●吉村大阪府知事の岸和田地車サポート発言
吉村大阪府知事の「岸和田だんじりサポート発言」が祭好き達の注目を集めています。結論から言うと、希望は見えたものの、「祭をやる=屋台・だんじりを大っぴらに出せるか」にはまだまだ疑問が残ります。また、我々のような播州の屋台を担ぐ祭は、岸和田の地車のような曳く祭より開催が困難になると思われます。それらを下の順序で書いていきます。①吉村大阪府知事の発言した内容
②その発言の根拠と思われる研究(管理人のザックリ解釈)
③大阪府庁に質問した内容と回答
④クリアするべき懸念事項
⑤播州屋台の祭が岸和田だんじりの祭より開催がより困難と思われる点
今回は、④⑤です。
大阪府知事の6月17日の「だんじり開催でも全力サポート発言」は、核物理学者の中野氏の自粛意味な発言の後押しを受けていると思われます。その論は、一週間の感染者数/累計感染者数=k値とよばれるものが、0に近くなると感染収束に近づくという理論にもとっきます。その理論によると日本は収束への道のりを歩んでおり、自粛の意味もなかったというものです。
また、病床数の増加などの動きはいまのところないという府の担当職員の方のご回答をいただきました(6月18日)。
今回は、本当に祭を「やる」場合の懸念事項と、播州の屋台祭が岸和田のだんじり祭以上に開催が困難になることを指摘します。
④クリアするべき懸念事項
感染数や医療状況の懸念事項
①依然として新規感染者数が3月の感染爆発前夜(一月後には300人となった)と同程度の30人以上の日々が続いている。
②新型コロナウィルスは高気温下では活動レベルが落ちるにも関わらず、①の状態が3月よりずっと気温が高い6月で保たれていること
③数学的知見から「日本国内においては」自粛は効果がなかったという主張をしている中野氏だが、国内で感染を抑えられている理由はまだはっきりしていないこと。
④③のような状況でありながらも、夜の町など距離の近い飲食物の共用の場、韓国での宗教団体の感染爆発などの事例から、それに近い条件が揃うと思われる祭の危険性は否めないこと
⑤祭が行われる各地域では、首都圏や阪神地域のような医療資源が整っているとは言い難く、重症化しやすい高齢者は多い傾向があると思われること
祭をする人自身の懸念事項
①-④を屋台やだんじりのリーダーに求めるのは、かなり酷なものになります。求められるのは、根性とか心意気ではなく、それらを形にするための科学的な根拠に基づいた努力です。
①酒に酔った人がたくさんいる中で、予防を徹底的にしながらどこまで祭ができるのか? あるいは、必要最低限のお神酒以外、酒を一切飲まないで、屋台、地車を運行できるのか?
②逐一除菌をして、飛沫を他人にうつさないようにマスクをして、間隔をとって(少ない人数で)屋台や地車を動かすなど肉体的につらいものになると思われる巡行を本当にやる気があるのか?
③ 「できるだけ距離をとって手洗いをしよう」のような子どもでも言える標語ではなく、運行時、担ぎ手、太鼓打、飲食の場、共用物使用時など、あらゆる人、場面、場所での具体的な感染予防策を調べて作り、必要な物品を調達し、周知徹底し実行できるか。
④感染者が出た場合に、地域的な医療崩壊が起きるかどうか検証し、それを防ぐための医療資源を地域行政に確保させることはできるのか。
⑤播州屋台の祭が岸和田だんじりの祭より開催がより困難と思われる点
今回の話題は大阪府と岸和田でしたが、最後に播州の屋台祭の開催について考えます。結論から言うと、開催は岸和田よりも困難なものになると思われます。それは、次の2点からです。
ⅰ 開催時期
岸和田などのだんじり祭は9月にも行われます。もちろん10月にもありますが、一番規模の大きな岸和田市岸城神社氏子域、弥栄神社氏子域のものは、9月の祭りとなります。
一方で播州の屋台祭は9月に行われるものはほとんどなく、殆どが10月の開催となります。つまり、播州の方が岸和田などより新型コロナが活出しやすいとされる寒い時期と重なります。
ⅱ 密着した運行
岸和田の曳く祭りと比べて、播州屋台の祭は担ぐ祭です。担ぐために、狭い場所に密集して担ぐことが増えてきます。担ぎ手の交代も必要になってきます。
その時に、屋台が担がれたままだとなかなか、
人がのく→棒を消毒→抗体の人が入る
という順序をとるのは困難を決めると思います。
吉村大阪府知事のサポート発言もありましたが、祭をやるために超えなければならない懸念事項は、重いものが数多くあり、実現は極めて困難だという見通しになると思われます。