天網恢恢疎にして漏らさず

映画レビューを中心に(基本ネタバレバレです)スキーやグルメ他、日々どうでもいいような事をダラダラと綴っています。

【映画2024】「ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ」@38作目

2024年07月04日 | 映画感想
「ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ」

監督:アレクサンダー・ペイン×主演:ポール・ジアマッティという「サイドウェイ」コンビ再び!
自分ポール・ジアマッティ結構好きなんだけど、それこそ前観たのってサイドウェイが最後じゃね?…え?サイドウェイって20年も前の作品だったん!?(驚愕)…とビックリして家に帰ってから自分の映画レビューまさぐってみたら、どーやら2014年公開の「ウォルト・ディズニーの約束 」という作品と、あとは2017年にメキシコ行った時に機内上映で観た映画(日本未公開)にご出演されていた模様…それでも約10年前だもんなぁ~

あらすじ
1970年冬、アメリカ・ボストン近郊にある全寮制のバートン校。生徒や教師たちがクリスマス休暇を家族と過ごす中、嫌われ者の堅物教師ポール・ハナム(ポール・ジアマッティ)は複雑な家庭環境のアンガス・タリー(ドミニク・セッサ)をはじめとする家に帰れない生徒たちの子守役を任される。一方、食堂の料理長メアリー・ラム(ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ)は一人息子をベトナム戦争で亡くし、かつて息子と過ごした学校で年を越そうとしていた。それぞれに孤独を抱える3人は、2週間の休暇を過ごす中で反発し合いながらも徐々に心を通わせていく。(Yahoo!検索情報から丸パク)

寄宿学校のクリスマス休暇で自宅に戻れない学生というのは結構な「負け犬」状態らしい。
まあそーかもなー日本のクリスマスとアメリカのクリスマスではかなり様子が違うらしいってのは聞いてるけど、クリスマスって家族が揃ってミサに出掛けたりホームパーティしたりしてしっとりホッコリ過ごすのがアメリカ流らしくて、要するに帰る場所がないって相当キツい状態らしいんですよね。
で、最初はワケありな数名の学生が寮に取り残されてたんだけど、その中の1人の父親が自家用ヘリで学校まで迎えに来てくれた上に「これから居残り組の生徒全員スキーリゾートに連れてってやんよ♪ただしご両親の承諾が得られたらネ!」みたいな話になって、唯一親と連絡が付かなかったアンガス少年だけが「負け犬of負け犬」になってしまった地獄展開💦

話はアンガスだけが取り残されて嫌われ者教師のハナムとボッチの給仕長メアリーの3人になってからが本番。
3人が3人ともそれぞれ事情を抱えていて、それが小さなエピソードをコツコツと積み上げて行きながら少しずつ個々の抱えている問題だったり過去だったりが明かされて行くという展開なんだけど…この見せ方が上手いんだよなぁ~

会話が面白くてね、絶妙なタイミングでクスッと笑わせるようなユーモアが散りばめられているのが凄くいい✨
この手のヒューマンドラマって「とりあえず泣かせ展開になれば勝ちなんだろ」といわんばかりにお涙頂戴展開にゴリッゴリに持って行くパターン結構多いと思うんだけど、人間って実際そんなにシリアス一辺倒に生きてる訳じゃないじゃない?
その、危うい展開の中にもクスリとさせるような絶妙な会話がね…何とも「人間味がある」というのかな。血の通った会話だな、と思わせるんですよ。

あと、本作の重要なキーワードとして「嘘」があります。
そもそも舞台になっているバートン校の校風で「嘘をついてはいけない」というのがあるらしく、ハナムも常々生徒達に「嘘はつくな」と口を酸っぱくして言っているようですが、問題児のアンガスは平気で嘘付きまくるタイプ(本人も自分は嘘つきだしモノ盗むしって語っている)
メアリーはボストンに遊びに行きたがるアンガス少年に援護射撃するかのように「社会見学という名目にすればいいじゃないの(嘘も方便よ)」とハナムに促しているし、当のハナムは訪れたボストンでハーバード時代の同級生(しかも超因縁のあるヤツ)と再会してしまい、そこで思いっきり嘘付きまくってアンガスに後からめっちゃツッコミ食らっているというw
この嘘のくだりは凄く良くて…この辺りで一気にハナムとアンガスの心の距離が縮まったなーと誰もが実感出来るエピソードだと思いますね!

そして…嘘はクライマックスで最大限生きる。
コレは誰もが想像した通りの展開だと思いますが、それでもポール・ジアマッティのあの表情が本当に胸に突き刺さってくる。独りぼっちのアンガスの心の叫びを聞いてしまったハナムにはもうあの選択肢しかなかったんだろう…でもハナムにとっても唯一の場所だったハズなのに…と、切なくて苦しくて、でも心が温まるこれぞ本当のヒューマンドラマだなぁ!と思わせる傑作でした。最後のアンガス少年の表情も、そして「See-ya!(またね)」と言って去って行く姿も印象的でした。

本作、舞台が1970年で…映像もまるで1970年に撮影された作品かな?と錯覚させるような演出がふんだんにされていて、それも楽しい作りでした。
最後の最後、スタッフロールが終わった後に真っ黒なスクリーンの真ん中に白地で「THE END」の文字が…あー、そう言えば昔の映画って最後に「THE END」って表示されてたよなぁと思い出しました。て言うかいつからなくなったんだろう?💦
コメント
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