朗報としてこのブログでも紹介させて頂いた脱毛抑制機器の後日談の記事を、愛読している朝日新聞の医療サイト、アピタルで見つけた。以下、転載させて頂く。
※ ※ ※(転載開始)
抗がん剤の脱毛抑える機器、保険適用なく 利用は自費で(田村建二 2019年8月13日10時00分)
抗がん剤治療に伴う脱毛を抑えるのを目的に、今春に承認された医療機器の使用に関して、メーカーが求めていた公的医療保険の適用は認められないことになった。患者は専用のキャップ(定価9万円)を自費で買うなどして使うことになりそうだ。機器は9月以降、脱毛の抑制に熱心に取り組む医療機関に順次納入される予定という。
この機器は「パックスマン・スカルプ・クーリング・システム」。英国のメーカーからセンチュリーメディカル社(本社・東京都)が輸入し、販売する。
機器は、患者が複数回の抗がん剤治療を受けるごとに、その開始前から終了後にかけて、頭部につけた専用キャップに零下4度ほどの冷却液を流す。頭皮を冷やして血管を縮め、毛包(もうほう)という場所に届く抗がん剤の量を減らすことで脱毛を抑える。乳がんなどの固形がんが対象になる。
同社が厚生労働省に保険適用を求めていた。認められなかった理由は公表されていない。保険適用の抗がん剤治療などを並行して受けても問題はないという。
患者はキャップ代のほか、頭皮の冷却を受けるごとに機器の使用料などを支払うことになりそうだ。金額はそれぞれの施設が決めるが、一連の処置に伴う患者の負担額はキャップ代も含めて10万円以上になることが多いと予想される。
乳がん患者を対象にした国内の治験では、このシステムを使った30人のうち、脱毛の程度が半分未満に抑えられて「ウィッグの必要なし」と判定された人が8人(26.7%)いた。
より高い効果につなげるため、同社は治験のあと、日本人の頭部の形に合わせて密着度をより高めたキャップを新たに開発したとしている。米国での研究では、ほぼ半数の患者が同様の判定を受けている。(田村建二)
(転載終了)※ ※ ※
両面にわたって残念なことである。
1つは公的保険適応にならなかったこと。試したい人が自費ならどうぞご自由に、熱心な機関だけどうぞ納品を、というスタンスである。
そしてもうひとつは効果面。装着した結果、ウイッグ必要なしと判断されたのは30人中8人に留まったという厳然たる事実である。
抗がん剤による脱毛というダメージから脱却するには、まだまだ道は遠いのだ、と思い知らされる。
現在、人生3回目の脱毛を経験し、かつら生活を送っている身としては、正直なんだかなあである。
ショートヘアにして久しい私だが、今の調子で(抗がん剤治療をお休み出来て)順調に髪の毛が伸びても、どう楽観的に見積もっても1年後、最短でも来年の夏かつら卒業が出来るかどうか、といったところ。
夏も涼しい、という新製品のかつらを被って2ヶ月ほどが経つ。なるほど10年前のかつらよりも断然被り心地は良い。
けれど、猛暑の日々、暑くないかと問われれば決してそうは言えない。軽いし、締め付けられ感も、それによる頭痛も断然楽になったけれど、やはりきちんと汗をかいて冷してくれる地毛に勝る涼しさはない。家では素頭でいられるけれど、外出するには程遠い。雛鳥状坊主頭だ。
今でも帰宅すれば、真っ先に頭を取りたい、という気分になるのは変わらない。
そして10万円以上の負担額となれば、それなりに良質なかつらを準備できる価格だ。これで100%かつらは要りません、というならまだしも、それだけ支出してもかつらが不要にならない人が4分の3。これではダブルの出費。泣きっ面に蜂ではないか。
かつてに比べ、アピアランスケアに脚光が当たってはきてはいるけれど、やはりまだ命が助かるなら、脱毛は我慢してね、という域を出ていないのだと感じる。
そして、技術的にもまだ米国には追いついていないということか。まあ、ほぼ半数はかつらが不要ですと言われたところで、確率論的には自分に置き換えればオールオアナッシング。かつらが要るか要らないか、どちらか2つに1つである。頭半分だけかつらということはありえない。結果が五分五分ではあまりにリスキーである。
願わくばこの装置が一日も早く保険適応になって、どこの病院にも設置されて試したい人は試すことが出来て、かつ試した人には間違いなく効果が出てかつら不要にならんことを。