ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2014.5.30 リビング・ウィルを書きながら

2014-05-30 20:04:32 | 日記
 昨日に続き、たぁさんの住む街の訪問看護師Oさんたちとお話をした時の話題から、2つ目。
 それは今日の標題である“リビング・ウィル(終末期の医療・ケアについての意志表明書)”の内容だ。

 再発が分かった時、そして最初の抗がん剤治療・大量タキソテールで心身ともに落ちるところまで落ちた時、夫や小さかった息子に宛てて遺書めいたものを書いたことがある。
 が、様々な治療やその時々々の体調に、それなりにうまく付き合えるようになってからは、お目出度いことにずっと放りっぱなしで、更新することなく、これまで過ごしてきた。

 ここ数年、義母や複数の患者仲間を続けて見送り、今後どういう経過を辿るにせよ、リビング・ウィルを書面の形で残しておくことは絶対に必要だ、と思っていた。
 リビング・ウィルは年月日を記載して署名捺印するものだから、その時点での意思表示であり、変更も撤回も可能だ。そして家族の了解(署名捺印)もあわせて取っておかないと、最終的に家族がゴーサインを出さず、本人の意向が尊重されないこともあるという。
 あくまで私が書いたリビング・ウィルは、今患っている多発転移性乳がんが終末期になった場合で、それ以外の病気の場合には該当しない。

 たまたま先日読んだ柳田邦夫さんの著書で、柳田さんご自身のリビング・ウィルを拝読しながら背中を押されたこと、また、朝日新聞の医療サイト・アピタルで長尾和宏先生が連載中の「町医者だから言いたい!」で、ごくごくシンプルかつ必要十分なものが紹介されていたことから、それらを参考に書き始めたところだった。

 具体的には「私のがん終末期医療に対し希望すること」という題名だ。

 1 心臓マッサージなどの心肺蘇生:して欲しくない
 2 延命のための人口呼吸器:つけて欲しくない
 3 人工透析の開始:希望しない
 4 胃ろうによる栄養補給:して欲しくない
 5 鼻チューブによる栄養補給:して欲しくない
 6 点滴による水分の補給:して欲しくない
 7 その他の希望

 7の“その他の希望”のところで、痛みについては最大限緩和して頂きたいこと、そしていわゆる“せん妄状態”になった時に、セデーション(鎮静)してほしい、私が私であるうちにお別れをさせて、眠らせてほしい、としたのだ。
 これまでの人生、一応理性を持ってコントロールしてきた(つもり)にもかかわらず、その最終段階で、自分が判らないまま信じられないこと(何を言い出すのか私自身皆目わからないことが怖い。夫が言うには、私はよく寝言をいい、それがいかにもありそうな話なので、つい「それでどうしたの?」と聞いてみると、なんと私はそれに答えるというのだから、これでは最終段階での振る舞いもどうなるか分かったものではない。)を言い出すのは、とても耐えられない。そうした最期の私を家族が目の当たりにして、それが私という人間の印象として残っていくのであれば、それは耐えられない、というつもりだったのだ。

 が、そう言ったところ、Oさんがおっしゃったことは、とても慈愛に満ちていた。「それもこれもひっくるめて、家族や大切な人たちに受け容れてもらうのです。」と。「(お母さんは)大切な皆さんとうまくやっていくために、理性的にいろいろ我慢していたのですよ。思っていることもぐっと我慢して口に出さずにいたのですよ。それが、もしその場で出てくるのだとしたら、(そこまで我慢し続けたお母さんに)感謝しなければならないですよね。」と。
 思わず、唸った。

 それと、これ迄、なんとなく最期は病院(もしくはホスピス)で迎えるしかないのだろうな、と思い込んでいたのだが、いろいろなお話を伺ううちに、もしかしたら在宅を諦めることもないかも・・・と思うようになってきた。

 もし病室ではなく、自宅で逝ければどんなに幸せだろう、と思う。介護保険も駆使して、夫がOKしてくれて、近くに信頼出来るかかりつけ医(たとえば家族ぐるみでお世話になってきたクリニックの院長先生)と、訪問看護師さん(現在確認中)を見つけることが出来れば、それも不可能なことではないかもしれない。

 もう少し、いや考える時間はそれなりに十分ある筈だ。
 その都度、更新しながら、私にとっても、家族にとっても一番いい形でリビング・ウィルを書いておければ、と思う。

 ようやく週末。長い1週間だったけれど、なんとか途中ダウンすることなくやり過ごすことが出来た。今日もいきなり夏のような暑さ。水分をたっぷり摂って、夜更かしは避けて、消耗しないようにしなければ。

コメント (3)
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