保津川下りの船頭さん

うわさの船頭「はっちん」が保津川下りの最新情報や、京都・亀岡の観光案内など、とっておきの情報をお届けします。

保津川の苔

2005-04-11 16:22:17 | 船頭
今日の保津川は、朝から雨上がりの冷たい風が吹き
気温も低い曇り空な天気になりました。

ここ一週間ほど汗ばむくらいの暖かい日が
続いていたので、今日は余計に寒く感じられました。

でも、こんな日の保津川は、岩場に生えている‘苔’の
緑が瑞々しく光りとても綺麗なのです。

京都で‘苔’といえば松尾にある苔寺(西方寺)が
あまりにも有名ですが、雨上がりの保津川の苔も
それに引けを取らない美しさだと、はっちんは思っています。

そもそも‘苔’とは、今から400億年前という太古の昔、
海から陸上へ上がった最初の植物といわれています。
空気中に湿度と太陽光がある限り、死滅することは
ないといわれ、今の20倍の二酸化炭素が蔓延していた
過酷な環境の中を生き延びた生命力の強い植物です。

また、他の植物の20倍はあるといわれる高い保水力と
断熱性に優れ、ヒートアイランド現象の抑制効果や
二酸化炭素の吸収して完全固定化するという
とても環境によいエコな奴なのです。

保津川の苔は、夏前に放流される鮎のえさにもなり、
健全な生育にな欠かせない植物です。

渓谷を彩る四季折々の美しい花々の陰に隠れ、普段は
全く目立つことなくひっそりと生息しています。

そんな保津川の‘苔’が最も美しい光りを
放つの時が、華やかな景色が影をひそめる
雨や曇り空の日であることも、素朴な苔の
性質をあらわしているようです。

強靭な生命力とは、華やかさの対極にあるもの
だと感じるはっちんなのです。