天網恢恢疎にして漏らさず

映画レビューを中心に(基本ネタバレバレです)スキーやグルメ他、日々どうでもいいような事をダラダラと綴っています。

【映画】「罪の声」@27作目

2020年11月19日 | 映画感想
「罪の声」

塩田武士氏著の同名タイトル小説の実写映画化。
実は本作の原作小説本は先に買ってあったんだけど、小説読むか映画観るかどっち先にしようかすんげー迷って…敢えて映画先に観ました。よって原作未読で鑑賞。

あらすじ
新聞記者の阿久津英士(小栗旬)は、昭和最大の未解決事件の真相を追う中で、犯行グループがなぜ脅迫テープに男児の声を吹き込んだのか気になっていた。一方、京都でテーラーを営む曽根俊也(星野源)が父の遺品の中から見つけたカセットテープには、小さいころの自分の声が録音されていた。その声は、かつて人々を恐怖のどん底に陥れた未解決事件で使用された脅迫テープと同じものだった。(Yahoo!Movieから丸パク)

本作は昭和の未解決事件ベスト3(←なんかこの書き方はちょっと違うか…)に今も数え上げられる迷宮入り事件「グリコ・森永事件」が下敷きになっています。
当時学生だったので連日ニュースで大騒ぎになっていたのは勿論記憶にあります。グリコの社長が誘拐されたのに自力で脱出したとかなんだよこのドラマ!みたいなねw
その後も約2年弱位?グリコだけでなく森永からさまざまな食品メーカーが脅迫されて身代金要求が何度もあったものの、結局一度も犯人が現れる事がなく、まあ犯人が現れないんだから現金が奪われる事もなく、その内脅迫も毒入りお菓子騒動もなくなってなんとなーく収束していった…みたいな記憶。

で、コレは当時の報道を覚えていなかったのか当時はマスコミが明らかにしていなかったのか?定かではありませんが(←だったらちょっと調べろよw)
実際の事件でも身代金要求の脅迫に子供の声が使われていたんだそうです。だから間違いなく今もその声の持ち主は生きていらっしゃる事でしょう。
…という訳で、本作はそんな「日本中を震撼させた大事件に自分の声を使われた人のその後と、その声を追いかける記者、そしてあの事件の真相は?」という、何とも物凄く壮大なネタがてんこ盛りのサスペンス作品になっています。だからだろーけど邦画にしては割と長尺で、上映時間2時間越の142分。

いやね、いい映画だねコレは。
久し振りに映画館で唸ったわね「ほほーん!」って←唸りにしては軽すぎて草
話はあの昭和の未解決事件を新聞記者サイドからの取材と、実際に自分の声があの事件で使われていた事に気付いた本人が「何故自分の声が使われているのか?」という真相を探し出すべく素人ながらもコツコツこの事件に関わっているであろう人々に話を聞いて本事件に迫っていく、という2方向からのアプローチで繰り広げていきます。
基本は小栗君演じる新聞記者の「阿久津」の取材の方がメインなんですが(勿論プロだから取材アプローチから情報引き出すのも上手い訳だし)、星野源さん演じる「幼い頃の自分の声を大事件に使われていた事に気付いた男・曽根」が素人ながらも真摯に事件に向き合って真相を探ろうとしていく姿にもグッと来るモノがあります。

そして1つずつヒントを手繰り寄せながらある時点でようやく阿久津と曽根が交差する。
お2人共本当にお上手だったと思います。て言うか、本作物凄く登場人物が多くて(事件関係者から記者等かなりの人数登場しますしね)大物俳優がジャンジャン垂れ流しに使われているんですが、どの方も本当にいぶし銀の演技しまくってて久し振りに肉厚で「役者がガチに本気出したヤツ!」っていうのを観た気がします。

事件の真相については…
もしかしたら本当に本作で描かれていた真相が真実だったのではないか、と思わずには居られませんでした。
というか、きっと原作者の塩田氏も本事件を相当取材されて考え抜いた末にこの真相に辿り着かれたのではないか?と思わずにはいられません。
逆にこの真相以外のオチって有り得るのか?と思える程、当時の事件の記録と照らし合わせると何もかもがスッと胸に落ちる着地点だったと思います。

そして問題の「犯罪に自分の声を使われた子供達のその後」
まあ1人は星野源さんが演じている「オーダースーツの仕立屋・曽根」ですが、残りの2人の姉弟のその後が…
余りに切なくて…どうして大人達の都合でこんなに悲しい人生を送らなければならなかったのか、と思うとフと頭をよぎる。
「実際にグリコ・森永事件で使われた子供の声の持ち主の現在は?」と。

映画は一応それなりの着地点を用意していましたが、実際の「罪の声」の持ち主達は今何処でどんな人生を歩んでいるのでしょうか。
そしてあの事件の犯人は、今何処で何を思って生きているのでしょうか。多分犯人も「罪の声」の持ち主も病気や事故に遭っていなければ間違いなく今も存命でしょう。
彼らは今何を思って生きているのか…ここまで思いを馳せる作品に出会ったのは本当に久し振りです。
原作小説は未だ読んでいませんが、改めて当時の事を思い出しながらこれから読んでみようと思います。本作を観て本当に良かった。
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【映画】「ドクター・デスの遺産 ―BLACK FILE―@26作目

2020年11月16日 | 映画感想
「ドクター・デスの遺産 ―BLACK FILE―」

ふー。まだ映画レビュー溜まってるぅ~頑張らないとドンドンネタが積む。うぐぐぐぐ。

あらすじ
警視庁捜査一課の敏腕刑事である犬養隼人(綾野剛)は、バディである高千穂明日香(北川景子)と共に終末期患者が次々と不審死を遂げる事件を追う。捜査を進める中、依頼を受けては終末期患者に安楽死をさせる「ドクター・デス」と呼ばれる謎の医師がいることが判明。苦しませることなく、被害者たちの命を奪っていくドクター・デスの目的と正体を探る犬養と高千穂だったが、腎臓病に苦しむ犬養の娘・沙耶香が、ドクター・デスに自分の安楽死を依頼してしまう。(Yahoo!Movieから丸パク)

中山七里氏の小説「ドクター・デスの遺産」を実写映画化。原作未読です。
どうやら本作は「犯人当て」もキモらしいのでレビューに犯人の名前とか役者名を書かない方が良さそうなので…色々書き難いんだよなぁ(苦笑)
本原作に関して言えば、実在した事件を元に書かれた模様。

という訳で、「終末医療における安楽死は是か非か」を問う社会派問題作!…だと思ったらちょーっと毛色が違った。
あくまでも刑事ドラマですね。あ、そうそう本作映画冒頭がなかなか面白いんですよ。まるで昭和の刑事ドラマ観てるみたいな既視感っつーのか。

で、綾野剛君×北川景子ちゃんのバディっぷりが見せ場っちゃー見せ場。
綾野剛君演じる犬養はどーやら奥さんを早くに亡くしていて、更に一粒種の愛娘は重度の腎臓病で移植待ちレベル。
対する北川景子ちゃん演じる高千穂は元似顔絵捜査官でやり手のバリバリ男勝り刑事。酒もかっ喰らうしバイクも乗りこなす。いっつもピッチピチの白シャツ+パンツ姿でフツーのオンナが着てたら全くソソらない格好なんだけど、そりゃまー北川景子ちゃんですよ。男勝りの役転じてても色気ダダ漏れですわなぁ~

犯人に辿り着くまでに色々なエピソードがあって、その小ネタは結構面白いんですよね。(これは原作小説がよく出来てるって事かな?)
写真のガラスに写った部分を引き延ばしてみると…だったり、似顔絵捜査におけるセオリーだったり、なるほどなーと思わせられます。
ただね、犯人が誰か分かってからの展開がなー。なんて言うか、もうそれは「辛い終末医療から逃れたい患者の声に応える正義犯」ではないわなぁと。
単なる快楽殺人になっちゃってるのが個人的には「うーん」という気がしたんですが。
つーか、そもそも本件は「患者の声を聞いて安楽死のお手伝いをしてあげた正義厨」ではなく「ただ人を殺したかっただけのサイコパスだったのだ」というオチだからこそ刑事ドラマとして成立している、と考えた方がいいんだろうな。うん。
だけど、個人的にはあくまでも犯人は本気の正義厨で、だからこそ「安楽死の是非を今一度問う」みたいなオチには出来なかったのか?いやそーして欲しかった。って感じ。

犯人役の役者さんは凄かったなぁ。
初見誰だか分からなかった。余りにも演技が上手過ぎてちょっと本気で鳥肌立ちましたよ。イッちゃってる目の凄みがもうね。
世の中にはたまにこーいう本気の「キチ」が居て、そういうキチに取り込まれたら凡人なんて為す術もないんだろうなぁ~と思わされました。うん。
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【映画】「水上のフライト」試写会@25作目

2020年11月05日 | 映画感想
「水上のフライト」試写会

久し振りに自力で試写会当たって観てきたんだけどね、もう既に公開してるしどーかするともうすぐ公開終了する?(この記事書いてるの12月7日です)
まあいい。もう既に忘れかけてますのでサラッとUPしときますわ(滝汗)

あらすじ
将来性の高い走り高跳び選手として活躍し負け知らずだった遥(中条あやみ)は、ある日、不慮の事故に遭遇する。命は取り留めたが下半身はまひし、将来の夢を断たれた遥は心を閉ざし自暴自棄になってしまう。しかし周囲の人々に支えられ、パラカヌーという競技に出会った彼女は、新たな夢を見つける。(Yahoo!Movieから丸パク)

本作は実在するパラカヌー選手「瀬立モニカさん」の体験を元に作られたオリジナルストーリーだそうです。
瀬立モニカさんが元々走り高跳びの選手だった、という訳ではないらしい。
で、主人公の遙役を中条あやみさんが熱演。母親役は大塚寧々さん、遙をパラカヌーの世界に引っ張るコーチ役に小沢征悦さん、遙を支えるオーダー車椅子技師をしているイケメン青年を杉野遙亮君が演じています。

まず、実際の瀬立モニカさんを存じ上げないのですが、交通事故に遭う前の走り高跳び選手だった頃の遙がエゲツなく感じが悪いw
まーよく言えば「自分に厳しく他人にも情け容赦ない」タイプ。て言うかマスコミ記者に対しても素っ気なさ過ぎて「何もそこまで愛想なさ過ぎなくてもよくね?」レベル。
で、彼女が不慮の交通事故で脊椎損傷して下半身麻痺になってしまい、自暴自棄になっているトコロを子供の頃少しやった事のある「カヌー」に誘われる、という展開。
んでお約束通りすったもんだあって、そこから一念発起して一から身体作りして、苦労して苦労して徐々に力付けて行って、いよいよオリンピック選考レースまで行く、と。

余りにも王道展開過ぎてツッコミ入れる場所もねーわなw
あ、1つだけ敢えて意地悪な事言うと…遙が筋トレしまくるシーンが何度も挿入されてるんだけど、全部ちゃんと別撮りしてんの?わかんないけど少なくともスクリーン上で観ている限りは同じ動画の使い回しにしか見えなかった。だから筋トレシーンが観ててダレる。演技の問題じゃなくてこれは演出の問題だろうな。

競技カヌーって所謂観光用の誰でも乗れるカヌーとは全然形状が違うんだよね。すっごく細くて長い。だからただ乗るだけでもバランス取るのが相当大変だろうと思う。
中条あやみさんは本作の為に相当厳しい訓練を積んだんじゃないだろうかと思いますね。ちゃんと乗りこなしていて凄いなあと思いましたよ。
筋トレも本当にかなりやり込んだだろうと思う。細くてモデルさん体型だけど、それでも上腕二頭筋とか胸筋に綺麗に筋肉乗ってたしね。
後、泣きの演技が上手だったかな。ガチ泣きしてもお顔が整ってるのは流石だな。世の中の殆どのオンナは泣くと不細工化すっからなw

と、まあそんな感じで。こーゆー「スポ根王道系」ってダメ出し出来ませんよね。実際に頑張っているアスリートさんが沢山いるんだもん。
来年、オリンピック出来るのかなぁ?そりゃコロナの事考えたら「出来る訳ねーだろ。とっとと止めろ」って言う人が沢山いるのは分かってるけどさ…
でもアスリートさん達の気持ち考えたらオリンピックが無くなるのは本当に辛い事だと思うんだよな。
1年ブランクがあるだけでも現役ピークを過ぎちゃう人だって居るだろうし。皆オリンピック本番に合わせて必死に身体作ってるんだもんね。出来れば開催してあげて欲しいな。
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