保津川下りの船頭さん

うわさの船頭「はっちん」が保津川下りの最新情報や、京都・亀岡の観光案内など、とっておきの情報をお届けします。

保津川下りに恵みの雨に・・・ならず!

2005-05-22 18:59:47 | 船頭
5月に入ってからというもの、まとまった雨が
降っていない京都・保津川。

川の水位の方も日に日に減少を続け、いよいよマイナス水位に
近づいてきました。

保津川下りの醍醐味の一つである急流も、
その勢いが弱まり、スリルを期待する方には
少し物足らなく感じつつあるようです。

更にこれからの時期は、京都府下一の農作地が広がる
保津川流域の田植えも始まります。
この広大な水田に引く為の水は、今の保津川が担わなければ
ならないので、益々、水位の減少が進むことが予想されます。

これらの条件下のもと、これ以上、川の水位が減少すると
川底を人工的に整備するハードな川作業に連日、出動しなくては
ならなくなり、組合にとっても、船頭個人にとっても
かなりの負担となってくるのです。

そんな中「明日は朝から一日中、雨」との
嬉しい観測を天気予報が発表。
その予報通り、早朝から待望の雨が降り出しました。

その後の週間予報では明日以外は雨の日がない
事もあり、時より激しい雨音をたてて、降りしきる雨に
私達船頭の期待も俄然、膨らみます。

「明日は日曜日、本来なら雨は降って欲しくない日だが、
今後の事を考えると仕方ないか~」と観光業最大の
稼ぎ時である日曜日を生け贄にする事も辞さない
心持ちで、この雨に賭けることにしました。

が!しかし、一晩降ったわりには、朝の乗船場の水位は
僅か5cm上がったのみで、期待した様な水位上昇は
していなかったのです。

どうやら雨が降らずに乾いていたのは私達船頭だけ
ではなかった様なのです。
山や田園、河原など大地そのものが乾いていたのです。

一晩、降り続いた雨も、乾ききったこれらの大地が
しっかり吸い取ってしまった事が上昇に繋がらなかった
理由と考えられます。

その後も終日、雨は降っていたものの、弱いミストの様な
中途半端な雨しか降らず、結局この雨は客足をしっかり
止めたのみで、期待したほどの水位の上昇はみられなかったのです。

水位が下がりだした時の‘恵みの雨’を期待した
私達船頭も願いはこうして脆くも崩れ去ったのでした。

天然自然というものは、私達人間の都合いいようには
作用してくれない事は分かりきっていますが、
ついつい、願わずにはいられないのも
太古からもつ人間の性でしょうか?

明日からはまたいい天気が続くそうです。
こうなれば気持ちをしっかり切り替え、
最高の川下り日和になる天気を喜んで
受け入れたいですね。

そしてこちら側が自然条件に合わせる謙虚な気持ちで
仕事に勤しむ腹を決めたはっちんなのでした。