天網恢恢疎にして漏らさず

映画レビューを中心に(基本ネタバレバレです)スキーやグルメ他、日々どうでもいいような事をダラダラと綴っています。

【映画】「女王陛下のお気に入り」@10作目

2019年02月18日 | 映画感想
「女王陛下のお気に入り」

今年のアカデミー賞でノミネート最多だと話題の作品。
あ、アカデミー賞受賞予想ネタUPしてなかったな…ここ数年やってないか。ま、いっか(コラコラ
ヨルゴス・ランティモス監督作品はかーなーりークセがゴイスーだと映画ファンの間では有名なんですが、実は自分ランディモス監督作品未見。^^;
本作が「お初♪ランティモス」なんですが…

あらすじ
18世紀初頭のイングランド。持病の痛風に悩まされ身体の弱かった「アン女王(オリヴィア・コールマン)」は侍従であり幼馴染みのサラ(レイチェル・ワイズ)に頼り切り。
押し出しの強いサラはアン女王に代わり政治にまでガッツリ口を挟んで実権を掌握していた。
そこへサラの従妹で実家が没落して落ちぶれた「アビゲイル(エマ・ストーン)」がやって来て、宮中で雇って欲しいと懇願され下働きとして使う事になった。
ところが目端の利くアビゲイルのアピールが功を奏しアン王女が気に入ってサラと共に傍に置くようになると、サラとアビゲイルがアン王女の寵愛を巡り激しく対立するようになる…

なんでも、本作は基本情報的にはある程度史実に則っているそうで、それがどこまで史実と同じなのかは自分には分からないんですが(苦笑)
当時イングランドとフランスは戦争状態だった+戦争に金がかかり過ぎて政治が不安定だった事は事実、そしてアン王女やサラ、アビゲイル等の登場人物も実在していたらしい。
更に劇中にアン王女が17人も子供を亡くしているという話をするシーンがあるんですが、それも史実なんだそーだ(!)

でもまあ…流石にアン王女を巡ってサラとアビゲイルが「レズビアン祭り」だった事までは史実ではないだろう…そーであってもおかしくはないけどw
手っ取り早くしかも確実に女王の寵愛を受けようと思ったらSEXYサービスするのが一番確実だわね。
という訳で本作レズビアン描写がエグい事もあってレイティングPG12指定。まあしゃーないなーコレはなー^^;
他にもレイティング要素としてはエマちゃんがガッツリパイオツ晒してたり(うひょ~♪)エマちゃんがつまんなそーに結婚式の初夜に旦那のナニをどーにかしてたり(あひゃー)
宮中のお遊びとして全裸のおっさんに果物ぶつける(しかもこのシーンが無駄に長いw)、ガチンコ動物虐待シーン(コレはあかんやつ)等々てんこ盛り!
こーゆーのに拒絶反応出ちゃう潔癖な優等生さんは大人でも無理だろーなーと。そこんとこサラッと割り切れる人じゃないと楽しめないだろーと思われ。

そしてアン女王の描写がある意味ヒドい(苦笑)
劇中の女王は痛風持ちだから「=デブ」で自分でロクに何一つ決断出来ないおバカのチキンみたいな描き方されてますが、実際はどーだったんだろ?
まあコレはタイムマシンでもないと誰にも分らない事だけど、本作はイギリス人的には「おっけーオッケーまあ大体そんな感じヨ♪」的に受け入れられているんでしょうかね?
でも…女王が女王であるが故に孤高の人だった、そして寂しくて苦しかった、というのは想像に難くないしそこの部分をドラマとしてピックアップしているのは良かったと思う。
上に書いたのと矛盾するようだけど、決して彼女は決断力のない馬鹿ではなく、ちょっと心が弱ってるトコロに押し出しの強いヤツが自分を引っ張ってくれたらそれは楽だし嬉しいだろうと。
そこに流されていくのもある意味仕方がなかった事だろうと。体が弱れば心も弱る。誰だって経験はあると思う。

対する「アン王女の寵愛を勝ち取る椅子取りゲーム」を繰り広げるサラVSアビゲイル
まあ簡単に言えば「驕れる者は久しからずby平家物語」
サラは子供の頃からずーっとアン女王の傍に居てアン女王の面倒を見て来て、傍に居るのがお互い当たり前だと長年思っていた。そこにサラは胡坐をかいてしまった。
いくら仲が良くてもあくまでも「女王とその侍従」という立場に変わりがない。そこを長年の「なあなあ状態」が続いた事ではき違えてしまった。

そんなぬるま湯に登場したアビゲイル@可愛いし若いし機転も利く
コイツが最初に登場して来た時はうるんだ瞳が可愛い小鹿ちゃんキャラかと思いきや、話が進むと飛んだ食わせ物だった!ってーのがある意味愉快w
本作一応予告編段階では「宮中で巻き起こるコメディドラマ」みたいなアプローチだったんですが、多分本作を観て腹抱えて笑う人はいないだろうと。
まあ凄くいい言い方をすれば「ブラックコメディ」「シニカルコメディ」辺り。観方によってはかなり胸糞悪い描写満載ですから^^;
でも「人の心というのは~」と考えさせられる、そういう意味で「面白い作品」だったと思いますね。
一番の策士だったアビゲイルですら、やはり「驕れる者久しからず」なのです。サラは教訓にはならなかったのです。分かっていたハズなのに同じ轍を踏んでしまう、それが人間。
…そういう機微を本作はとても胸糞悪く描いていて(苦笑)、だからこそ「ほほーう。なかなか面白い作りぢゃねーか」と映画好きを唸らせる作品になっていたと思います。
年に2~3数本しか映画は観ない、という人にはレンタルで充分でしょう。つーか年にたった数本の映画館体験の内の1本が本作ではお気の毒過ぎるw

映像は面白かったなー。あの宮廷の長い廊下を凄い広角で撮ってるの、下から煽るような視点も結構多くて凄く印象的。
それと魚眼レンズも多用してて、不安定な人間関係を映像と音でも煽っていた感があります。独特の不協和音のような音が入っていて、アレは心理的に来るなーと。
それから間違いなく今回もサンディ・パウエルさんがオスカー受賞するであろう、とことん手の込んだ衣装と時代考証ぶっ飛ばしたシャレオツな小道具たちw
この辺りが気になる人には満足度は高い作品だろうと思います。

「通好み」という言い方はあまり好きではありませんが、決して万人受けはしない作品ですね。個人的には「とりあえず観ておいて良かったかな」という感じで^^;
コメント
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