保津川下りの船頭さん

うわさの船頭「はっちん」が保津川下りの最新情報や、京都・亀岡の観光案内など、とっておきの情報をお届けします。

保津川のユキヤナギ

2005-04-15 16:48:15 | 船頭
まだまだ満開状態の桜が多い保津川渓谷で、
細長い枝に小さな白い花が咲いているのが
目にとまります。

この花はユキヤナギです。

保津川では毎年、新芽が出だす四月の初め頃、
川岸の岩の割れ目から生えだし花を咲します。

ユキヤナギは白々と咲く小さな花が、雪の降った姿に
似ていること、葉っぱがヤナギの葉に似ている
ことからこの様な和名で呼ばれることになったそうです。

また、見たところ純白で米粒が集まっている姿にも
似ているので、コゴメバナとも呼ばれています。

ユキヤナギに限らず、保津川渓谷に自生している
植物は、毎年何度か増水して木全体が激しい水に
晒される環境にあります。

また、岩の割れ目は用土も少なく、夏は激しい高温に
なる厳しい自然条件のなかにあるのです。

しかし、ユキヤナギはその様な厳しい環境を
耐え抜いて自生したという、激しさを微塵も
感じさせないほど、素朴な花なのです。

同じ環境下の桜や藤、岩つつじ達のように、
生存の厳しさが花の美しさをより一層鮮やかに
見せる花々とは明らかに異なります。

また、庭園や公園で栽培されているユキヤナギに
比べて、花の大きさも小さいのです。

そんな保津川のユキヤナギの中に、華やかさだけが
美しいものではなく、気負わなくても強く生存できるという
人生の真理を教えてもらっている感じがします。

春の保津川はまさに花づくしとなります。

大自然に自生する花々に、人生を映して眺めるのも
風流というものかもしれませんよ。