屋台・だんじりも使えば傷みます。その際に必要なのが、修理や新調。現在の社会状況などから、どのようにしていけばいいのかを考えてみました。
●職人の現状
かつては、人物の彫刻が石になったりということもありました。しかし、現在では腕の良い業者が増えてきています。
理由として考えられるのは、①1980年代後半から粕谷氏らの活躍によって、啓発された人たちが屋台・だんじり衣裳についてしらべ、買う側が彫刻、刺繍、金物を見る目が厳しくなったこと ②上の活動を通して屋台、だんじり職人を目指す人が増えことが考えられます。た
あるいは、③そもそも職人たちの腕が劣化したわけでなく、注文がないからしなかっただけだった?かもしれません。
20年前は新調したものを見て、「よくない」と感じることが度々ありましたが、昨今は随分と減りました。現場で頑張っていらっしゃる職人さんには、本当に頭が下がる思いです。
しかし、今の職人さんたちは本当に忙しそうです。新調式典などには絶対に間に合わさなくてはいけません。納期前日まで徹夜で作業したということもよく聞きます。
作品の中心部はよく彫れているけど、端の部分がほれてなかったり、螺鈿の粒が大きかったり、間に合わせるために仕方がなかったんだろうなと思われる作品も目にしました。
このような職人さんたちの現状下で、どのように注文すればいいのかを考えて見ました。
●注文で気をつけること
①全体のバランスを考えて作りたい屋台・だんじりをイメージする
パソコンなどで作図してどのようなものを作ってもらうか具体的にイメージしましょう、一つ一つの作品がよくても、一部が大きすぎたりすると、あまりよくは見えません。
②①の屋台を作るために、適任の職人を選ぶ
腕のいい職人さんでも向き不向きがあります。あくまで芸術館所用の職人さんに頼む時などは、注意が必要ですし、おすすめはしません。
金具でいえば立体感のあるものを作るのが得意なのか、平打ちを仕上げるのが得意かで見極めるといいでしょう。
③これからの時代は集中型?
先述しましたが、職人さんは忙しいです。しかし、管理人もですが、大手屋台の井筒彫刻のように、すみからすみまで彫って欲しくなってしまいます。
しかし、それをすると職人さんの仕事が激増し、結果納期に間に合わないということが起きると思われます。
↑三木市岩壺神社大手屋台の井筒彫刻
そこで、注文側が、本来なら欄間(狭間)と欄干と井筒をしてもらうための価格を提示しつつ、彫刻は欄間(狭間)のみと決めるなどして、そこは徹底的にこだわってもらうという注文の仕方をするほうがいいのかもしれません。
●問題点
①価格の上昇
上の3のような注文が常態化すると価格は全体的に上昇するかもしれません。そのような中でも注文する側は、情報を共有し、いい作品が作れる業者に仕事を頼めるようにしたいものです。
②補助金は適切に
文科省からの補助金がでることもあります。例えば修理の補助金は必ず「修理」することにしたほうがよさそうです。
「修理」ではなく「新調」と見なされ、返金することになった例もあります。管理人はその新調したものと、元のものを画像で見比べたことがあります。管理人は修理の名を借りて同じ題材のものをド派手にして「修理」という名のもとに「新調」したものだと思っていました。
ですが、見ると画像を見た限りでは、古いものの傷みがなくなった版でした。「修理」でないならば、「新調」というより「復元」でしたが、それでも返金する必要があったとのことです。
また、最近では「有識者」の見解が必要なそうで、管理人も立ち会わせていただくという光栄にあずかったことがあります。といっても、「有識者」でも、播州や各地の屋台やだんじりの本体の研究は「プロの研究者」の間では、ほとんど行われていません。管理人が「有識者」として参加させていただいたのも、もともとは別の方が頼まれたけど、どうにもならないので頼まれてのことです。
そのような時は本ブログまでご連絡くだされば、無料で時間の限り対応いたします(^_^)
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