●大日如来さまをなんと呼ぶ?
世界一の屋台を擁する明石町は、五カ町に分かれています。明石町、杣宮、清水、宮前、そして、管理人の住む大日。大日町はその名の通り、大日如来堂があることに由来します。かつては毎年8月28日、現在は8月の最終土曜日に縁日が行われております。
しかし、この縁日を我々は「縁日」とは呼びません。我々はこう呼びます。
「ダイニッタン」
これは、「大日さん」が訛った物だと思われます。大日如来の愛称が「ダイニッタン」となり、今では縁日、さらに明石町五カ町のうち、大日町に所属している人も最近では指すようになってきました。
●播州弁?チサン→ッタンへの発音の変化
これを、播州弁というべきか、三木弁というべきかは分かりませんが、管理人在住地域一帯ではチサンが訛ってッタンと発音することがよくあります。基本は、名前の「ち」+尊称「さん」です。「ち」の前に二音以上、少なくとも一音あるとこの変化が起きることが多くなります。
例
◯◯内さん→◯◯ウッタン
◯◯一さん→◯◯イッタン
◯◯キチさん→◯◯キッタン
◯◯ハチ(パチ)さん→◯◯ハッ(パッ)タン
◯◯シチさん→◯◯シッタン
身近な「チサン」の方をッタンと呼ぶと三木弁?播州弁?の使い手に一歩近づきます。では、チサン→ッタンの変化はどのようにして起こるのでしょうか?
★チサン→ッタンの変化を発音の素人が妄想で解説
(イ)いつもの日本語でタラタラと
①チもサも共に舌を歯の裏につけて発音する。
②歯の裏に舌をつけてi音でチ、また歯の裏に舌をつけてa音でサと言うのが本来の形
③歯の裏に舌をつけながら、i音とa音のために口の形を変えるのが面倒くさい。
④口の形は後のa音のみ残り、チのi音は脱落する。
⑤チの舌を歯の裏につける動きと、サの舌を歯の裏につける動きが連続し、同一系統の子音ができ、促音化する。
⑥ッサン→ッツァン→タン
(ロ)ローマ字でウチサン→ウッタンを
①uchisanのchとsは舌を歯の裏につける音。
②uchisanのiが脱落
③uchsanのchが子音のみになり、小さいッぽい発音になる。
④小さいッとサが重なりサがタぽくなってくる。
(ハ)ハングルでウチサン→ウッタン
①우치산•uchisanの치•chiと사•as は共に歯の裏に舌をつける音
②歯の裏に舌をつけて子音をいちいち言うのが面倒になり、ㅣ•I が脱落
우치산•uchisan→웇산(욷싼•utsan*)→
③욷싼•utsanのㅆが욷のㄷにつられてㄸ•ttに変化。욷딴•utttan
とある言語学者の方に教えていただいたところによると、発音はより楽できるものに変化するそうです。チサン→ッタンもより楽に発音するための変化だったのかもしれません。
●チの後歯の裏に舌をつける音が続くと
チの後に歯の裏に舌をつける音が続くと、サでなくともチが小さなツに変化することが三木ではよくあります。
大日町(だいにちちょう)も最初のチは小さいッになり、ダイニッチョウと発音します。
●編集後記に変えて、ダイニッチョウ、オトシマチ
我らがダイニッチョウは昔は明石町五カ町の中でも人口が少ない方でした。屋台を担いでいても「ダイニッチョウ」が担いでいるところが傾き始めて、屋台が落ちることが多かったのか、「ダイニッチョウしっかりしてくださーい」とよく言われていたのを子ども心に覚えています。一方で昔は明石町屋台もよく落とすので「オトシマチ」と呼ばれたりもしました。
そんな「オトシマチ」も落とさないように様々な努力を重ね、階段でも落とす姿はほとんど見られなくなりました。そうなってくるとよく落としていたかつての時代が懐かしく思えるのは、管理人も年を取ったからなのかもしれません。