ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2013.3.1 いつ止めるか、いつまで続けるか・・・目指すは「いいとこ取り!」

2013-03-01 22:13:21 | 日記
 今日から弥生、3月。春一番も吹いた。花粉症の方たちはいよいよ大変なのではないか。我が家の息子も薬は飲んでいても赤い目でマスクをしている。
 さて、何度かご紹介している朝日新聞の医療サイトアピタル連載の長尾先生のコラム「町医者だから言いたい!」の“抗がん剤の止めどき”シリーズがいよいよ終了の模様。
 昨日の記事を以下転載させて頂く。

※  ※  ※(転載開始)

町医者だから言いたい!《1046》 良し悪しでなく、止めどき 抗がん剤の止めどき 長尾和宏(2013年2月28日)

 昨日、自らの意思で抗がん剤を止めた在宅患者さん3人と継続中の患者さん3人を、訪問診療しました。6人とも、実にいいお顔をされていました。
 抗がん剤を止めた3人は、晴々とした笑顔に見えました。決して、やけくそでも、諦めでもありません。「中止を自己決定した、できた」という満足感を感じました。
 抗がん剤治療中の3人は、笑顔の奥に微かな不安を感じました。髪の毛が抜け落ちているのが、どことなく辛そうでした。私は「一緒に頑張ろうね!」と明るく声をかけてきました。
 この4ケ月間、正月を挟んで、毎日毎日、抗がん剤について思いつくまま、あれこれと書いてきました。抗がん剤宝くじ説や競馬説から始まり勘三郎さんについても。
 私は、抗がん剤を好きではありません。自分ががんになっても絶対に飲まないと思います。そうそう、胃ろうも絶対にしないと思います。
 しかし、抗がん剤も胃ろうも否定しているわけではありません。近藤誠先生や中村仁一先生とは、ちょっとスタンスが違います。いい道具を上手く使いましょう、問題は使い方だと言ってます。
 医学は科学で、医療は科学に基づいて行われます。科学は科学的検証を経て、世の中に適応されます。後に変わることがありますが、その時代ではそれが「真実」。
 抗がん剤は、延命治療であること、当たり外れがあること、遺伝子検査である程度の確率で事前に予測できることは真実。世界中の何万人もの科学者が出した結論には重みがあります。
 「文明の利器」の長所と欠点を知り、上手く使って欲しい。どうか「現代医学のいいとこ取り」だけを目指して欲しい。それが、私からの本シリーズ最終の、メッセージです。
 そのためには、患者さんも賢くならなければいけません。お医者さん任せ、はもう止めましょう。ネットの発達のお陰で世界中の情報が簡単に手に入る時代。
 情報にはガセネタもあるでしょうが、それも含めての情報。よく勉強してから主治医と相談して、自己決定してほしい。ただそれだけのことですがほとんどの人ができないのです。
 私が抗がん剤も胃ろうもやらない理由は、そういう生き方です。簡単に言えば、好き嫌いのレベル。難しく言えば、それが私の死生観。
 こうして書いてきた4ケ月の間、実に多くのかたから様々なご意見や情報を頂戴いたしました。この場をお借りして、御礼を申し上げます。
 本シリーズは、このあと書籍化されると思います。その節は、あらためてご案内します。
いずれにせよ、抗がん剤は「良し悪しではなく、止めどき」なのです。

(以下略・転載終了)※  ※  ※

 これまでの先生の連載を通じて、“自己決定すること”の大切さを胸に刻んだ。
 先生は抗がん剤が嫌いだからやらないとおっしゃっているが、まあ、日々、抗がん剤の副作用でヘタっている患者さんを見続けていればそういう気持ちになるだろうなあ、と思う。これまで5年間にわたる再発治療で、タキソテール6クール、ナベルビン31クール、EC4クールと3つの抗がん剤を使ってきた私だ。
 これからも「いいとこ取り」でゆきたい(生きたい)と思う。そして、ホルモン剤や分子標的薬もうまく組み合わせながら「いいとこ取り」で細く長くしぶとく治療を続けていきたいと思う。

 抗がん剤を使うということは “奏功する”という正作用だけでなく、元気な細胞まで殺し尽くすことで様々な形で発生する辛い副作用・・・、これらも全て自分の体が引き受けることだ。だから自分の体と相談して、自分の体の声に耳を傾けて、主治医と相談しながら、止めどきはきちんと自分で決めよう。
 しんどくなりすぎたら、頑張りすぎないで迷わないで、休む。もう再開するのは無理だと思ったら、延命治療である抗がん剤治療から緩和ケアだけに切り替えても良いだろう。撤退する勇気が必要だと思う。引き際が肝心とも言えるだろう。

 今後病状が進んで、自分で通院が出来なくなって、殆ど寝たきりのような状況になっても、最後の最後まで抗がん剤を点滴されたり内服し続けるのではあまりに哀しい。最期まで坊主頭というのも女性としてはやはり切ない。
 自分らしく、自分の意思でその“止めどき”を見極めたいと思う。
 かえってその方が最終地点に上手にソフトランディング出来そうな気がするから。
コメント (2)
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