これまで何度もご紹介している毎日新聞連載の岡本左和子さんのコラム“診察室のワルツ”。今回も、なるほどな、と思った。以下、最新号を転載させて頂く。
※ ※ ※(転載開始)
診察室のワルツ:/51 理解に影響する服装や話し方=岡本左和子(毎日新聞 2013年08月08日 東京朝刊)
最近はメークやヘアスタイル、ファッションをアニメのように装って楽しむ人を多く見かけます。まつ毛を長く、ネイルアートも華やかに、ファッションに敏感な人は楽しいことでしょう。しかし、これが病院で悩ましい問題を起こします。
「若い医療者や病院スタッフに、派手なネイル、人形のようなまつ毛、はねた髪形は禁止といっても、聞き入れてもらえない」というのです。個人の権利の主張に加えて、ハラスメントと取られる恐れがあり、医療機関の規約に、身だしなみの規定が明記されていても、注意しにくいのだそうです。患者から「不真面目だ」「病人の気持ちを考えていない」と指摘されても、指導するとなると「部下の個性や仕事への意欲をそぐのではないか」と考えてしまい、「どうしたらいいのか分からなくなる」という悩みになります。
「コミュニケーション」のあり方から、この問題を考えてみます。対話をする時、人間は五感を使ってメッセージを理解しますが、どの感覚を多く使うかは人によります。一般に言語から理解するのは7%にとどまり、相手の態度や服装、化粧など視覚を通した理解が55%、相手の声のトーンなど聴覚を使った理解が22%、対話中の雰囲気や気遣われていると感じるような体感覚を通しての理解が16%を占めるとされます。
適切な治療やその説明に加え、服装などの格好や話し方が相手の理解や受容に影響するのです。情報処理に視覚を多く使うくせのある患者は、医療者や病院スタッフの身だしなみに気が取られ、聴覚が強い患者は話すトーンや言葉遣いに注意がいきます。それらが不快であれば、話の内容に集中できず、聞き漏らしや間違いを増やします。例えば、医学的に問題がない対応であっても、患者は医療者の身だしなみから、「楽しそうでいいけれど、患者が大切にされていない。注意されていない」と感じてしまうこともあります。装いを楽しむことは気分転換になりますから、私たち患者も譲歩は必要ですが、医療者や病院スタッフには相手の視覚や聴覚を通して、思いのほか多くのメッセージを患者に送っていることに配慮を期待します。(おかもと・さわこ=患者・家族と医療をつなぐNPO法人架け橋理事)
(転載終了)※ ※ ※
そう、受け取る方は実に勝手なものだ。特にケアをしていないごく普通の手先を見せられた時、その場所によって反応は全く違う。
ちょっとお洒落な洋服を買いに出かけたショップの店員さんが綺麗なネイルアートをしているのを見れば、いいなあ、素敵だなと思うが、かたや化学療法室の看護師さんがデコラティブなネイルをして現れたら、間違いなく、あの人で大丈夫?と思うだろう。薬剤等に触れる時にはめる薄いゴム手袋などはあっという間に破けそうだ。
実際のところ、私が通院している病院でそんな爪やキラキラメイクをしている看護師さんはこれまで見かけたことがない。髪の毛のカラーリングも目にすることがない。一度尋ねたことがあるが、ネイルもカラーも禁止されているんです、ということだった。お洒落をしたい年頃の若い看護師さんだと、ちょっと哀しいのかな、とも思う。 “遊べる”のはネームプレートにちょっとした飾りのついたクリップを付けたり、デコシールをつけたりすることくらいなのです、と。それを見つけた患者さんから「あら、可愛いわね。」とか「素敵ね。」と笑顔で言って頂けるのが嬉しんですよ、というお話を聞いた。
患者は(というか私だけ?)我儘なもので、自分がお洒落の出来ない時に綺麗にしている人を見れば、羨ましいなと思う。逆に、元気になったら私だって、と励みにする人もいるかもしれない。
もちろんどんな仕事であっても、TPOに則った服装というのが基本だと思う。時と場合を考えて、それに叶った身だしなみで人前に現れることが出来るというのは、やはり大人として大切なことなのだはないか、と思う。もちろんオフはオフらしく、自分らしいお洒落をするのが自由であることは全く論をまたないけれど。
スーパークールビズが言われ、職場でも涼しさを追求したといえば聞こえが良いが、かなりラフな服装が目立っている。そんなに露出して大丈夫・・・という人もいなくは、ない。
仕事をするなら他人様から「何あれ!?」と思われない程度のオフィシャルな服装をすること-夏でも、たとえ今日のような猛暑日でも、-が社会人として必要なのではないかと思う。
服装で「こいつに言ってもダメそうだ」と端から思われてしまうなんて、悔しいではないか。
今日も本当に暑かった。山梨では40度超えだったという。高熱で救急車行きの体温ではないか。我が家のベランダの日蔭の場所でも37度!実家の高齢の両親は大丈夫か、と思わず電話でご機嫌伺いをしてしまった。
そして、ここぞとばかり朝から洗濯機を回すこと3回。大物の寝具等も、昼過ぎに干して夕刻にはすっかり乾いていて助かった。
午前中は、先週旅行でサボっていた拭き掃除も済ませ、午後はインナービューティヨガに参加。夕涼みがてら夫と合流して映画を観た後、お買い物をして充実した土曜日だった。
息子は元気で塾がいい、と思ってしまうとんでもない母である、が明日から1週間塾はお盆休み、ちょっとブルーである。
※ ※ ※(転載開始)
診察室のワルツ:/51 理解に影響する服装や話し方=岡本左和子(毎日新聞 2013年08月08日 東京朝刊)
最近はメークやヘアスタイル、ファッションをアニメのように装って楽しむ人を多く見かけます。まつ毛を長く、ネイルアートも華やかに、ファッションに敏感な人は楽しいことでしょう。しかし、これが病院で悩ましい問題を起こします。
「若い医療者や病院スタッフに、派手なネイル、人形のようなまつ毛、はねた髪形は禁止といっても、聞き入れてもらえない」というのです。個人の権利の主張に加えて、ハラスメントと取られる恐れがあり、医療機関の規約に、身だしなみの規定が明記されていても、注意しにくいのだそうです。患者から「不真面目だ」「病人の気持ちを考えていない」と指摘されても、指導するとなると「部下の個性や仕事への意欲をそぐのではないか」と考えてしまい、「どうしたらいいのか分からなくなる」という悩みになります。
「コミュニケーション」のあり方から、この問題を考えてみます。対話をする時、人間は五感を使ってメッセージを理解しますが、どの感覚を多く使うかは人によります。一般に言語から理解するのは7%にとどまり、相手の態度や服装、化粧など視覚を通した理解が55%、相手の声のトーンなど聴覚を使った理解が22%、対話中の雰囲気や気遣われていると感じるような体感覚を通しての理解が16%を占めるとされます。
適切な治療やその説明に加え、服装などの格好や話し方が相手の理解や受容に影響するのです。情報処理に視覚を多く使うくせのある患者は、医療者や病院スタッフの身だしなみに気が取られ、聴覚が強い患者は話すトーンや言葉遣いに注意がいきます。それらが不快であれば、話の内容に集中できず、聞き漏らしや間違いを増やします。例えば、医学的に問題がない対応であっても、患者は医療者の身だしなみから、「楽しそうでいいけれど、患者が大切にされていない。注意されていない」と感じてしまうこともあります。装いを楽しむことは気分転換になりますから、私たち患者も譲歩は必要ですが、医療者や病院スタッフには相手の視覚や聴覚を通して、思いのほか多くのメッセージを患者に送っていることに配慮を期待します。(おかもと・さわこ=患者・家族と医療をつなぐNPO法人架け橋理事)
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そう、受け取る方は実に勝手なものだ。特にケアをしていないごく普通の手先を見せられた時、その場所によって反応は全く違う。
ちょっとお洒落な洋服を買いに出かけたショップの店員さんが綺麗なネイルアートをしているのを見れば、いいなあ、素敵だなと思うが、かたや化学療法室の看護師さんがデコラティブなネイルをして現れたら、間違いなく、あの人で大丈夫?と思うだろう。薬剤等に触れる時にはめる薄いゴム手袋などはあっという間に破けそうだ。
実際のところ、私が通院している病院でそんな爪やキラキラメイクをしている看護師さんはこれまで見かけたことがない。髪の毛のカラーリングも目にすることがない。一度尋ねたことがあるが、ネイルもカラーも禁止されているんです、ということだった。お洒落をしたい年頃の若い看護師さんだと、ちょっと哀しいのかな、とも思う。 “遊べる”のはネームプレートにちょっとした飾りのついたクリップを付けたり、デコシールをつけたりすることくらいなのです、と。それを見つけた患者さんから「あら、可愛いわね。」とか「素敵ね。」と笑顔で言って頂けるのが嬉しんですよ、というお話を聞いた。
患者は(というか私だけ?)我儘なもので、自分がお洒落の出来ない時に綺麗にしている人を見れば、羨ましいなと思う。逆に、元気になったら私だって、と励みにする人もいるかもしれない。
もちろんどんな仕事であっても、TPOに則った服装というのが基本だと思う。時と場合を考えて、それに叶った身だしなみで人前に現れることが出来るというのは、やはり大人として大切なことなのだはないか、と思う。もちろんオフはオフらしく、自分らしいお洒落をするのが自由であることは全く論をまたないけれど。
スーパークールビズが言われ、職場でも涼しさを追求したといえば聞こえが良いが、かなりラフな服装が目立っている。そんなに露出して大丈夫・・・という人もいなくは、ない。
仕事をするなら他人様から「何あれ!?」と思われない程度のオフィシャルな服装をすること-夏でも、たとえ今日のような猛暑日でも、-が社会人として必要なのではないかと思う。
服装で「こいつに言ってもダメそうだ」と端から思われてしまうなんて、悔しいではないか。
今日も本当に暑かった。山梨では40度超えだったという。高熱で救急車行きの体温ではないか。我が家のベランダの日蔭の場所でも37度!実家の高齢の両親は大丈夫か、と思わず電話でご機嫌伺いをしてしまった。
そして、ここぞとばかり朝から洗濯機を回すこと3回。大物の寝具等も、昼過ぎに干して夕刻にはすっかり乾いていて助かった。
午前中は、先週旅行でサボっていた拭き掃除も済ませ、午後はインナービューティヨガに参加。夕涼みがてら夫と合流して映画を観た後、お買い物をして充実した土曜日だった。
息子は元気で塾がいい、と思ってしまうとんでもない母である、が明日から1週間塾はお盆休み、ちょっとブルーである。