創作日記&作品集

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童話「閉ざされた森の神話」

2013-12-24 17:20:26 | 創作日記
童話「閉ざされた森の神話」
小学校高学年から大人まで楽しめる童話です。ここでも読めます。一時キンドルで読めるように有料にしましたが、無料に戻しました。どうして? ないしょ。いきさつ色々。
「閉ざされた森の神話」<PDF>  
「閉ざされた森の神話」<EPUB>

今昔物語・福永武彦訳「芋粥」と芥川龍之介「芋粥」

2013-12-24 17:03:17 | 読書
今昔物語を読んでいます。夢中になっています。「芋粥」を読みました。芥川龍之介の「芋粥」は読んだかどうか? どちらにしても遠い昔の話です。改めてiPadで読んでみようと思いました。iPadで青空文庫を読むのはi文庫HDが一番だと思います。作品名・作者別の索引も充実しています。電子ブックの機能も十分です。コピーも簡単で自分なりのスクラップも出来ます。(著作権の関係でしょうか、意外とコピーの出来ない電子ブックが多いですよ)。今昔物語の「芋粥」と芥川の「芋粥」の比較は、ネットでもすぐ出てきます。今さら言うまでもないということで、私は、芥川のこの文に惹かれました。少し長いですけど引用します。
「「いけぬのう、お身たちは。」と云ふ。その顔を見、その声を聞いた者は、誰でも一時或いぢらしさに打たれてしまふ。(彼等にいぢめられるのは、一人、この赤鼻の五位だけではない、彼等の知らない誰かが――多数の誰かが、彼の顔と声とを借りて、彼等の無情を責めてゐる。)――さう云ふ気が、朧げながら、彼等の心に、一瞬の間、しみこんで来るからである。唯その時の心もちを、何時までも持続ける者は甚少い。その少い中の一人に、或無位の侍があつた。これは丹波の国から来た男で、まだ柔かい口髭が、やつと鼻の下に、生えかかつた位の青年である。勿論、この男も始めは皆と一しよに、何の理由もなく、赤鼻の五位を軽蔑した。所が、或日何かの折に、「いけぬのう、お身たちは」と云ふ声を聞いてからは、どうしても、それが頭を離れない。それ以来、この男の眼にだけは、五位が全く別人として、映るやうになつた。栄養の不足した、血色の悪い、間のぬけた五位の顔に世間の迫害にべそを掻いた、「人間」が覗いてゐるからである。この無位の侍には、五位の事を考へる度に、世の中のすべてが急に本来の下等さを露すやうに思はれた。さうしてそれと同時に霜げた赤鼻と数へる程の口髭とが何となく一味の慰安を自分の心に伝へてくれるやうに思はれた。…… しかし、それは、唯この男一人に、限つた事である」
この無位の侍については今昔物語にはありません。また、芥川の「芋粥」でもここだけです。味わい深く色々考えさせられます。みなさんは、どう思いますか?