ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2013.8.27 ヒントはエコノミークラス症候群!

2013-08-27 20:03:15 | 日記
 読売新聞の医療サイトyomiDr.に連載中の今津嘉宏(いまづ よしひろ)先生の「いのちに優しく いまづ医師の漢方ブログ」最新号に、気になる記載があった。少し長いのだが、以下転載させて頂く。

※  ※  ※(転載開始)

血管のやけどの予防法(2013年8月23日)

 抗がん剤を使ったがん化学療法は、外来通院で行う点滴治療が中心です。内服薬との併用もありますが、1回の治療に数時間が必要で、何種類かの薬を組み合わせて行います。医学の進歩で、治療成績も向上しています。
 しかし、抗がん剤は、その恩恵を受ける代わりに、副作用という試練がついてきます。人によって程度に差はありますが、副作用は必ず出現するといってよいでしょう。
 中でも、点滴治療の際に起こる「血管痛」に悩まされている患者さんがたくさんいらっしゃいます。抗がん剤治療を受けているNさんに聞いたところ、点滴が始まりしばらくたつと徐々に血管に沿って痛みが走るのだそうです。場合によっては、しこりになったり黒ずんでしまったりと、かなりひどいこともあるそうです。
 「病院の看護師さんに聞いても、どうすればいいのか、教えてくれないんだ」とNさんはおっしゃいます。「先生の漢方薬で治してもらえないだろうか」と血管に沿って色素が沈着した腕をさすりながら話されました。
 わたしは「いろんな薬が血管の中を流れるときに、血管の内側がやけどをするために痛みが起こるんです。血管炎を起こしているのです。やけどの程度にもよりますが、ひどい場合は、血管が焼けただれてしまい、黒くなったりしこりになったりします。残念ながらこうなったら、もう、元には戻りません」と説明しました。
 がっくりと肩を落とし、悲しそうな顔をしているNさんにわたしは、「今後、抗がん剤の治療を受けるときに誰にでもできる簡単な予防方法がありますから一度、試してみてはどうですか」と次のような提案をしました。

「エコノミークラス症候群」にヒント
 この方法を行うには、まず、血管の仕組みを知る必要があります。体の中を走る血管は大きく動脈と静脈に分かれます。点滴をする血管は、静脈です。静脈を流れる血液は手足の末端から心臓に向けて流れていきます。心臓の力で流れる動脈と違い、静脈の血液は静脈の周囲を取り囲む筋肉の働きで流れるようになっています。このため、長時間同じ姿勢をして静脈の中の血液が流れないままになっていると、固まってしまうことがあります。この固まった血液が肺の血管につまる病気が深部静脈血栓症、別名エコノミークラス症候群です。
 つまり、静脈の血液はじっとしていると流れがゆっくりになってしまいますから、飛行機や電車などに長時間座ったままの姿勢でいる場合は、定期的に足首を動かすなどの予防策が必要となるわけです。
 そこで、抗がん剤を点滴するとき、患者さん自身で意識的に点滴している腕の筋肉を動かしてみてください。すると停滞していた静脈の中の血液が動き、血管のやけどが軽くなります。やけどが軽くなれば血管痛も軽くなりますから、血管炎の予防につながります。
 じっとわたしの話を聞いていたNさんは、「なんでそんな簡単な方法をもっと早く教えてくれなかったんだろう」と話しながら、「今度、抗がん剤治療を受けるときに早速やってみますよ」と嬉しそうに帰っていかれました。
 がん治療で起こるいろいろな問題は、漢方医学や漢方薬を使わないで解決できることもあります。患者さんたちに元気になってもらう方法をこれからも頑張って考えていこうと思います。

(転載終了)※  ※  ※

 私自身はゾメタやハーセプチンを投与する時から既に、1回で下腕部の針刺が成功せず、毎回看護師さんも私も汗だくで、時には先生にも来て頂きながら、大抵は手首や手の甲にルート確保していた。
 そのため、タキソテールを開始することが決まった時―既に5年ほど前になるが-先生から「これからはまあポートがいいでしょうね~。」の一声で、鎖骨下部に中心静脈ポート設置をし、以来、腕の静脈からの抗がん剤投与は経験していない。
 けれど、毎度毎度苦労していたし、抗がん剤を入れなくとも内出血やら何やらの痛い経験はあるので、こと腕の静脈に抗がん剤投与をすることの大変さは想像が出来る。
 患者仲間でも、長いこと治療を続けることで血管の形どおりに色素沈着したり、内出血が絶えない方を何人も知っている。皆、苦労しているのである。

 特に私たち乳がん患者は、基本的には術側の腕からは採血や血圧測定はしない。腋窩リンパ節郭清をしているからである。一旦リンパ浮腫になってしまうと、その後のケアが大変だから、術後何年経っても術側の腕を大切にしておくのに越したことはない。
 そのため、どうしても健常側の腕の血管ばかりを酷使することになる。経過観察のためほぼ毎月採血するし、CT検査の時には造影剤も入れる。当然両側の血管を使える人の倍の使用率で、血管が硬くなり続けるわけだ。

 今回の今津先生のお話、なるほどな、と思った。
 リンパヨガをやっていても言われることだが、リンパ液も自分自身で流れるのではなく、周りの筋肉の動きにより流れる。だからゆっくりとマッサージしながら回りの筋肉を動かし(リンパドレナージュ)リンパ液の動きを助けてあげるわけである。
 それと同様、静脈血もそれを取り囲む筋肉の働きで流れるようになっているのだ。だから長時間同じ姿勢で静脈の中の血液が流れないままになっていると、固まってしまうのだ、と。
 けれど、実際には腕の静脈に針を刺した時、特に抗がん剤では薬が皮下で漏れたらその部分が壊死するなどそれは大変なことになるから、看護師さんからは「なるべく動かさないで(針が抜けないようにして)くださいね。」と言い渡されてしまう。
 もちろん、こちらとしても針が抜けたら大変だということは重々承知しているから、緊張して極力動かさないことになる。その辺りはどうなのだろう・・・、と疑問に思わないことはないけれど、下腕部の針が抜けるほど激しく動かすのではなく、意識的に手先の部分、手首や指を動かすくらいは構わないのでは、と。

 今、私自身はポート利用により点滴中も両手が自由になるので、極めて無造作に手を動かしている。けれど、かつてポートの破損によりナベルビンが胸の辺りに少し漏れ、皮膚はみるみる真っ赤に腫れ、大変怖い思いをした記憶もある。

 とかくがん患者をやっているとトラブルに遭遇する機会が多いように思うが(別に僻んでいるわけではない。)、今回書かれているようなごく簡単な方法で少しでも薬のお世話にならずに解決が出来るなら、患者1人1人が知っておいていて損はないなと思い、ご紹介する次第である。

 8月最終週が始まった。昨日、一昨日に続き、今日も朝夕涼しくとても凌ぎやすい。明日はまた通院日が控えている。しばらく週1の通院が続くが、無事乗り切りたいものだ。
コメント (2)
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