雲がたれこめて遠望がきかず知床連山も見えない。
自転車できていたのは60をこえたコンビだった。今日はどこまで走るのだろうか。
昨年は羽蟻が大発生していたが、今年は虫たちは既に死んでいて、展望台になごりをとどめていた。
北19号線にたちよる。時間があれば川北の湯にもゆきたかったがなくなってしまった。道の駅・摩周温泉にもどることにした。
道の駅にとめてきた車が気がかりだった。長時間駐車はマナー違反だからだ。しかし第二駐車場は空いていて問題はなかった。
それよりも車からバイクをおろしている人がいる。トランポ・ツーリングの人だ。早速話をしにいってみた。TW250をエルグランドに積んで旅している東海地方の方だ。TW氏はリタイヤした方で、一ヶ月の予定で道東だけに滞在するとのこと。時間はあるので大間まで下道できて、高速はのらずにやってきたそうだ。トランポ・ツーリングはこのスタイルがいちばん合理的で自由だと思うのでやっているとのこと。ふだんは7人乗りの乗用車としてエルグランドをつかい、旅ではトランポ兼キャンピング・カーとして活用する。雨の日は車ですごし、晴れればバイクに乗り換えて二輪の爽快さを味わうのだそうだ。そしてトランポ・ツーリングをしている人に会ったのははじめてとのこと。私も同じようなもので、今日はじめてトランポをつかっている、おふたりの方に出会ったのだ。TW氏とははじめてとは思えないほど話がはずんだ。
後方に朝もいた大型キャンピングカーとワンボックスカーも写っているが、この方たちともこの後で触れあうことになる。
夕食はスーパーのフクハラでちゃんこ鍋とホッキの酢味噌和えを買ってきた。ビールと大福も。ホッキと大福は半額である。
冷えていたのであたたかい鍋はおいしかった。
ホッキの酢味噌和えもよい味だったが、鍋でお腹がいっぱいになってしまった。
食後はメモの整理をする。弟子屈の温泉にも入りたかったが、遅くなったし雨も落ちてきたので断念した。
バイクの走行距離229、1キロ 車の走行距離93、8キロ ダート66、1キロ
6日目。
6時に起床した。天候は晴れ。気温は15℃くらいで寒くはない。
セイコマのカレーうどんと昨夜たべられなかったサンドイッチで朝食とした。
ラダーをフロアに寝かせて道の駅・あしょろ銀河ホール21を出発した。国道241号線で阿寒湖、弟子屈とすすむ。今夜の宿泊地は屈斜路湖付近と考えていたが、候補地は3ヵ所あった。ひとつ目は和琴半島の入口にある無料駐車場である。ここで車中泊をしている人たちを見ていたし、無料の露天風呂があるのも魅力だ。ただ和琴は買物をする場所がない。それがネックで、ふたつ目は弟子屈の道の駅・摩周温泉の隣りにある水郷公園の駐車場を考えていた。ここは道の駅の駐車場よりも空いていて、静かだと聞き込んだのだ。三つ目は道の駅・摩周温泉である。ふたつ目と三つ目はスーパーやコンビニ、GSも近くにあってとても便利だ。いずれにするかは現地にいって判断することにしていた。
まず水郷公園につくと車中泊をしている車はいない。車をとめてトイレを見に行くと、ここは公園でキャンプ場ではない、車中泊も禁止、と貼り紙がしてある。これではここに泊まるわけにはいかないので、川をはさんで隣りにある道の駅・摩周温泉に移動した。上の写真が道の駅・摩周温泉である。
道の駅にはたくさんの車がとまっていた。車中泊の車もいるが観光客がほとんどである。混んでいるのでここも難しいかと思っていると、第二駐車場があった。こちらは空いているし大型のキャンピングカーもいる。
これだけ空いていればここに停めておいてもよかろうと判断した。問題があれば移動すればよいので、とりあえず今日はここからバイクで走り出すことにしたのだ。
いちばん奥からふたつ目のスペースに車をとめた。車の陰にバイクをおけば道の駅からオートバイが見えないからである。何も言われないと思うが、車をとめてバイクで出入りするのに神経をつかった。
空は晴れ上がり絶好のツーリング日和だった。
エンジン・オイルを点検するとローレベルになっていたので補充して出発した。
まず向かったのは屈斜路湖の和琴半島である。不便だが和琴が好きなのでここに泊まりたいと思っていた。車中泊ができるのなら、今夜和琴に移動してもよいと考えてもいたのだ。和琴につくと車からバイクを降ろしている人がいた。トランポ・ツーリングの仲間だ。さっそく話をしにいった。
40くらいの関西の方だった。バイクはホンダXR650と車内にモトクロッサーを積んでいる。車は私とおなじハイエースのスーパーGLだが、XR氏のモデルはワイドボディーで、私のよりもひとまわり大きな車体だった。2台のバイクを積んでもセカンド・シートをたたまずにすむので、そこをベット・スペースにしているようだ。
私もハイエースにDRを積んできていて、車は道の駅においてきたと言うと、トランポを停めておく場所に気をつかう話になる。XR氏は昨夜ここについたそうだが、キャンプ禁止の張り紙がたくさんあるので、道の駅・ぐるっとパノラマ美幌峠にもどって車中泊をしたとのこと。お金をはらってもよいから気兼ねなく車をとめたいと語っていた。
XR氏も元々はバイクの自走派だったそうだ。それが昨年トランポで来てから、もうこれしかないと思ったと言う。モトクロッサーを積んでいるのはコースも走るためで、林道とコース走行の両方を楽しみにきたそうだ。
XRは元のバイクが何なのかわからないほど改造されている。コースも走るというからかなりの走り屋なのだろう。これから屈斜路湖畔林道にゆくのは私といっしょだが、その後はコースにゆくそうだ。私が虹別林道などにもゆくと話すと、そっちにも行こうかなと語っていた。
XR氏と別れて和琴半島を見にゆく。無料駐車場には車中泊をしていると思われるハイエースなどがとまっている。
その中のひとり、地元ナンバーの方に聞いてみると、キャンプはダメだが車中泊は問題ないとのこと。テントを張ったりテーブルや椅子をださなければ何も言われないそうだ。
和琴半島に歩いてゆく。屈斜路湖がきれいだ。
和琴湖畔キャンプ場。ここに泊まりたいのだが、車は岸の近くにとめられない。それではここに泊まる意味がないので利用しないのだ。
和琴半島を見る。湖と緑、そして空とのコントラストが目から心にしみいってくる。
半島のつけ根にある無料の露天風呂。さすがにこの時間に入浴している人はいない。観光客が足湯としてつかっていた。
無料駐車場のトイレに貼られている注意書き。キャンプは禁止である。車中泊はお咎めなし?
XR氏が先にでた後で私も屈斜路湖畔林道にはいった。
ここは走りやすいダートなのだが今年は例年よりも荒れていた。穴が多くあり、ウォッシュ・ボードのように路面が波打っているところや、こぶし大の石もたくさんあった。
去年は台風の影響で通行止めだったから、ここを走れてとても嬉しい。森の中のダートを駆け抜けてゆくのは爽快だ。
やがて湖沿いに出た。この景色に気持ちが高揚する。これを見ただけで北海道ツーリングに来た甲斐があったと感じる。毎日そんなことばかりなのだが。
山の稜線がうつくしい。
湖畔をぬけるとまた森の中を走り、21キロのダート走行をおえた。ここが道道102号線の出口である。
つづいて向かうのは清里町の南にある江鳶奥林道(えとんびおくりんどう)である。清里町で昼食をとってからゆくことにした。
清里町のホクレンで給油をしてブルー・フラッグを手に入れた。ここでおすすめの食堂を聞くと、ふじ食堂と緑清荘とのこと。緑清荘は公営施設なので個人店のふじ食堂を利用することにした。
ふじ食堂でおすすめを聞くと、生姜焼き定食やカツカレー、味噌野菜ラーメンとのことで、味噌野菜ラーメンの大盛り920円をお願いした。
ラーメンは素朴なテイストだった。ふじ食堂は町の人気店で客も多く、清里町ならここなのだろうが、喫煙可なのが大きなマイナス。隣りの男がタバコを吸いだしたので驚いてしまった。田舎だから客層から禁煙にできないのだろうが、観光客は知っておきたい情報だ。
親身な対応をしてくれた女将さんに天気予報は釧路と根室を見ればよいのかたずねると、網走と釧路の中間なので両方を見るのがよいと教えてもらった。
じんぎすかん白樺にやってきた。ここに来たのは2011年以来だ。白樺は旭川の大黒屋についで、日本で2番目にジンギスカンが美味しい店だと思っているから、ここに来るのを楽しみにしていた。
注文したのはジンギスカン480円、ラム530円、大盛りライス170円、味噌汁130円である。肉の量が150グラムなのを確認して二種類の肉を注文した。合計300グラムである。価格は以前よりも値上がりしていた。
ラムは少し羊の香りがするがやわらかい。一方のジンギスカンは硬いところもあるが私はこちらが好みだ。うまい羊肉ときび入りのご飯で満腹となり大満足した。☆5点満点平均3点で4点。
食後はこれからどこにゆくのか考えた。さきほど走った小花林道の近くには久保長節林道16キロとワッカリベツ林道10キロがある。ここにゆくのか、それとも昨日時間切れで敗退した芽登糠南林道にリベンジしにゆくのか。答えはすぐに出た。芽登温泉につかって林道リベンジだ。北にむけて走りだした。
ところで昨年は台風の災害で、国道236号線から道道55号線で白樺にアクセスする手前の橋が流されてしまっていたのだが、今年は見事に復旧していた。
やはり山奥の林道よりも生活道路の整備が最優先である。
帯広、上士幌を経由して国道273号線から道道468号線にはいり、西側から芽登糠南林道にアクセスしようとした。林道ツーリングガイドブックには、道道から目印の鹿避けゲートが見えるかのように表記されているが、これは誤解を生む書き方だ。ごく普通の林道入口があり、そこを入ってゆくと鹿避けゲートがあるのだが、道道沿いからは見えないから、入口がわからず、やむなく昨日と同じように東側の道道88号線からゆくことにした。林道ガイドブックは他にもこのようなわかりづらい個所がある。上の画像は道道88号線の芽登温泉の入口だ。
林道の入り口をさがして時間をロスし、しかも芽登温泉側から林道に入ったので温泉につかれなくなってしまった。芽登温泉を通過して、昨日ここが正しいルートだろうと考えた分岐にもどってきた。時刻は16時をすぎていた。
左にたつ巨岩の滝の案内が目印である。表記の甘いところがある林道ツーリングガイドブックでルートを慎重に確認する。ここで間違いないようだ。
この分岐に入ってゆくとものすごい急坂の深ジャリである。これはヤバイ、すすみたくない、ここを行くのはやめたい、と感じるルートだが、こんなところではバイクを止められず、路面が落ち着くところまで走るしかない。とまっても坂が急で道が狭く、足下は深いジャリだから、バイクを押すこともできず、Uターンはできない。立ち往生するのは必至だ。ここが今回のツーリングでいちばんきびしいところだった。
止まることができず、ひびりながらもはげしい坂をのぼってゆくと左に枝林道があった。坊主山林道と看板が見える。やがて斜度が落ちてきた。
バイクをとめて気持ちをしずめる。これでルートがまちがっていたら洒落にならない。あの深ジャリの坂を下るのもご免だ。しかし坊主山林道があったのでルートが正しいと確認することができた。坂がおだやかになるとジャリも消えた。急坂では悪天候時に車が走れなくなるからジャリをたくさんいれてあるのだろう。
峠をこえて山を下ってゆく。急坂だがジャリはない。やがて丁字路にでた。
芽登糠南林道3キロ、の看板がたっている。
やってきた方向をみる。
この丁字路を左に折れて山を下っていった。
林道の出口は近いと思ったのだがここからが長く感じられた。丁字路から鹿ゲートまで川沿いをゆく走りやすい林道だが5キロ以上あった。
ゲートをでた。
ここが道道468号線側の林道入口だ。鹿ゲートは見えない。国道273号線から道道に折れて、4キロポストの手前だった。こう書かないとわからないよ。
ヌプカにもどってゆく。途中の上士幌で航空公園キャンプ場に立ち寄った。何度もとまった思い出の野営場だ。キャンプ場は空いている。テントは5張りほどしかなかった。
夕暮れのせまる道道をヌプカにむかう。3日間の日程を終えたのでこれから移動だ。明日から屈斜路湖付近に滞在するから、今夜のうちになるべく近づいておきたいと考えていた。
ヌプカには誰もいなかった。
バイクを車に積む準備をする。
スクリーンとバックミラーをとりはずす。
バイクをのせてラダーをフロアに寝かせた。走行時にラダーはここにおくが車中泊をするときにはバイクの右に移動し、空いたスペースに私が横になるのである。18時前に出発した。
ふたたび上士幌にもどり上士幌温泉ふれあいプラザにゆく。
ここは料金が380円と格安だ。露天風呂はないが泉質がよいので気に入っている。風呂上りにはロビーでメモの整理をした。
ルートと現在の19時半の時間を考慮して車中泊地を足寄の道の駅にした。道の駅あしょろ銀河ホール21は町の真ん中にあるから、居酒屋で一杯やれるかもしれないと考えたのだ。
暗い山道をはしり20時40分に足寄についた。道の駅に車中泊の車はすくない。トイレや施設の近くには車を停められないようにしてあり、車中泊を排除しているように感じられる。町の真ん中の道の駅だからこういう運営もやむをえないのだろう。でも車中泊の車があつまればそれなりにお金を落とすと思うのだが。
道の駅のまわりに飲み屋はない。車をおいて町をめぐってみると居酒屋は4軒ほどあった。しかし中からは地元の人たちが盛り上がっている声が聞こえてきて、そこによそ者の私がはいってゆくのはためらわれた。店内に入ってしまえばそれなりに楽しめると思う。でもアウェー感がハンパないし、21時をすぎたので、いつものように車で飲むことにした。
セイコマでサッポロクラシックと豚バラ串、サンドイッチを買ってきた。
バイクの横で一杯やるのは楽しい。
焼酎にきりかえて飲んでいると23時をすぎたので寝ることにした。
バイクの走行距離 357、5キロ 車の走行距離 59、1キロ ダート 50キロ
5日目。
5時半に起床した。今朝は寒くない。気温は15℃以上はありそうだ。
車の外にでると絶景がひろがっている。ヌプカからの風景は何度見ても目をうばわれた。
景色をながめながらキャンプ場を散歩することにした。キャンプ・サイトの上にはコテージがある。そこには登山者のグループがいて出発の準備をしていた。
コテージの前には鹿の母子がいる。左の木の下に小鹿がいるのがわかるだろうか。
いちばん上の砂利の駐車場にはこの地域の酪農に貢献した人物たちの銅像がたっていた。車中泊はここをすすめられるが、私はバイクを出し入れするのでキャンプ場の横の駐車場を利用した。
砂利の駐車場の先に見えるのは東ヌプカ・ウシヌプリだろうか。
カップめんの朝食をとって出発する。寒くはないがセーターを着て丁度よい気温だった。
士幌から音更、帯広と南下してゆくと、十勝らしい大農場がひろがっていた。
十勝川の河口にやってきた。後方に見えている国道336号線の十勝河口橋から河川敷におりたのである。ここから川に沿って13、2キロのダートがのびているのだ。ここを走ってみたかった。
出だしは幅広フラット・ダートでとても走りやすい。天気もよくてバイクを走らせるのがとても爽快だ。北海道に来てよかったと思う。最高の気分だ。
やがて泥の路面や深いジャリなどもあらわれる。
深ジャリはハンドルをとられるので調子にのって飛ばしすぎないようにした。
豊頃のハルニレの木にでた。ここがダートのゴールである。
ハルニレを見ながら休憩をした。気温があがってきたのでここでセーターとシャツをぬぎ、ジャケットの下はTシャツにした。
国道38号線で十勝川をわたり、道道210号線で小花林道にむかう。ここは林道ツーリングガイドブックで紹介されているのを見て知った林道だ。TMには、峠付近は一部荒れ その他はフラットダート14、5キロ、とコメントされている。
入口はわかりにくい。小川幹線の看板が目印だ。
入口から3キロすすむとダートになった。
放棄された畑の中をさらに3キロすすむと小花林道の看板がたっていた。
管理者は北海道だ。
路面はフラットダートでとても走りやすい。
カツラの沢林道の分岐までは走りやすい林道だった。その先は林の中に入ってゆくが、暗い森で日差しがとどかないためか路面がぬかるんでいる。雨の日はヌタヌタになってしまうのではなかろうか。日陰の林は陰気な雰囲気だった。
やがて峠越えの道となった。急坂で深ジャリがある。轍も深いところがあり、ガレている路面もあった。バイクでの通過には問題はないが、峠の頂上付近では嫌な予感がする。こんなことは滅多にないのだがこの林道と相性がよくないのだろうか。それでも止まることなくすすんでいった。
ピークをこえて急坂をくだってゆく。ブラインド・コーナーはクマ避けにクラクションをならしていった。山をおりてゆくと坂は落ち着き走りやすくなる。林もぬけて明るくなった。スピード・アップして走行しているとシフト・チェンジがしづらくなった。どうしたのかと思っていると、ひらけた農地の先のいちばん目立つ位置にヒグマの糞がある。通過するときに見ると今したばかりのように新しい。この場をはなれなければと思ってアクセルを開けるが、シフト・チェンジができなくなってしまった。これではどうしうもないので、たまたまあった橋の上でバイクをとめると、エンジンはストールしてしまった。
バイクを見ると木の枝がシフト・ペダルにからんでしまっている。強くからみついていて除去するのにかなりの力が必要だった。
木の枝をはずしてギヤをニュートラルに入れようとするが、できない。シフト・ペダルが固定されてしまってチェンジができないのだ。橋の上でなんとか修理をしようとした。
クマの糞はやってきた道のカーブを曲ったあたりにある。ここにいたくないのだ。なんとかシフトを動かそうとして、クラッチを切ったりつないだり、シフト・ペダルを踏んだり、引いたりを繰り返す。林道の出口まで1キロくらいの場所だった。もしもバイクが壊れてしまったのなら、林道の出口まで歩いて救援をもとめなければならない。JAFをよぶのか? バイクが直らなければハイエースに積んでドライブ旅行になってしまうのか、とも考えた。
何度もクラッチ・レバーを握ったり、離したり、シフト・ペダルをアップしたり、ダウンさせたりしようとしていると、何かのはずみで固着していたシフト・ペダルがパッと動くようになった。ギヤが噛んでいたのがはずれたようだ。よかった。ギヤをニュートラルにしてエンジンをかけ、再スタートすることができた。
ギヤが入らなかったのは5分ほどだったと思う。短い時間だったが心底あせってしまった。走りだすとすぐに小花林道の出口に到着する。嫌な予感はこれだったのだろうか。バイクは直ったが精神的に疲れてしまった。この後はすぐ近くにある奥糠内林道を走るつもりだったが、やめようと思う。時刻は11時半だ。昼食はじんぎすかん白樺にするつもりでいたので、白樺に直行しようと考えたが、地図を見ると林道をとおるのがいちばんの近道だ。気力はなくなっていたのだが、奥糠内林道をゆくことにした。
道道319号線をゆくと奥糠内林道の入口はすぐにわかった。TMには、走りやすいダート10キロ、とコメントされている。
明和牧場の看板が目印である。
奥糠内林道は入口からジャリダートだ。牧場や牧草地の横を3キロほどすすんでゆく。
やがて林の中に入ると通行量が減るのか道の真ん中に草が生えだした。小花林道のように暗くて陰気な雰囲気はない。森に入っても山ではなく丘のような起伏なので急坂もなかった。しかし脇の雑草が刈っていなくなって、キープ・レフトで走るとハンドルに草が当たりつづける。これは走りづらいし、またシフト・ペダルに何かひっかからないか気になった。
5キロ地点で脇の草が刈ってあるようになった。さらにすすむと林をぬけてフラット・ダートになる。
こうなると走りやすいので速度をあげて快走した。
林道は道道15号線をこえてつづいているが、ここでじんぎすかん白樺にむかうことにする。バイクの先、木の下にあるのはサイロである。