創作日記&作品集

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連載小説「Q」8

2020-04-16 06:48:42 | 小説
連載小説「Q」8
大和八木駅で乗り換えて二つ目の笠縫駅で降りた。
無人駅だった。
都心まで一時間半の通勤圏とあるが、この時間は誰も乗り降りするものはなかった。
自動改札をぬけると、蝉の声が夕立のように落ちてきた。
スマホで道順をチェックする。
川に沿った細い道の方が近そうだ。
だが、簡易舗装の道は、キャリーバッグを転がすのに適していない。
鞄と一緒に運ぶのは難儀だった。
鞄を肩にかけてキャリーバッグを転がすと、全身から汗が噴き出した。
汗はすぐに乾き塩になった。
駅前にあった自販機で水を買うべきだったと後悔したが遅かった。
墓場の向こうが国道らしい。
竹藪の横をぬけると国道を挟んで巨大なスーパーマーケットの看板が見えた。
あそこで水を買おう。
しかし、GPSに記録が残るから長居は出来ない。昼食には早すぎる。