3月2日。
病院の最寄駅から定刻通り新幹線が発車。途中、窓越しに少し雲のかかった富士山を望む。
京都駅に降り立つ。さすがに風が冷たい。改札口までMさんが迎えに来てくださって、そのままツーシーターのMさんの愛車でお昼のお食事場所へ向かう。
寒い京都の冬のご馳走、この時期にしか頂けないという“蒸し寿司”を祇園石段下で頂く。南座に出前もするという正方形の塗りの器は、内側が蒸籠の重ね作りになっている。蓋を開けると湯気の立った綺麗な彩りのちらし寿司。食べ終わるまで不思議なほど冷めない。ずっとほかほかで、はふはふ言いながら頂いて、お腹の芯まで温まった。
外は雪がちらつき始めた。そんな中、お腹ごなしの散策にいざスタートだ。八坂神社でご挨拶かたがた、まずはお参り。境内を通り抜け、いきなり眼前に開ける京都らしい街並みを堪能。右も左もキョロキョロと、ともすればダッチロールをしそうになる。石畳の階段を登って、お勧めの旅館やレストランなどをご案内頂く。観光客が体験中の“舞妓さん”もこれまたご愛嬌だ。八坂の塔をバックに写真を撮り、カラフルな“くくり猿”の庚申堂にもお参り。石塀小路を抜け、祇園では花街風情も楽しむ。さらには縁切りの神様、安井金比羅宮で“病気との縁切り”を願う。花見小路を抜け、お昼を頂いた場所まで戻ると、あっという間に小一時間が経っていた。
ホテルチェックインの前にお茶タイム。有名な京菓匠の本店にあるお休み処“菓遊茶屋”では、職人さんが“桃李”と“里桜”という名前の季節の生菓子を目の前で作ってくださるお愉しみを体験。一つ一つ手作りの職人技に目を見張り、出来立ての生菓子を抹茶と一緒に頂く。明日は雛祭りということで、お雛様の掛け軸がペアで飾られ、お菓子もそれに因んだ可愛らしいディスプレイ。一階で桃の季節新作のお菓子をお土産に選んだ。
相変わらず外では雪が降ったり止んだり。今回の一大目的地・北野天満宮へ移動する。梅苑では紅白の梅が三分咲き。なで牛の頭と胸を触り、本堂で参拝に並んでいるうちに、急に雪が強くなり、吹雪いてくる。絵馬とお守りを頂いて息子に代わって志望校現役合格を祈願し、絵馬掛けにかけてきた。寒さで鼻水は出るし、手がかじかんで筆字は情けないほど悪筆になってしまう。
ホテルにチェックインし、一服して体制を立て直す。夕食に予約してくださっているイタリアンへタクシーで移動。まだオープンから一年経っていないというが、お任せのディナーコースは11皿で大満足。どれも食材がうまく工夫されていて感心するばかり。途中でちょっときついかな、と思ったけれど気付けば完食。Mさんから「ついこの間まで具合が悪く食べられなかった人とは思えない。」とお褒め(?!)の言葉を頂く。
静かな住宅街にある落ち着いた佇まいのレストランだ。シェフの男性が2人で仕込みからサービスまで全て切り盛りしている。懐石のような美しい一皿一皿に、またも語彙の貧困な私は「美味しい!」の連発。
Mさんがおっしゃるには「シェフが楽しんで作っておられるのだ。」と。取材で色々なレストランを訪れるが、実際にご自身で繰り返し通う所はそうはないと彼女。そんな場所に連れてきて頂き、本当に有り難くラッキーだと思う。カウンターとテーブル席で13席。1晩4組で精一杯、2回転もさせない。近かったら通いたくなる素敵なお店だった。来年、息子が無事お礼参りに来られたら、是非とも3人で・・・と思う。かくして、頑張って働いてまた来なくては!と思う場所がまたしても増えてしまった。
Mさんとはまだ数回しかお目にかかったことがないのに、気付けば仕事のこと、治療のこと、患者会のことと話題は尽きない。美味しいお料理、楽しいお喋り、まだまだ死ねない!との思いを一段と強くする。
2時間半以上ゆっくりかけて堪能した。雪が酷くなったら車で帰れないのでは、と心配したが、何とか小止みになってほっとする。駐車場に向かう彼女と別れ、タクシーでホテルに戻った。
3月3日。
昨夜は、ホテルに帰ってお風呂で温まったが、興奮している所為か、枕が高い所為か、なかなか寝付けず。
今朝は、モーニングコールを頼んだものの、予定より1時間も早く目が覚めてしまった。いつものようにゆっくり足湯をして、遅い朝食。お昼は京料理店で会席料理を予約してくださっているとのこと、少な目で止めておく。ホテルのレストランからは青空が見えていた。今日は傘が不要でありますように、と願う。
今朝もお迎えして頂き、まずは歩いて繁華街にある“頭の神様―錦天満宮”へ。またも学業成就の神頼み。“大願梅”の中に入っている願い紙に願い事を書き、 再び中に戻して(個人情報保護対応絵馬というそうである。)木栓で封をして、更に万力でしっかり封をし、境内の大願梅の木にご奉納してきた。昨日の北野天満宮とダブルでお願い。後は本人に頑張ってもらおう。
そして錦市場散策。気になる食品が満載で得意のダッチロールだ。その足で先斗町を一回りご案内頂いた後、お昼を予約してくださっていた京料理店に移動。今日は雛祭り。暖簾までがお雛様で迎えてくれる。嬉しいことだ。
せっかく京都を訪れた若い人達に、リーズナブルに京料理を味わって欲しいというご主人の願いが込められた雪月花の3つのコースは、昼も夜も同じお値段。Mさんからは、こんなお値段でここまでの和食が食べられるという京都の実力を是非見てほしい、と伺っていたので雪のコースをお願いする。その心意気が素晴らしいと思う。目と舌で二度楽しみ、これまた大満足。東京ならお弁当+αくらいのお値段である。すっかりお腹一杯になって心も満ち足りた気分。ご主人に写真も撮って頂いてお店を後にした。
今度は塗りの老舗が持っている漆美術館で開催中の、徳川時代から大正期にかけてのお雛様やミニチュアの雛道具の展示へ。気品ある姿かたちのお雛様や漆の逸品で、すっかり目の保養までさせて頂く。日々に追われ、食洗機で洗える食器ばかり使っていては駄目だなぁとちょっと反省。
そして最後は“春桃会”で入場無料の三十三間堂へ。普段は見上げる形の千体の観音様を上から見下ろさせて頂くことが出来る、年に一度の日だという。その姿に圧倒される。護摩木には病気平癒はちょっとどうか、と“一病息災”と書いてきた。また、一年でやはり今日この日にしか頂けない“桃のお守り”も頂いてきた。女性のお守りだという。
気付けばあっという間に帰りの新幹線の時間が迫り、駅まで送って頂いてMさんとお別れ。次回上京される時は是非とも私の住む街まで足を延ばして頂きたいと思う。
新幹線は定刻通り。帰りはとんとん拍子に乗り継ぎすることが出来、なんと京都駅から自宅までドアツードアで僅か3時間半だった。本当に充実した目一杯素敵な2日間だった。明日からまた頑張っていけそうだ。
Mさん、本当にどうもありがとうございました。
そして仲良く(?)お留守番をしてくれた夫と息子にも感謝である。
病院の最寄駅から定刻通り新幹線が発車。途中、窓越しに少し雲のかかった富士山を望む。
京都駅に降り立つ。さすがに風が冷たい。改札口までMさんが迎えに来てくださって、そのままツーシーターのMさんの愛車でお昼のお食事場所へ向かう。
寒い京都の冬のご馳走、この時期にしか頂けないという“蒸し寿司”を祇園石段下で頂く。南座に出前もするという正方形の塗りの器は、内側が蒸籠の重ね作りになっている。蓋を開けると湯気の立った綺麗な彩りのちらし寿司。食べ終わるまで不思議なほど冷めない。ずっとほかほかで、はふはふ言いながら頂いて、お腹の芯まで温まった。
外は雪がちらつき始めた。そんな中、お腹ごなしの散策にいざスタートだ。八坂神社でご挨拶かたがた、まずはお参り。境内を通り抜け、いきなり眼前に開ける京都らしい街並みを堪能。右も左もキョロキョロと、ともすればダッチロールをしそうになる。石畳の階段を登って、お勧めの旅館やレストランなどをご案内頂く。観光客が体験中の“舞妓さん”もこれまたご愛嬌だ。八坂の塔をバックに写真を撮り、カラフルな“くくり猿”の庚申堂にもお参り。石塀小路を抜け、祇園では花街風情も楽しむ。さらには縁切りの神様、安井金比羅宮で“病気との縁切り”を願う。花見小路を抜け、お昼を頂いた場所まで戻ると、あっという間に小一時間が経っていた。
ホテルチェックインの前にお茶タイム。有名な京菓匠の本店にあるお休み処“菓遊茶屋”では、職人さんが“桃李”と“里桜”という名前の季節の生菓子を目の前で作ってくださるお愉しみを体験。一つ一つ手作りの職人技に目を見張り、出来立ての生菓子を抹茶と一緒に頂く。明日は雛祭りということで、お雛様の掛け軸がペアで飾られ、お菓子もそれに因んだ可愛らしいディスプレイ。一階で桃の季節新作のお菓子をお土産に選んだ。
相変わらず外では雪が降ったり止んだり。今回の一大目的地・北野天満宮へ移動する。梅苑では紅白の梅が三分咲き。なで牛の頭と胸を触り、本堂で参拝に並んでいるうちに、急に雪が強くなり、吹雪いてくる。絵馬とお守りを頂いて息子に代わって志望校現役合格を祈願し、絵馬掛けにかけてきた。寒さで鼻水は出るし、手がかじかんで筆字は情けないほど悪筆になってしまう。
ホテルにチェックインし、一服して体制を立て直す。夕食に予約してくださっているイタリアンへタクシーで移動。まだオープンから一年経っていないというが、お任せのディナーコースは11皿で大満足。どれも食材がうまく工夫されていて感心するばかり。途中でちょっときついかな、と思ったけれど気付けば完食。Mさんから「ついこの間まで具合が悪く食べられなかった人とは思えない。」とお褒め(?!)の言葉を頂く。
静かな住宅街にある落ち着いた佇まいのレストランだ。シェフの男性が2人で仕込みからサービスまで全て切り盛りしている。懐石のような美しい一皿一皿に、またも語彙の貧困な私は「美味しい!」の連発。
Mさんがおっしゃるには「シェフが楽しんで作っておられるのだ。」と。取材で色々なレストランを訪れるが、実際にご自身で繰り返し通う所はそうはないと彼女。そんな場所に連れてきて頂き、本当に有り難くラッキーだと思う。カウンターとテーブル席で13席。1晩4組で精一杯、2回転もさせない。近かったら通いたくなる素敵なお店だった。来年、息子が無事お礼参りに来られたら、是非とも3人で・・・と思う。かくして、頑張って働いてまた来なくては!と思う場所がまたしても増えてしまった。
Mさんとはまだ数回しかお目にかかったことがないのに、気付けば仕事のこと、治療のこと、患者会のことと話題は尽きない。美味しいお料理、楽しいお喋り、まだまだ死ねない!との思いを一段と強くする。
2時間半以上ゆっくりかけて堪能した。雪が酷くなったら車で帰れないのでは、と心配したが、何とか小止みになってほっとする。駐車場に向かう彼女と別れ、タクシーでホテルに戻った。
3月3日。
昨夜は、ホテルに帰ってお風呂で温まったが、興奮している所為か、枕が高い所為か、なかなか寝付けず。
今朝は、モーニングコールを頼んだものの、予定より1時間も早く目が覚めてしまった。いつものようにゆっくり足湯をして、遅い朝食。お昼は京料理店で会席料理を予約してくださっているとのこと、少な目で止めておく。ホテルのレストランからは青空が見えていた。今日は傘が不要でありますように、と願う。
今朝もお迎えして頂き、まずは歩いて繁華街にある“頭の神様―錦天満宮”へ。またも学業成就の神頼み。“大願梅”の中に入っている願い紙に願い事を書き、 再び中に戻して(個人情報保護対応絵馬というそうである。)木栓で封をして、更に万力でしっかり封をし、境内の大願梅の木にご奉納してきた。昨日の北野天満宮とダブルでお願い。後は本人に頑張ってもらおう。
そして錦市場散策。気になる食品が満載で得意のダッチロールだ。その足で先斗町を一回りご案内頂いた後、お昼を予約してくださっていた京料理店に移動。今日は雛祭り。暖簾までがお雛様で迎えてくれる。嬉しいことだ。
せっかく京都を訪れた若い人達に、リーズナブルに京料理を味わって欲しいというご主人の願いが込められた雪月花の3つのコースは、昼も夜も同じお値段。Mさんからは、こんなお値段でここまでの和食が食べられるという京都の実力を是非見てほしい、と伺っていたので雪のコースをお願いする。その心意気が素晴らしいと思う。目と舌で二度楽しみ、これまた大満足。東京ならお弁当+αくらいのお値段である。すっかりお腹一杯になって心も満ち足りた気分。ご主人に写真も撮って頂いてお店を後にした。
今度は塗りの老舗が持っている漆美術館で開催中の、徳川時代から大正期にかけてのお雛様やミニチュアの雛道具の展示へ。気品ある姿かたちのお雛様や漆の逸品で、すっかり目の保養までさせて頂く。日々に追われ、食洗機で洗える食器ばかり使っていては駄目だなぁとちょっと反省。
そして最後は“春桃会”で入場無料の三十三間堂へ。普段は見上げる形の千体の観音様を上から見下ろさせて頂くことが出来る、年に一度の日だという。その姿に圧倒される。護摩木には病気平癒はちょっとどうか、と“一病息災”と書いてきた。また、一年でやはり今日この日にしか頂けない“桃のお守り”も頂いてきた。女性のお守りだという。
気付けばあっという間に帰りの新幹線の時間が迫り、駅まで送って頂いてMさんとお別れ。次回上京される時は是非とも私の住む街まで足を延ばして頂きたいと思う。
新幹線は定刻通り。帰りはとんとん拍子に乗り継ぎすることが出来、なんと京都駅から自宅までドアツードアで僅か3時間半だった。本当に充実した目一杯素敵な2日間だった。明日からまた頑張っていけそうだ。
Mさん、本当にどうもありがとうございました。
そして仲良く(?)お留守番をしてくれた夫と息子にも感謝である。